羽毛布団のダウン率90%と93%の違いとは?選び方のポイントを解説

羽毛布団に使われている羽毛は、主に丸いかたちをした「ダウン」と、平たい「フェザー(羽根)」の2種類に分類されます。ダウン率とは、このうちどれだけの割合がダウンであるかを示す指標で、羽毛布団の品質や暖かさに大きく関わってきます。

一般的に、羽毛布団の品質表示では「ダウン93%・フェザー7%」や「ダウン90%・フェザー10%」といった形で記載されています。以下の画像は、その具体例です。

羽毛布団のダウン率90%と93%の品質表示例

一見すると、90%と93%の差はわずか3%に思えるかもしれません。しかし、ダウン率がわずかに違うだけで、保温性やふくらみなどに大きな差が生まれます。寝心地や快適さに直結するため、「どちらを選ぶべきか」で悩む方も少なくありません。ここでは、寝具の専門家がその違いと選び方のポイントをわかりやすく解説します。

羽毛布団の保温力は、ボール状の「ダウンボール」が暖かい空気をたっぷりと抱え込み、暖かさをキープする仕組みによって支えられています。一方で、平らな構造の「フェザー」は保温性にあまり寄与しません。

つまり、ダウン率93%と90%の違いは、単に数値上の3%ではなく、「保温力のある素材が3%増え、保温力のない素材が3%減る」という意味合いになります。この差は実際の暖かさや快適性において、数値以上の違いを生み出します。

さらにこの違いは、ダウンそのものの品質や見た目、ふくらみ方にも影響を与える重要なポイントです。詳しくはこの後の章で解説しますが、まずはこの3%の違いが、なぜ体感レベルで大きな差になるのかを押さえておきましょう。

ダウンの実態とは?―ダウン率の裏側を正しく知る

「ダウン率」と聞くと、すべてが高品質なダウンボールで構成されているように感じるかもしれません。しかし実際には、ダウンとしてカウントされる中には、成熟しきっていない未熟ダウンや、壊れてファイバー状になったダウンも含まれています(下図参照)。

ダウン率の内訳と実態のイメージ図

重要なのは、ダウン率が高くなるほど、こうした未成熟ダウンやファイバーダウンの割合が減り、より高品質なダウンボールの含有量が増える傾向にあるという点です。つまり、同じ「90%」や「93%」という数字でも、その中身には質的な違いが存在し、それが保温性や耐久性に直結します。

ダウン率の違いは「精毛方法」に現れる ― 羽毛の選別工程とは

ダウン率90%と93%の羽毛布団の品質差は、実は羽毛の精毛(せいもう)方法を知ることで、より具体的に理解できます。

羽毛は下図のように、ソーティングマシンと呼ばれる装置で選別されます。羽毛を機械に投入し、送風によって舞い上げることで、浮力の違いによって質の高い羽毛を分類していきます。遠くまで飛んだ羽毛ほど軽くて良質、つまり高いダウン率を持つ羽毛とされます。

羽毛のソーティングマシン(選別工程)のイメージ図

特に、ふっくらと丸みのあるダウンボールは、フェザーや未成熟ダウン、ファイバー化した羽枝よりも浮力が高く、遠くまで舞い上がる性質があります。したがって、より遠くまで飛んだ羽毛ほど、正常なダウンボールの含有率が高く、品質の高い羽毛布団に使用されるのです。

ダウン率93%の羽毛は、90%の羽毛よりも1ブロック遠くまで飛ぶ、つまりさらに厳選された高品質なダウンボールで構成されています。これは数値の上でわずか3%の差に見えても、実際には素材のグレードに大きな違いがあることを意味します。

前述の通り、フェザーは羽毛布団の保温性にはほとんど寄与しませんが、同様に未成熟なダウンやファイバー化した羽枝も保温力に乏しい素材です。寝具専門店が注目するのは、ダウン率がわずかに高くなるだけで、こうした“保温性に貢献しない素材”の割合が減るという点です。

つまり、93%と90%という3%の差は、実際には羽毛布団全体の保温性能において、それ以上の違いを生むことです。このような品質の違いは、暖かさだけでなく、ふくらみや軽さ、長期的な耐久性にも影響します。

ダウン率とダウンパワーの関係 ― 90%と93%の違いはどこに現れる?

羽毛布団の快適性を左右する重要な要素のひとつが、ダウンパワー(かさ高性)です。これは、羽毛がどれだけ空気を含み、ふくらむ力を持っているかを数値で示した指標です。

一般に、ダウン率が高くなるほど羽毛の品質が向上し、それに伴ってダウンパワーも高まる傾向にあります。特にダウン率93%の羽毛は、90%と比べて未成熟なダウンやファイバー状の羽枝が少なく、丸く弾力性に富んだダウンボールの割合が多く含まれています。

そのため、同じ重量で比較した場合でも、93%の羽毛の方がより多くの空気を含むことができ、結果としてダウンパワーが高くなりやすいのです。これにより、より軽くて暖かい、上質な羽毛布団が仕上がります。

この傾向は、国内の羽毛布団の品質基準にも反映されています。たとえば、日本羽毛製品協同組合(日羽協)が発行するロイヤルゴールドラベルにおいて、ダウンパワー400dp以上を満たす製品のほとんどがダウン率93%以上であるという事実があります。ダウン率90%で400dpに到達するケースは非常に稀です。

日本羽毛製品協同組合のロイヤルゴールドラベル裏面に記載されたダウンパワー表示

一方、ダウン率93%の羽毛布団には、400dp以上はもちろん、ハイランクである440dpの製品も多く存在します。これは、わずか3%の差が実際の暖かさやふくらみにおいて、体感できる違いをもたらすことを示しています。

なお、日本羽毛製品協同組合(日羽協)が発行する4種類のゴールドラベルには、品質に応じた明確な基準が設けられています。その中で、上位ランクである「ロイヤルゴールドラベル」と「プレミアムゴールドラベル」と、下位の2種ラベルとの分かれ目となる品質基準が、ダウン率90%・ダウンパワー400dpです。

しかし、前述の通りダウン率90%でダウンパワー400dpを満たす羽毛は極めて稀であり、実際にはわずかにダウン率を高めることで、この基準を安定的にクリアできるようになります。

特にダウン率93%の羽毛であれば、ダウンパワー400dp以上を確保しやすく、加えて品質表示上の±5%という許容誤差を考慮しても、余裕をもってロイヤルゴールドラベルの品質基準を満たすことが可能です。

このように、ダウン率93%の羽毛は、見た目の数値以上に品質の安定性と信頼性が高く、長く快適に使える羽毛布団を選びたい方にとって、非常に価値のある選択肢といえるでしょう。

ダウン率90%と93%の羽毛布団、価格差とその価値は?

400dp(ダウンパワー)を誇る高品質グースダウンを使用した羽毛布団において、ダウン率90%と93%の価格差は意外にも大きくありません。一般的には約5,000円前後の差で、最も高いケースでも1万円以内に収まることがほとんどです。

しかし、その差額で得られる性能は侮れません。保温性では体感温度で約+2℃の違いが出るほか、耐久性にも差があり、使用状況にもよりますが1〜2シーズン分長持ちすると考えられています。

製品の設計思想を見ても、ダウン93%の羽毛布団は品質と快適性を重視したつくりであるのに対し、ダウン90%は売価優先の設計で、どうしても品質面では見劣りする感は否めません

たった3%の差に見えても、実際には「暖かさ」「耐久性」「快適性」など、長期的に見ればコスト以上の価値がある選択肢です。ご自身の使い方や求める快適さに応じて、最適なダウン率を選びましょう。

まとめ ― ダウン率93%の羽毛布団が選ばれる理由

ダウン率90%と93%の違いは、単なる“数値上の3%”にとどまらず、実際の羽毛の品質や保温力において明確な差を生みます。ダウン率が高くなるほど、未成熟なダウンやファイバー化した羽枝が減少し、ふくらみの大きな正常なダウンボールが多く含まれるようになります。

その結果、羽毛布団の軽さ・暖かさ・耐久性といった機能性が全体的に向上します。とくにダウンパワー(かさ高性)にも好影響を与え、ダウン率93%の羽毛は90%と比べてより多くの空気を抱え込みやすく、軽くて保温性に優れた仕上がりになります。

この傾向は、実際の市場における品質評価にも明確に表れています。たとえば、日羽協が発行するロイヤルゴールドラベル製品では、ダウンパワー400dp以上を満たすもののほとんどがダウン率93%以上です。ダウン率90%で400dp以上に達する製品はごくわずかであり、ダウン率93%の羽毛布団には400〜440dpの高ランク品が多く存在します。

つまり、羽毛布団選びで「どのくらい暖かく、長く快適に使えるか」を重視するなら、ダウン率93%という数字は信頼の指標となります。わずか3%の差が、毎日の睡眠環境をより快適にする“品質の違い”を生み出しているのです。

ダウンパワーや精毛工程にも目を向け、数値の背景にある「中身の違い」まで理解することが、後悔のない羽毛布団選びへの近道です。ダウン率93%は、快適な眠りを守る“品質のお守り”とも言える存在として、多くの寝具専門店やユーザーから支持されています。

関連サイト

羽毛布団選び方ラベル
羽毛布団の選び方

最適な羽毛布団を選ぶには、品質指標の基礎知識に加え、商品説明文の行間を読み解く専門家の知見が不可欠。

羽毛布団のランクと相場、コスパ的おすすめ羽毛布団の品質と選び方
羽毛布団のランクと相場価格

布団の寝心地を5分類!購入を後悔するものから早く購入しなかった事を後悔するものまで。価格は?

羽毛布団ロイヤルゴールドラベル
ロイヤルゴールドラベル

日本羽毛製品協同組合(日羽協)が発行しているロイヤルゴールドラベル...

ダウン率
ダウン率とは

この比率は、布団の暖かさと耐久性の目安となるものです。この数値が高ければ「一応」上質と言えますが、他...

羽毛布団の種類
羽毛布団の種類

羽毛布団の種類は、冬用羽毛布団、春秋の合掛け羽毛布団、夏用のダウンケットの3タイプがあります。