完全立体キルト・密閉キルトとは

羽毛布団の内部は、格子状に仕切られ各マス目にダウンが充填されています。このマス目とマス目はスリット状の隙間が開いておりその隙間を通し各マス目に羽毛を吹き込んでいます。そのため長年使用していると隣のマス目に羽毛が移動して片寄ることがあります。

この隙間をトンネル状にしたり逆止弁をつけるなどして羽毛の移動を防ぐ構造を完全立体キルトとか密閉キルトと呼んでいます。(他の名称としてソリッドステークキルト・HMキルト・特殊ノンスライドキルトなどがある)

羽毛布団の羽毛を吹き込むイメージ図

羽毛移動防止キルトの目的

完全立体キルトとか密閉キルトの目的はズバリ隣のマス目に羽毛が移動することを防ぐことです。

しかし通常のキルトでも羽毛の片寄りは、お子様が羽毛布団の上に飛び乗るとか竿に干して羽毛布団を叩くなどしない限り起こることは少ないと言えます。

下図の羽毛布団の断面図を見比べて頂くとマチ布の幅の違いに気づくと思います。マス目間の境目の布団の厚みが異なっています。

通常の立体1層キルト
ハイマチ立体キルト

通常の立体1層キルトはマス目の境目部分の凹部において布団の厚みが4cmから5cmと薄くなり熱が逃げ易い問題があります。

この課題を解決するにはマチ幅を広げることになりますが、8cmから10cmに広げると羽毛を吹き込む際の隙間も広くなり羽毛が移動しやすくなります。

この課題を解決するために、隙間に逆止弁とか隙間ではなく筒状にしたキルトが完全立体キルトとかハイマチ密閉キルト等です。

羽毛移動防止キルトの効果

羽毛布団のマス目の境目の厚さを広げると保温力は増します。同様の効果があるキルトが2層・3層キルトなのですがハイマチ密閉キルトの様な立体1層構造では層を仕切る布が無いためその分軽く出来ます。

さらに1層構造の場合は層を仕切る布が無いため2層・3層キルトより温度調節機能にも優れています。

軽くて温かで快適温度をキープでき、さらに羽毛の片寄りが無いため長く安定的に使えることは、羽毛布団にとって究極のキルト構造と言えます。

完全立体キルト・密閉キルトの欠点

羽毛の移動を防ぐため逆止弁とか吹き込みよう通路を筒状にするなどの縫製工程は複雑で時間がかかります。更に羽毛を吹き込む際には逆止弁とか筒の中を通す作業は簡単ではなく熟練した職人さんでも時間がかかります。

完全立体キルト・密閉キルトの欠点は製造工程が複雑でコストアップになり羽毛布団の価格が高くなることです。

ハイマチ羽毛移動防止キルトがおすすめ

羽毛布団の魅力は、軽くて温かく快適(温度調節機能)であることです。この魅力をアップするには、上質の羽毛に軽くて柔らかく吸湿性に優れて側生地にハイマチ密閉キルトに代表される羽毛移動防止キルト構造が調和することです。

筆者:野口 英輝

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