「羽毛布団が購入当初のように暖かくない」と感じている方は多いのではないでしょうか。長年使用すると、どうしてもへたりや劣化が進んでしまいます。しかし、「まだ使えるかも?」と迷ってしまうこともあるでしょう。

当店は30年以上にわたり羽毛布団を取り扱っており、買い替えのタイミングについて多くのお客様からご相談を受けてきました。そこで、羽毛布団の寿命を判断するポイント、買い替えに適した時期、選び方のポイント、さらに長持ちさせるための使い方について解説します。

当サイトをお読みいただくことで、ご自身の羽毛布団がまだ使えるのか、それとも買い替えの時期なのかが判断しやすくなるはずです。ぜひ参考にしてください。

目次

  1. 羽毛布団の寿命は何年?
  2. 羽毛布団の寿命を判断するポイント
  3. 買い替えの適切な時期
  4. 買い替え時によくある疑問
  5. 羽毛布団を長持ちの秘訣やNG行為
  6. まとめ
羽毛布団の寿命

結論から申し上げると、羽毛布団の寿命はボリュームがなくなり寒さを感じた時です。

羽毛布団の寿命は何年?

実際に羽毛布団の買い替えを検討される方の多くは、使用期間が10~15年程度。中には20年以上使い続けている方もいますが、羽毛布団の寿命は一概には言えず、さまざまな要因によって異なります。

羽毛布団の寿命を左右する要因

羽毛布団の耐用年数は、以下の要素によって変わります。

  • 羽毛の種類(ダック:5~10年・グース:10~15年・マザーグース:15~20年)や品質(ダウン率・ダウンパワー・産地)
  • 側生地の耐久性(素材や綿糸では糸の太さ)
  • キルト構造(羽毛の偏りを防ぐ仕切りの方法)
  • 使用頻度(合い掛け羽毛布団の使用の有無、車に例えるなら年式ではなく走行距離)
  • お手入れ・保管方法(定期的なメンテナンスや収納環境)
  • 個人の体質(暑がりで汗をかきやすい人や、寝返りが多い人など)

特に使用頻度は重要な要素です。一般的な地域では年間6ヶ月(11月~翌4月)使用するのに対し、寒冷地では7ヶ月(10月~翌5月)使用するケースもあります。その結果、10年間で累計20ヶ月もの差が生じ、使用頻度が高いほど劣化も早まります。

また、汗ばむ春や秋に合い掛け布団を併用すれば、冬用羽毛布団の使用期間を短縮し、負担を軽減できます。そのため、羽毛布団の寿命を考える際には「年数」だけでなく、実際の「使用期間」を基準に判断することが大切です。

羽毛布団の平均寿命と劣化の原因

とはいえ、「羽毛布団は何年使えるのか?」と気になる方も多いでしょう。

一般的なグースダウンの羽毛布団で、年間6ヶ月の使用を想定すると、使用開始から10年を過ぎると、ボリュームが徐々に減少し、15年ほど経つと、保温力の低下が理由で買い替えを考える方が増える傾向にあります。

この劣化の主な要因は以下の通りです。

  • 長年の使用による羽毛の傷み
  • 側生地の摩耗
  • キルトの劣化による羽毛の偏り

羽毛を打ち直してリフォームすることで寿命を延ばすことも可能ですが、快適な睡眠環境を維持するためには、布団の状態を見極めながら適切な買い替えのタイミングを判断することが重要です。

羽毛布団の寿命を知らせる症状

羽毛布団の寿命を意識するきっかけは、寒さを感じる様になったタイミングだと思います。寒さを感じる原因はボリュームの減少にあります。

ボリュームがなくなる原因として、以下が挙げられます。

  • 羽毛の摩耗や汚れ
  • 湿気によるダウンボールの縮み
  • 側生地の湿気や汚れによる重みの増加

羽毛布団が寒く感じるようになった場合、以下のような症状が見られたら買い替えを検討しましょう。

羽毛布団のボリュームの確認方法

収納時に購入時のケースに入れてみると、ボリュームが減っているか簡単に確認できます。簡単に収まり、ケースに張りがなくなり、ファスナーがスムーズに閉じられるようであれば、布団がへたっている証拠です。買い替えをおすすめします。

収納時の羽毛布団のたたみ方」のページを参考にしてください。

買い替えを判断する症状

羽毛布団が重く感じるようになり、ボリュームが減少して暖かさを感じにくい場合は、買い替えを検討するサインです。毛布やケットを重ねないと寒さを感じるようであれば、羽毛の劣化が進んでいます。

購入当初と比べて羽毛布団のボリュームがなくなった画像

クリーニングやコインランドリーでの洗濯により羽毛が劣化してボリュームがなくなった状態。症状としては品質表示票の記載内容がほぼ読めない状態になっている。

この状態の羽毛布団はボリュームの程度にもよりますが、クリーニング回数が2回以上なら買い替えをおすすめします。

羽毛布団の品質表示票の文字が読めない状態の画像

側生地に穴が開いたり破れたりしてダウンが吹き出す。側生地が擦れにより薄くなり生地が寿命を終えています。あるいはカバーを留めるリング状のひもが切れたり縫合部がほどける

羽毛布団の側生地が破れたり羽毛の吹き出しが多くある画像

長年の使用によりマス目を仕切る布の破損等により、ダウンの偏りがひどく膨らみが出ないマス目がある

羽毛が偏りボリュームがないマス目がある羽毛布団の画像

側生地の襟元や足元の汚れが目立つ場合やニオイが酷い状態。この場合は、中の羽毛も同様に汗で汚れたり湿気てカビが発生している場合があります。一度陰干しをして乾燥させてみてください。干してもダメな場合はクリーニングを試してください。

羽毛布団が寿命かどうかの判断基準は、過去にクリーニングしていなく10年未満(ダックの場合は5年未満)場合はクリーニングで回復する場合があります。クリーニングしてもボリュームが回復しない場合は寿命と考えてください。

襟元や足元の汚れが目立つ羽毛布団の画像

短期間でボリュームが急激に減少した場合の原因

以下のケースでは、修復が困難なため買い替えをおすすめします

布団圧縮袋の使用

ほぼすべての羽毛がダメージを受け、ボリュームが失われます。圧縮袋は単なる圧縮ではなく減圧状態となり、羽毛の羽枝が破壊されてしまいます。

羽毛布団をふとん圧縮袋に入れて保管後ボリュームがなくなる画像

薬品によるパワーアップ加工が施された羽毛を使用

この場合は、1シーズン、長くても2シーズンでボリュームがなくなってしまいます。

再生ダウンを使用した羽毛布団

再生ダウンは、洗浄によって油脂分が減少し、羽毛が割れやすくなっているため、急激にボリュームが失われることがあります。

強力なドライクリーニングや酵素入り洗剤での洗濯

強力なドライクリーニングや酵素入りの洗剤を使用してご自分で洗った場合、羽毛の油脂分の減少や酵素により羽枝が分解されるため、乾燥後もボリュームが回復しません。

その他の買い替えの目安

羽毛布団の寿命そのものではありませんが、お子様が成長して布団から足が出るようになった場合とか体格が良くなり寝返りをすると背中が寒い場合など、それは一つの目安として、羽毛布団の寿命が来たと言えるでしょう。

羽毛の種類や使用期間、ボリュームを考慮して、ロングロングサイズとか幅に広いサイズに買い替えまたは打ち直し(リフォーム)を検討することをおすすめします。

成長と共に布団が短くなり足が布団から出ている画像

まとめ

生地が破れたり、ダウンが偏ったりした場合は、買い替えのタイミングが分かりやすいですが、寝具は少しずつ劣化するため、そのタイミングに気づきにくいものです。

羽毛布団が寒く感じたり、上記のような寿命を知らせる症状が現れたりした場合は、羽毛の種類による寿命の違いを考慮し、買い替えを検討するとよいでしょう。

羽毛布団の買い替えの適切な時期

羽毛布団は少しずつ劣化していきます。そのため、真冬の寒い時期になって初めて「暖かさが足りない」と気づくことが多いのではないでしょうか。こうした事態を避けるために、早めに状態を確認することをおすすめします。

では、いつが買い替えのおすすめ時期なのでしょうか?

買い替えのベストタイミング

羽毛布団を収納する際は、ボリュームを確認する絶好の機会です。購入時の収納ケースに入れ、ファスナーがスムーズに閉まり、ケースに余裕があるようであれば、買い替えを検討するサインといえるでしょう。

近年、ダウンの価格は毎年上昇しており、その年の原毛価格は6月頃に決定されます。そのため、オフシーズン(春~夏頃)が買い替えに最適な時期といえるでしょう。

買い替え時によくある疑問

羽毛布団の寿命が尽き、買い替えを検討する際によくある疑問にお答えします。

古い羽毛布団の処分方法は?

古い羽毛布団の処分方法には、以下のような選択肢があります。

  • 粗大ゴミとして出す
  • 解体して燃えるゴミとして処分する
  • 不用品回収業者に依頼する
  • 無料回収サービスを利用する(ニトリやイオン等では回収し、グリーンダウン(再生羽毛)として再利用する)

詳しくは、「羽毛布団の処分方法」のページをご覧下さい。

水没した羽毛布団は再生可能か?

最近、お問い合わせが多いのは、洪水等で水没してしまった羽毛布団を再生する方法はないか?という質問です。

答えは「YES」です。ただ単に泥水に水没しただけなら、水洗いと脱水をしてリフォーム会社に問い合わせてください。たぶん対応していただけると思います。

高級布団は寿命が長い?

高級な羽毛布団は寿命が長いのか?」という疑問ですが、必ずしも高級品だから長持ちするとは限りません。

例えば、マザーグースダウンは耐久性に優れていますが、高級布団に使用されるシルクなどの薄手の側生地は、かえって耐久性に欠ける場合があります。

へたった羽毛布団は再利用できるか?

羽毛布団のヘタリ具合により打ち直し(リフォーム)で再利用する方法もあります。

ただし、10年以上使用した布団は買い替えたほうがコストパフォーマンスが良いと言われています。特に、クリーニング回数が3回以上でボリュームが出ない場合は買い替えがお得です。

マザーグースは、打ち直しをすれば30年程度使えると言われていますが羽毛の種類により差があります。打ち直しにより羽毛布団がどれだけ回復するかについては、下記のページをご覧ください。

打ち直し後のボリューム回復量

羽毛布団を打ち直し後のボリュームがどの程度まで復元するのかを解説。...

羽毛布団の寿命はメーカーによる差?

西川をはじめとする有名メーカーの製品だからといって、寿命が長いとは限りません。

ただし、西川では羽毛の種類ごとにダウン率などの品質基準を明確に設けているため、一定の安心感があります

しかし、近年では羽毛の偽装問題が依然としてくすぶっているため、信頼性の高いメーカーを選ぶことをおすすめします

丈夫な羽毛布団の選び方のポイント

羽毛布団の寿命は、羽毛の品質や充填量・側生地の素材や品質キルト方式によって決まります。買い替え時にはこれらのポイントを確認しましょう。

寿命を左右する要素

  • 羽毛品質:ダウン率が高く(93%以上)、ダウンパワーが大きい(400dp以上)ものは長持ち。産地としてはドライな気候の欧州産などの羽毛は耐久性に優れます。
  • 側生地:丈夫さを重視するなら超長綿60番手、寝心地を重視するなら超長綿80番手以上が最適。単糸よりも双糸のほうが耐久性が高い。
  • キルト方式:完全立体キルトは羽毛の偏りが少なく長持ちしやすい。国内縫製がおすすめ。

選ぶべきポイント

  • 羽毛:グース400dp以上、マザーグースなら430dp以上
  • 側生地:国産80番手超長綿以上
  • キルト:完全立体キルト、国内縫製の純日本製
  • メーカー:信頼性の高い国内メーカー(例:西川)

これらの条件を満たした羽毛布団を選べば、長く快適に使用できます!

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羽毛布団を長持ちの秘訣やNG行為

基本のケア

  • カバーを使用:羽毛布団には必ずカバーを掛け、汚れ防止のため定期的に交換しましょう。
  • 定期的な乾燥:月に1〜2回、風通しの良い日陰で3時間程度干すか、室内で風を当てるだけでも湿気を抑えられます。
  • 直射日光は避ける:側生地の劣化を防ぐため、長時間の直射日光は避けましょう。
  • クリーニングの頻度を抑える:頻繁な洗濯は羽毛の劣化を招くため、汚れを防ぐことで回数を減らしましょう。

使用期間と寿命の関係

羽毛布団は、使用することによる羽毛の摩耗は避けられませんが、汗による汚れも寿命を縮める原因です。汗をかきやすい季節は合い掛け布団に切り替えると長持ちします。

  • 冬用布団のみ使用 → 1シーズン6ヶ月(10年で60ヶ月使用)
  • 合い掛けと併用 → 1シーズン4ヶ月(15年で60ヶ月使用)

羽毛自体は50年以上の耐久性があるため、使用期間を調整することで寿命を延ばせます。上記の例だと5年間の寿命に差が出ます

収納方法

  • 収納前にカバーを外し、汚れを確認し必要ならクリーニング。
  • 完全に乾燥させ、購入時のケースや通気性の良い不織布ケースで保管。
  • 高温多湿を避け、直射日光の当たらない場所に収納。
  • 圧縮袋はNG:ダウンが潰れ、元に戻らなくなります。

収納時は購入時のケースに収めることで、羽毛布団のヘタリ具合をチェックしてください。

羽毛布団の寿命を縮めるNG行為

  • 布団圧縮袋での収納 → 羽毛が破壊され膨らまなくなる
  • 湿気た場所での保管 → カビの原因となり羽毛と側生地が劣化する
  • ウォシャブル羽毛布団以外のご自分での洗濯 → タンブラー乾燥は禁止であり乾燥の問題がある
  • 布団の上で飛び跳ねる → 側生地が破れ羽毛が吹き出る
  • 布団叩きで強く叩く → 側生地や縫製部分が劣化
  • 掃除機で直接吸引 → 縫合糸が切れやすい
  • シルクやゴアラミネート加工の羽毛布団など、クリーニング不可の布団を洗う → 羽毛が吹き出す
  • 直射日光が当たる窓際に長時間放置 → 側生地の劣化

適切な手入れと保管を心がけることで、羽毛布団の寿命を最大限に延ばし、快適に使用できます。

まとめ

羽毛布団の寿命は基本的に羽毛の種類によって異なりますが、長持ちさせるためのポイントがあります。それは、秋や春には早めに合い掛け布団へ交換すること、カバーをこまめに交換すること、適度に乾燥させること、正しい方法で保管すること、そして乱暴に扱わないことです

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