羽毛の産地

羽毛の産地はどこがよいのか?とのお問い合わせを頂くことがございます。

ダウンは鳥が寒さから身を守る為のものなので、寒い地域を産地とするダウンが保温性に優れています。また耐久性に優れているのは、乾燥した気候で飼育された鳥のダウンだとも言われています。

北緯45度から53度の『ダウンベルト』と言われる地帯の羽毛は品質が良いと言われていますが、中でも北緯50度ラインのグース羽毛は高品質です。

北緯50度ラインのグース羽毛は高品質

日本の輸入羽毛の産地

羽毛の産地と言うと、まずポーランド、ハンガリーが出てきますが、日本に輸入されているダウンの70-80%はアジア産です。アジア産の羽毛の中味は一部グースも含まれますがほぼダックです。ポーランドとハンガリー産のダウンは、輸入量の多くて10%までです。

輸入量の多いのは、中華人民共和国(中国)、台湾、フランス、ベトナム、ハンガリー、その他です。ポーランドはその他の範疇に入ります。また、台湾は貿易の中継地という側面もあります。

グースダウンの産地

グース羽毛の産地となると、やはりポーランド、ハンガリー、ドイツ、カナダ、ウクライナ、中国等が出てきます。ポーランド、ハンガリーは国家事業として鳥の交配を重ね品種改良に取り組んできた歴史があり別格だと思います。

ポーランドとハンガリー羽毛の評価
ポーランドとハンガリー羽毛

ダウンはポーランドとハンガリーどちらが良い?マザーグースの品質を比較する事で答えが見えてきます...

カナダ産羽毛を取り扱っているメーカーは少なく西川(株)の羽毛布団では見かけなかったように記憶しています。

以前はシベリア産の最高級のダウンが輸入されていましたが、最近はロシア国内で消費されるため中級品が多いようです。ウクライナ産のグレードはやや格下の感は否めないと思います。上記の産地からのグースダウンの輸入量は輸入量全体の5%程度です。

2013年ごろからのダウンの値上がりにともない、今まで聞いたこともない産地が出てきています。産地の偽装問題も発生しているため、西川など信頼できるメーカーの製品をおすすめします。

ダックダウンの産地

ダックダウンの産地はグースと少し異なります。ポーランドはダックの飼育は少なくなります。ハンガリーはダックとグースの割合は同じくらいです。ダックダウンの産地で最も多く輸出しているのは中国になります。

ダックダウンの品質は、ハンガリーとかフランスなどの北欧の国のものが飼育期間が長いため良質です。中国産のダックダウンの多くは飼育期間が短いので品質的にやや劣ります。

アイダーダックダウンの産地

アイダーダックとは、野生の渡り鳥とであり北極圏周辺に生息しています。生息地として有名なのはアイスランドであり、他にはグリーンランド、ノルウェー、カナダなどです。

アイダーダックの中でも本毛綿鴨はアイスランド北部に繁殖のために渡ってきます。そこで雛を育て巣立った後に巣に残った羽毛を採取したものがアイダーダックダウンです。

アイスランドでのアイダーダックダウンの採取量は2000kg~3000kgと少なく、最高ランクの羽毛布団に使用されるのは1000kg未満です。

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ダウンの色と産地

産地により羽毛の色にばらつきがあります。ポーランドはホワイトコーダ種のグースが多いためか、ホワイトダウン正確にはホワイトグースダウンとホワイトマザーグースダウンが多く採取されています。ハンガリーはシルバー系のグースとダック、ホワイト系のグースとダックに分かれています。

羽毛の産地のランク付け

ダウンの産地はどこがよいのか?ポーランド、ハンガリーがやはり有名です。ポーランドが1番という方もいると思いますが、飼育期間、飼育環境、飼育方法により一概にランク付けはできません。ハンガリーのある農場のものが1番よい場合もございます。

基本的には寒い地方で飼育環境に恵まれた農場で、鳥の飼育方法も厳しく管理された農場で飼育されたものと言えます。この2国間では産地による優劣は付けにくいのが現状です。

アジア産より欧州産の羽毛の評価が高い理由として、飼育環境の湿度が関係していると言われています。乾燥した気候で飼育された鳥の羽毛はへたりにくくコシが強いと言われています。

耐久消費財の羽毛布団においては、耐久性は購入時において重要な判断要素です。

羽毛の産地での品質評価

強いて産地別に羽毛の品質グレードをつけるとすれば下記の順番になります。ただし個々のダウンにおいては順番が変わることもございます。

羽毛の産地は食肉の副産物のため国の食文化と関係があり、食の好みによりグースとダックの産地は異なります。

グースダウンの産地で評価が高い順は、ポーランド、ハンガリー、ドイツ、ロシア、カナダ、ウクライナ、中国の順番です。ウクライナ、中国を産地とする羽毛は評価が低くなっています。市場価格も同様の結果です。

ダックの羽毛の産地での品質評価をするなら、ハンガリー、フランス、ドイツ、ロシア、カナダ、ウクライナ、中国の順番になります。ダックが少ないポーランドが抜けています。

羽毛の産地を確認する際は最低限「国名」を確認する必要があります。産地が欧州産の場合は産地不明と同様と考えるべきです。

産地に国名以外に地方の名前が記載される場合も有ります。例えば産地の地方名記載にはポメラニア(ポーランド・ドイツ)とかジーリン(中国吉林省)などがあります。

基本的に産地も大切ですが、消費者の方にとってダウンの良し悪しを判断する場合は、ダウンを採取した鳥の種類と信頼できるメーカーのダウン率・ダウンパワー値を参考にされることをおすすめします。

寝具店では、ダウンの品質であれば側生地越しに推測はできますが羽毛の産地を判定することはできません。メーカーの表示を信じるしかないわけです。やはりメーカーの信用は重要です。

西川(株)は、ポーランド産の高級羽毛はアニメックス社を中心にして、ハンガリー産はFBZ社を中心にダイレクトに交渉をしています。(輸入手続きのため商社は介在します。)

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産地偽装の問題

アジア産のダウンが、ヨーロッパなかでも北欧のポーランド、ハンガリーに輸出され、ポーランド、ハンガリーから輸出されたら、その産地はポーランドとかハンガリーと言うことになります。こんなバカな話が事実あるようです。

産地を偽装してまで販売する事はいかがなものかと思います。せめて西川をはじめ信頼できるメーカーの製品を販売することが寝具店にできることです。

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羽毛の産地の国名だけでなく、ダウンを精毛した会社名が解れば産地偽装の問題はより安心できます。

羽毛の産地国を示すJ-TAS(JBA 羽毛産地認証)ラベルが全ての製品に添付されるのが理想ですが、現状は一部の製品にしか付いていません。

羽毛布団を選ぶ際には、羽毛の産地の国名の確認は重要です。産地国の記載はトレーサビリティ(追跡可能性)の必須条件です。

羽毛の産地偽装の問題に対処するために、日本羽毛製品協同組合(日羽協)においては産地対策委員会をたちあげるなど業界全体で産地管理を徹底しています。

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産地より先に鳥種を選ぶべき

羽毛の産地の国名の確認も必要ですが、羽毛布団を選ぶ際には採取された鳥種を選ぶ方を優先してください。お勧めはグースでありグースのなかでも飼育期間の長いマザーグースがお勧めです。

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筆者:野口 英輝

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