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羽毛布団はリフォームか新品

長年使用すると羽毛布団も寿命かなと感じる様になります。その際に羽毛を打ち直してリフォームするか?新品を買うかで迷います。「羽毛布団をリフォームして新品のようにフカフカによみがえる」との広告を見ると更に迷ってしまいます。はたして、リフォームはお得なのでしょうか?そこで、新品とリフォーム後の品質を、数値化することで費用対効果を明らかにします。

新品とリフォーム後の羽毛布団の違い

羽毛布団をリフォームすると、側生地が新しくなるため見た目には新品に見えます。しかし新品との違いは、中味の羽毛が中古品であることです。打ち直すことで新品にヨミガエルわけではありません。

リフォーム後の羽毛布団の品質の内訳をイメージ図で表してみます。打ち直しは、ある程度再生はしますが新品ではなく中古品です。

羽毛布団の打ち直しリフォームの品質

平均すると打ち直した羽毛布団の品質は新品時の8割程度です。例えば、新品時のプレミアムゴールドの品質が、リフォーム後はエクセルゴールの中古品質に・・・。

羽毛布団のリフォーム後の品質

羽毛布団リフォームと新品の比較

羽毛の打ち直しとは、ダウンボールが割れて枝羽になったものを取り除き、残った損傷の少ないダウンに同じクラスの新しいダウンを追加することです。打ち直し後のダウンは新品当時と比べると低下しています。そのため、リフォームした羽毛布団の品質(機能性と耐久性)は新品より低くなります。費用対効果を判断するには、新品購入価格よりリフォーム代金が品質(新品の8割)差以上に安いかどうかです。例えば新品購入の8割以下の価格であれば、検討の余地はあるかも知れません。

打ち直したダウン品質を数値化

有名メーカーにおいて、シングルサイズでダウンを1200g充填した羽毛布団をリフォームする際に、追加する新品のダウンを300gとして価格設定をしていると聞いています。中古品質であるが使用に耐えうるものは、1200gの75%で900gと想定している事になります。品質も新品の75%程度と考えるのが妥当と思います。

打ち直したダウンの品質を数値化する計算式を紹介します。1200g充填している羽毛布団をリフォームすると仮定します。

ダウンの寿命は50年とも言われていますが、使用せずに保管した場合のことです。羽毛布団を長年使用したとすれば、中味のダウンボールが新品時の状態のままということはあり得ません。新品の品質を100%とすると、使用可能なダウンの品質を75%に設定することもご納得頂けると思います。

打ち直し羽毛の品質の計算式

打ち直したダウン品質は新品の約80%であり、保温力も同様に約80%しかないと考えられます。追加ダウンの品質が元の羽毛布団のものより悪い場合は更に低くなります。この計算式は単純ですが、充填量も1200gであり上質の羽毛布団をリフォームした事例です。

打ち直し後のダウンパワー

打ち直した後のダウンパワー値(dp)も上記の計算式からおおよそでます。もちろん、リフォームをする羽毛布団全てに当てはまりませんが概ね間違いではないと考えます。

新品時のダウンパワー値が440dpであったとすれば、打ち直し後は81.25%の品質になっています。440dpの約81.25%で358dpになったことになります。358dp以上に付くラベルはエクセルゴールドなので、マザーグースとかプレミアムゴールドが、リフォーム後はエクセルゴールドのクラスになることです。

しかし、新品のエクセルゴールドのダウンは、新品なので耐久性において優れています。羽毛布団のリフォームの費用対効果がどの程度のものか数値化すると明確になります。ゴールドラベルの詳細については、日羽協のサイトをご覧下さい。

羽毛布団の製造とリフォームの工程

羽毛布団をリフォームするのと新品の製造工程の違いは、お客様の羽毛布団のダウンを打ち直しする工程が有るか無いかです。まずは、簡単に羽毛布団の作り方をご案内致します。

羽毛布団の製造工程

製造工程は下図のような側生地を仕立てた後、下の図では、ブロック1から4にダウンを吹き込む作業を繰り返し完了します。詳しくは羽毛布団の作り方のサイトにて。

側生地にダウンを充填

羽毛布団の製造工程イメージ

リフォームの側生地側生地にダウンを吹き込むリフォーム行程リフォーム完了の羽毛布団

この工程は、新品もリフォームも同じ工程です。吹き込むダウンが、新品か打ち直し後の中古品かの違いです。


打ち直しの各工程

打ち直しをするために必要な工程リストアップしてみます。

  1. 1.お客様よりリフォームする羽毛布団を引き取ります。(送料約1,000円)
  2. 2.側生地をカッターナイフで切り裂き、打ち直しするダウンを取り出します。
  3. 3.割れて枝羽になったものとかゴミを取り除き使えるものを選別します。
  4. 4.少し傷んだダウン含まれますが、選別後は洗浄して乾燥します。
  5. 5.乾燥後に計量します。ゴミ、枝羽を取り除いた分不足しています。
  6. 6.不足分を新しいダウンを加え混ぜます。
  7. ※定量の新品ダウンに打ち直したものを追加して定量にする方法もあります。
  8. ※打ち直したダウンが少なく定量に足らない時は追加が必要になります。

上記のリストがダウンを打ち直するために必要な主な工程です。設備の減価償却費と人件費がどの程度必要でしょうか。この工程は、他のお客様のダウンが混ざらない様に一枚ずつ行います。1から6まで終えるには時間が掛かります。

羽毛の打ち直し工程イメージ

側生地を切り裂く打ち直し工程足しダウン

羽毛布団をリフォームする工程は、打ち直したダウンを側生地に吹き込み、吹き込み口を縫合することで完了します。新品との製造工程との違いは、打ち直し工程の有無です。

仮にシングルサイズの羽毛布団をリフォームするとして説明をします。新品の羽毛布団に必要な新品のダウン量を1.2kgとして、価格を10,000円と仮定します。この場合は、打ち直しの費用が10,000円以内でなければメリットはでません。

打ち直しダウンのコストの内訳

打ち直しをするための足しダウンが300g(1.2kgの25%)だとすると、10,000円×0.25なので2,500円になります。さらに送料の1,000円が必要となり、新品のダウンと10,000円との差額は6,500円以内でなければなりません。

人件費、機械のコスト、電気代、洗剤、水道代金などのコストが、6,500円以内でなければなりません。打ち直しの工程は、布団を切り裂き選別、洗浄、乾燥などの工程を、お客様ごとに一枚ずつ行わなければなりません。完了するまで何時間かかるでしょうか。3時間?4時間?でしょうか?アルバイトの時給はいくらでしょうか。現実的ではありませんが、仮に人件費、機械のコスト等が4,000円以内であったとすると、2,500円が差額となります。

新品のダウンの品質が100%とすると、打ち直し後の品質は中古です。コストの差は2,500円です。少なくとも羽毛布団を打ち直す費用対効果は、このコスト差がプラスであることが必要条件です。しかし、コスト差がプラスであっても羽毛布団のリフォームは、費用対効果の観点からお得と言えるのでしょうか?上記の計算では、打ち直したダウンの品質は新品の80%です。

羽毛布団の打ち直しリフォームと新品のコスト

今回は新品ダウンの価格を10,000円として計算をしましたが、リフォームする羽毛布団の品質により変わります。

新品と打ち直し代金の差額

新品の羽毛布団の価格とリフォーム代金との差額を、大きくする方法について説明をします。簡単に言えばリフォーム代金を安くする方法です。

側生地の品質下げることが第一の方法です。海外製の側生地を海外で縫製したものを使うと安くできます。第二の方法は、ダウンの打ち直し工程の時間を短縮(手抜き作業)することです。第三の方法は追加するダウンのコストを下げることでも可能かと思います。ダウンのコストを下げることは、品質を下げることであり「偽装」の文字が浮かんできます。

羽毛布団のリフォーム代金が極端に安い場合は、どこかでコスト削減が行われています。「企業努力で実現できた価格です。」との言葉が聞こえてきそうですが、上記の図で新品の製造コストとの比較を見れば限界値があります。

羽毛布団のリフォームの費用対効果

上記の説明は仮定の数値に基づくものですが、大きく現実と離れてはいません。2000年ごろ店主も羽毛布団のリフォーム作業を経験しています。その際に費用対効果の点からリフォーム依頼をお断りすることもあり、現在は羽毛布団のリフォームを行っていません。

羽毛の打ち直しの費用対効果

ダウンの打ち直し作業を金額として数値化してみました。更に打ち直し後のダウンの品質を数値化してみました。上記の例では、新品の羽毛布団との比較において製造コストの差は2,500円でした。しかし、リフォーム後の羽毛布団の品質は、新品を100%とすると約80%しかないことになります。わずか2,500円差で、保温力、耐久性が新品ダウンの約80%しかないのです。総合的に判断すると羽毛のクォリティーが低ければ、羽毛布団のリフォームの費用対効果はゼロと言わざるをえません。新品ダウンと打ち直したダウンの差額が大きくなれば、費用対効果が認められるようになります。

羽毛布団のリフォームでの費用対効果の分岐点

打ち直し可能なダウン

当店がリフォームをお勧めできる羽毛布団の品質は、ダウン率は93%以上、ダウンパワーは430dp、かさ高値なら180mmのグースです。かさ高値170mmの場合は、使用期間と布団の状態により微妙なところです。上質のダウンでも、使用期間が長い場合とかクリーニング回数が多い場合は、打ち直しはお勧めできません。

打ち直しをお勧めしないダウン

ダックダウンの場合は、上記の図でブルー色のコスト(運賃、解体、選別、洗浄)が大きくなり、新品に買い替える場合との差額がでないと思います。仮に差額が0円だとすれば再生したダウンは品質が低下している分マイナスとなります。ダックダウンの羽毛布団の場合は、費用対効果は望めません。

羽毛布団のボリュームがなくなったと感じたら寿命がきているかもしれません。詳しくは羽毛布団の寿命にて説明しています。リフォームをする前にご覧ください。お使いの羽毛布団はすでに寿命がきているかもしれません。

羽毛布団の品質の違いについて説明をした羽毛品質の違いのサイトをご案内いたします。リフォームをするかどうかは、ダウンの品質判定をすればおおよその判断がつきます。羽毛布団のリフォームの費用対効果の判断基準は、品質表示票を見ればおおよその判断ができます。

費用対効果からリフォームできる羽毛布団の品質

過去の経験値から下記の条件が、費用対効果からリフォームできる羽毛布団の品質です。

  1. 1.使用期間が10年未満であること
  2. 2.クリーニング回数は1回まで
  3. 3.グースダウンであること
  4. 4.ダウン率93%以上、420dp以上
  5. 5.過去にリフォームしていないこと

統計資料に基づくものではありませんが、羽毛布団の商品寿命はおおよそ15年程度と思います。新品に買い替えを検討されている方との会話から得た数字の平均が15年程度です。寿命の15年を目安にされて、リフォームの費用対効果を判断されても間違いではないと思います。羽毛布団のリフォームは、使用期間は最長でも10年までであり、リフォーム回数は1回までと考えます。

今回は新品羽毛の価格を10,000円として計算をしましたが、マザーグース等になれば20,000円以上になります。価格は採取量と為替相場により変動します。10,000円は、ぎりぎりレギュラーグースの原価かもしれません。毎年変動しています。

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