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羽毛布団のランクと相場価格
晩秋から春までの間、羽毛の素晴らしい特性により快適な睡眠環境を提供してくれるのが羽毛布団です。ただ全ての製品がこの特性を持っているとは言えないのが現状です。
羽毛布団の値段は1万円前後から200万円以上と品質により幅広くあります。
羽毛布団をはじめて購入される方の疑問のひとつは、『羽毛布団の相場価格はどれくらいか?満足できるふとんの価格帯はいくらか?』というものです。
快適な睡眠環境と睡眠の質は比例します。そこで羽毛布団のランクを独断で5つに分けおおよその相場を紹介します。
羽毛布団の品質ランク
羽毛布団は、格子状に仕切られた側生地の内部にダウンを充填して作られています。その寝心地は、主にダウンの品質によって左右されます。もちろん、側生地の素材や品質、さらには内部キルト構造の違いによっても使用感は異なりますが、基本的にはダウンのグレードを見ればおおよその品質ランクを判断することが可能です。
5ランクに分かれる羽毛布団と価格の目安
羽毛布団を販売して35年になりますが、最近では低品質の羽毛を使用し、価格だけを安く見せた製品を見かけるようになってきました。
その影響もあり、「羽毛布団は安くなった」と感じる方もいらっしゃいますが、実際には高品質な羽毛布団の価格は上昇傾向にあります。その背景には、原材料である羽毛そのものの価格が上がっているという事実があります。現在市場に流通している羽毛布団を、品質ごとに5つのランクに分け、それぞれの相場価格と特徴をまとめました。
特に2022年以降、ロシアによるウクライナ侵攻の影響で両国からの原毛輸入量が減少し、さらにドル為替レートの変動により、ダウンの仕入れ価格は大きく上昇しています。2024年7月時点では、1ドル=161円という水準まで円安が進行しています。
本記事は2018年時点(当時の為替レートは1ドル=104〜112円)に基づいて加筆修正を行っていますが、現状の価格水準とは乖離がある可能性があります。為替の安定を見て、随時情報を更新してまいります。なお、2024年には1枚あたり1万円〜2万円の値上がりしました。(2025年現在)
購入後に後悔しやすい羽毛布団ランク
このランクの羽毛布団は、布団としての基本的な保温機能が不十分で、寒くて眠れないという声も少なくありません。暖かさを重視する方には、むしろ化学繊維のわた布団のほうが快適な場合もあります。
特徴としては、羽毛特有の強い臭いがする製品が多く、側生地には品質の低い綿やポリエステル素材が使われていることが一般的です。また、メーカー名の記載がない場合もあり、信頼性に欠けることが多いです。実際に購入すると、価格の安さの理由がすぐに理解でき、後悔するケースが多く見受けられます。
このランクで使用されるダウンはダックダウンで、ダウン率は80%未満です。相場価格はおおよそ30,000円未満となっています。
特に30,000円前後で販売されている羽毛布団は、製造コストを考慮すると「あり得ない」と断言できるレベルです。詳細は激安羽毛布団のコスパとは?をご参照ください。
この価格帯の羽毛布団は、ダウン率およびダウンパワーが共に低く、充填量も不足している傾向があります。さらに、側生地にはポリエステル素材が多く使われており、軽量ではあるものの、保温性は大きく劣ります。
このランクの品質は、お値段程度かそれ以下かもしれせん。

ダウン充填量1kgの羽毛布団は寒いのか?その答えは「イエスでもありノーでもある」です。その訳を解説。
“羽毛布団”と呼ぶには物足りないランク
少し気温が下がると、毛布や他の布団を重ねないと寒さを感じるレベルの羽毛布団です。
このランクの特徴は、低品質なダウンを多めに詰めており、シングルサイズで充填量1.4kg以上になることもあります。羽毛特有の臭い(いわゆる“鳥臭”)が気になる製品もあるかもしれません。側生地にはポリエステルや綿との混紡素材が使われることが多く、メーカー名の表示がない製品もあります。
本来の羽毛布団が持つ軽さや暖かさ、快適さが感じられにくいため、満足度は低めです。もう少し予算を上げることで、格段に品質の高い布団が手に入る可能性があります。
使用されているダウンは、ダックダウンが中心で、ダウン率は80%台。価格はおおよそ50,000円未満が目安です。一応“羽毛布団”としての条件は満たしていますが、価格相応の印象を受けるランクです。
コストパフォーマンス重視の中堅ランク
このランクの羽毛布団は、価格と品質のバランスが取れており、多くの製品が該当します。ダックダウンならダウン率93%以上、グースダウンなら90%以上の高めの充填率が特徴です。
側生地には綿100%や合繊素材、テンセルなどが使用され、通常は製造メーカー名も明記されています。寝心地も一定の満足度があり、初心者から中級者層に人気のあるグレードです。
日本羽毛製品協同組合(日羽協)の品質表示でいえば、エクセルゴールドラベルの上位〜ロイヤルゴールドラベルの下位に相当します。
ダックかグースかは寝心地の分かれ道となりますが、より快適さを求めるならグースダウンをおすすめします。相場価格は60,000円が目安です。
納得感のあるコスパ重視ランク
一晩使えば「なるほど」と納得できる寝心地を実感できるのが、この価格帯の羽毛布団です。主な特徴は、93%以上の高品質グースダウンを使用していること。卵を産む目的で長期間飼育されたマザーグースや、上質なグースのダウンが使われています。側生地は超長綿、合繊、テンセルなどが採用され、信頼できるメーカー名も明記されています。
より高級な寝心地を求める方には上位モデルもありますが、このランクでも十分に満足いただける、コストパフォーマンスに優れた製品です。
相場価格は60,000円前後〜100,000円程度。この価格帯は「羽毛布団を選ぶうえで最も悩ましいランク」とも言われるほど、選択肢が多く迷いやすいゾーンです。
コスパに優れた羽毛布団の具体的な品質指標については、こちらのコスパ最強の羽毛布団の選び方をご覧ください。
この価格帯では、通常グースダウンが主流ですが、中にはマザーグースを使用した羽毛布団も見られます。特に60,000円~80,000円前後で販売されているマザーグース製品は、一見お買い得に見えることが購入時の迷いを生む原因です。
たとえば、西川製のマザーグース羽毛布団に低価格のモデルも見られますが、ポーランド産であればアニメックス社、ハンガリー産であればFBZ社など、羽毛供給元の明記がないものが多く、信頼性には注意が必要です。直輸入の高品質羽毛では実現しにくい価格帯ともいえます。
なお、マザーグースの品質には幅があります。羽毛布団を選ぶ際のチェックポイントは、「ダウン率」「ダウンパワー」「充填量」の3つ。これらを見極めることで、品質の違いがはっきり分かります。日羽協のプレミアムゴールドラベルが付いているかどうかも、判断材料のひとつです。
また、マザーダックダウンを使用した羽毛布団を「マザーダウン」とだけ記載しているケースがありますが、これはマザーグースと誤解しやすいためご注意ください。両者は明確に品質が異なります。
マザーグース羽毛布団の詳しい解説は、下記の専用ページをご覧ください。

羽毛布団選びでの誤解や曖昧な情報を専門店が解説。ダウンの種類やラベル、暖かさの正しい見方が分かる。
寝心地が感動と満足をもたらす最上位ランク
「もっと早く買えばよかった」と思うほど、寝ることが楽しみになる羽毛布団です。主な特徴は、最高品質のマザーグースダウンに加え、側生地には超長綿や高付加価値の合繊・テンセルなどが使用されています。軽くて暖かく、キルト構造によっては高い温度調整機能も発揮されます。
もちろん、信頼できるメーカー名が明記されており、さらに寝心地を追求することも可能ですが、このランク以上になると費用対効果は頭打ちとなります。ダウン率は93%以上、ダウンパワーは430dp以上という高スペックのマザーグースダウンが使われています。
相場価格は100,000円前後から400,000円程度まで。特に250,000円以上の羽毛布団では、マザーグースの中でもより成熟した「グランドマザーグース」が使用され、側生地も、たとえば1日に布団2枚分しか織れないような精紡交撚糸など、高級繊維が使われています。さらに、特殊なキルト構造を採用している製品もあります。
100,000円と400,000円の価格差は、単なる保温力の差ではなく、寝心地の差にあります。
日本羽毛製品協同組合(日羽協)のゴールドラベル基準では「プレミアムゴールド」に該当しますが、実質的には“オーバープレミアム”とも言える最上位クラスです。
寝心地の差は、例えば羽毛布団の重さや生地の柔らかさ、蒸れにくさなどに現れます。とにかく軽く、しっとりと包み込むような暖かさと心地よさを体感できます。
この価格帯の羽毛布団は、その寝心地の良さから「価格以上の価値がある」と高い満足度を得ています。
【別格】番外ランク ― お値段も寝心地も別格
究極の羽毛布団として知られるのが、アイダーダックダウンを使用した製品です。価格は圧倒的ですが、それに見合う素晴らしさが備わっています。
ただし、アイダーダックダウンにも品質差があり、極端に安価な製品や信頼性に乏しいメーカーのものはおすすめできません。特に、スティッキーダウンや「アイダーリッシュダウン」など、名前が紛らわしい商品が存在しますが、これらはアイダーダックダウンとは異なる別物ですので、誤解しないよう注意が必要です。

アイダーダックダウン羽毛布団の相場はおおよそ1,500,000円〜3,000,000円。年々価格が上昇しており、今後も値上がりが見込まれます。
羽毛布団のダウン品質と価格帯の目安
羽毛布団は5つの品質ランクと、特別な番外ランクに分類されます。しかし市場では、購入を後悔してしまうような「名ばかりの羽毛布団」も数多く存在します。中には、売れ筋ランキング上位に入っている製品もあるため注意が必要です。
特に1〜2番目の低価格ランクに該当する製品は、購入前に再検討をおすすめします。このランクの羽毛布団は、価格を安く設定しながらも、あたかも高品質であるかのようなキーワードが使われ、魅力的に見えます。そのため、つい購入してしまいがちです。

失敗談から学ぶ羽毛布団選びを専門家が11ポイントで解説。原因や対策、指標の欠点や誤解にも詳しく言及。
後悔しないためには、羽毛の品質表示をしっかり確認し、慎重に選ぶことが大切です。特に満足度が高いのは「寝心地が感動と満足のランク」「なるほど感のランク」で、コストパフォーマンスに優れた製品は、現在では60,000円以上が目安となっています。
ダウン品質による違いと価格比較の方法
羽毛布団の快適さは、ダウンボールが形成する空気層によって決まります。この空気層が温度を調整するため、ダウンの品質が寝心地や価格を左右します。
快適さを決める要素には、羽毛の品質だけでなく、側生地の素材や構造(キルトの種類)も含まれるため、価格帯の違いとして現れます。
ダウンの種類は大きく分けて「ダック」「グース」「マザーグース」があり、品質はこの順で高くなります。とはいえ、それぞれの中でも品質差があるため、実際には重なり合う部分もあります。
マザーグースの品質はメーカーによって差があり、「マザーグース」と書かれていても品質や価格帯は幅広いです。購入時は「マザーグース」という表示だけでなく、具体的な指標も必ず確認しましょう。
羽毛の品質を示す指標には、以下の項目があります:
- ダウン率(%)
- ダウンパワー(dp)
- 羽毛の充填量(g)
- 洗浄度(羽毛の清潔さ)
- 鳥種混合率(グースにダックが混入する割合)
鳥種混合率の許容範囲は、西川(株)ではグース7%以下・マザーグース1%以下、日羽協では10%未満とされています。この基準にも違いがあるため注意が必要です。
詳しくは、西川と日羽協の基準の違いをご覧ください。
また、品質を見極めるには日羽協の4種のゴールドラベルも参考になります。ただし、西川(株)やロマンス小杉(株)など一部の有名メーカーは、日羽協に加盟していてもゴールドラベルを添付していないことがあります。
価格比較の際は、まず羽毛の鳥種を選び、次にダウン率・ダウンパワーを確認。そのうえで見落としがちな「充填量」も必ずチェックしましょう。
ゴールドラベルが付いている場合でも、羽毛の種類とラベルだけで判断せず、充填量も確認することが大切です。
羽毛布団の選び方については、当サイトの羽毛布団の選び方もあわせてご覧ください。
この5ランク分類は、35年にわたる経験をもとに作成しています。
なお、2022年のロシアによるウクライナ侵攻以降、原毛の価格だけでなく、側生地や輸送費の高騰も影響し、羽毛布団全体の価格が上昇しています。
おすすめの羽毛布団品質とは
5つのランクに分けた中でも、特におすすめしたいのは「なるほど感のランク」と「寝心地が感動と満足のランク」の2つです。
羽毛布団の魅力は、軽さ・暖かさ・快適な寝心地の三拍子がそろっている点です。この3要素を全て満たすには、羽毛の品質・側生地・キルト構造のバランスが重要です。
おすすめの羽毛指標
おすすめできる最低ラインは、ダウン率93%・ダウンパワー400dp以上のグースダウンです。
より高品質を求めるなら、西川基準でマザーグース93%・430dp以上、日羽協基準ではプレミアムゴールドラベル相当のマザーグースダウンがおすすめです。
西川(株)はダウンパワーの表示をしていないため、西川の羽毛布団の選び方をご参照ください。
おすすめの側生地
側生地は、柔らかく吸湿性が高く、軽量であることが重要です。耐久性も求められますが、快適さを重視する場合はやや薄手の生地になります。
おすすめの素材は綿ですが、価格を抑えたい場合はテンセルや合繊素材も候補になります。
耐久性を考えるなら、80番手サテン織の超長綿がおすすめ。寝心地を最優先するなら、100単糸以上・200双糸・精紡交撚糸が理想的です。
おすすめのキルト構造
一般的には立体1層キルト(シングルサイズで20マス)が使われますが、おすすめは羽毛の片寄りが少なく保温性に優れた密閉ハイマチキルトです。
暑がりの方は一般的な1層構造で十分ですが、寒がりの方には2層・3層構造がおすすめ。ただし、少し重くなり蒸れやすくなる点には注意が必要です。
プロの選ぶポイント
プロはメーカーの信頼性にも注目しています。どれほどスペックが良くても、信頼できないメーカーの製品はおすすめできません。
信頼できる代表的なメーカーは、西川株式会社、山甚物産株式会社など。また、知名度は低くても、国産にこだわった優良メーカーも存在します。
側生地が国産かどうか、国内縫製か、羽毛の充填地が日本かどうかなども、プロが重視する要素です。純日本製の羽毛布団は、市場全体のうち10%未満とされています。
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