羽毛布団のリフォームとは

「へたって寒くなった羽毛布団をリフォームすればフカフカのボリュームに回復し保温力もアップし暖か!」との広告は魅力的です。

しかしいざ羽毛布団をリフォームするとなると、ボリュームの回復量はどれくらいか?買い替えとコスパ的にどうなのか?どのようなリフォーム会社を選べばよいのか?等の疑問が生じます。

そこで、羽毛の打ち直し作業もしてきたが、羽毛布団のリフォームのビフォーアフターとコスパ的な料金相場や西川をはじめリフォーム会社の選び方を紹介します。

羽毛布団の打ち直しがどのようなものかを十分にご理解頂いた後、ご注文を頂ければと願っています。

羽毛布団のリフォームのビフォーアフターのイメージ図

目次

  1. 羽毛布団の打ち直しとは
    1. リフォーム前の羽毛の状態
    2. 羽毛の洗浄乾燥行程
    3. 足し羽毛の行程
    4. リフォーム後の羽毛の状態
    5. 羽毛布団リフォームのビフォーアフター
  2. リフォームのコスパ的な料金相場
    1. 打ち直しと新品どっちがお得
    2. 羽毛布団のリフォーム料金
    3. リフォームの料金差
    4. リフォーム料金と相場
  3. リフォーム会社選び
    1. リフォーム会社の比較と選び方
    2. 西川R&Rと日羽協の認定工場違い
    3. 取次店の選び方

羽毛布団の打ち直しとは

羽毛布団の打ち直しとは、長年使用して汚れた羽毛や小さくなった羽毛と折れてゴミ化したものを選別して、残った羽毛を洗浄してゴミとして取り除いた不足分を新しい羽毛を足して、新しい側生地に入れ羽毛布団のボリュームを復元することです。

それでは羽毛の打ち直しとは具体的にどのような作業なのか?なぜ新しい羽毛を足すのか?等を説明します。

ここで重要なことは、打ち直しのビフォーアフターにおいて羽毛がどのような状態かを理解頂く事です。

リフォーム前の羽毛の状態

リフォーム前の羽毛の状態を表したのが下の画像左側です。赤い部分はゴミ化した羽毛の破片であり黒く塗りつぶされている部分が汗汚れで毛玉になった羽毛です。

羽毛の打ち直し工程では、はじめに側生地を切り裂き羽毛を取り出しゴミを取り除く除塵工程をしたのが下の画像右側です。

羽毛布団の側生地を切り裂き中の羽毛を取り出し折れてゴミ化した羽枝などを取り除く行程のイメージ図

羽毛の洗浄乾燥行程

除塵行程が終わった羽毛は、洗浄することで羽枝に付いた汚れを落とし乾燥することで毛玉状態のダウンボールはほぐされます。

下図左側が洗浄前の羽毛で右側が洗浄後です。毛玉状態のダウンボールがほぐれているのが解ります。洗浄・リフレッシュ乾燥することでダウンのボリュームは回復します。

除塵後洗浄乾燥することで毛玉状態のダウンボールがほぐされる様子のイメージ図

ダウンの洗浄方法は、日羽協のリフォーム認定工場ではプレミアムダウンウォッシュとダウンウォッシュの2種類あります。プレミアムウォッシュした方がボリュームは出ます。また、洗浄をせずに新しい側生地に入れ替えるコースもあります。

足し羽毛の行程

洗浄・乾燥することでダウンボールのボリュームは回復しますが、ゴミとして取り除かれた分はダウンボールが小さくなっています。この分を補うために新しい羽毛を足します。

足し羽毛量は、リフォーム会社毎にコース料金内で追加できる量(標準追加量)が決められています。シングルサイズだと標準追加量を200gとか300gなかには350gとしている会社もあります。

追加羽毛をシングルで350g追加して十分な保温力を確保できるボリュームが出ない状態の羽毛布団はリフォームをおすすめできません。

追加羽毛は元の羽毛布団の羽毛と同じ種類(グースならグース、マザーグースならマザーグース)で同ランクの羽毛を追加されることをおすすめします。

洗浄乾燥後の羽毛に不足分の羽毛を足す行程のイメージ図

リフォームすることで羽毛布団のボリュームが復元するのは、羽毛を洗浄することで回復する分と足し羽毛による効果です。羽毛を足した後は品質を均一にするため撹拌します。

リフォーム後の羽毛の状態

下図が羽毛の打ち直しのビフォーアフターを比較したものです。下の画像の右側がリフォーム後を表しゴミがなくなり毛玉状態のダウンはほぐれて新しいダウンが追加されるため羽毛布団のボリュームは増します。

羽毛を打ち直す前の汚れたりゴミがある状態と打ち直し後クリーンな羽毛と新しい羽毛が追加された様子・打ち直しのビフォーアフターのイメージ図

羽毛布団リフォームのビフォーアフター

羽毛布団をリフォームすると布団のボリュームはアップします。ボリュームの復元量は、リフォーム前の羽毛布団の状態と追加する羽毛の種類と羽毛品質の違いさらに追加量により異なります。

ボリュームは新品同様に回復したとしても、上記の例だと新品羽毛1200gの品質性能を1200g×100%で120000とするならリフォーム後の羽毛性能は900g×75%と300g×100%の合計97500となります。この例ではリフォーム後の羽毛性能は新品羽毛の約81%と言うことになります。

リフォームのコスパ的な料金相場

費用対効果を考えるとリフォームか買い換えかで迷われます。そこで新品とリフォームの違いを比較します。

打ち直しと新品どっちがお得

リフォームした羽毛布団のボリュームは下図の様に回復していますが、中のダウンボールは損傷を受けたものが混ざります。そのため新品の方が保温力と耐久性と軽さの点で優れています。

新品羽毛布団とリフォームによりボリュームを回復した羽毛布団のダウンボールの違いのイメージ

上記の例だとリフォーム後の羽毛品質は新品の約80%でした。羽毛布団の品質も同様に約80%になります。なぜなら羽毛の耐久性も80%であり、羽毛が寿命を迎えたら側生地に問題が無くても羽毛布団として機能しないためです。

コスパ的なリフォーム料金は同クラスの羽毛の品質と側生地の品質とキルト方式の新品羽毛布団の80%までとなります。打ち直しは羽毛の再利用なので羽毛の品質が良い方がコスパ的です。

リフォーム前の羽毛の状態により上記の例のように追加羽毛が300gも必要ない場合もあれば、逆に300gでは足りない場合もあり得ます。リフォームに適した状態か否かの判断が必要になります。

羽毛布団のリフォーム料金

足し羽毛の品質と量・洗浄方法・側生地・キルト方式が決まれば料金は自ずと決まります。ただ会社により料金が異なるのも事実です。そこでリフォームの料金差の要因と相場について説明します。

リフォームの料金差

羽毛布団のリフォームの料金は、20,000円前後から200,000円前後までと10倍の差があります。

料金差は、足し羽毛の品質と量・洗浄方法・側生地・キルト方式の違いから生まれます。項目毎に説明します。

  1. 足し羽毛の品質は、ダック・グース・マザーグースのダウンの鳥種とダウン率・ダウンパワーにより料金差があります。
  2. 足し羽毛の量は、コース毎に設定された標準足し羽毛量が100gから350gと幅があります。設定量の全量か必要量かの違いがあります。
  3. 洗浄方法は、洗浄無し・ダウンウォッシュ・プリミアムダウンウォッシュの違いです。あるいはクリーニングの場合もあります。
  4. 側生地素材は、ポリエステル・合繊・ゴアラミネート・超長綿(ランク有り)の違いです。海外製の場合は安くなります。
  5. キルト方式は、1層立体キルト・2層とか3層キルト・ダウンの移動防止キルト・その他特殊キルトにより料金差があります。縫製が海外の場合は安くなります。

安い20,000円前後は、ダウン率の低いダック・ダウンウォッシュ(洗浄無しは更に安い)・海外製ポリエステル・海外縫製1層立体キルトのコースの様な内容です。

高い200,000円前後は、ダウン率95%以上のマザーグース・プリミアムダウンウォッシュ・国産の上質超長綿・その他特殊キルトのコースの様な内容です。

利用金差の要因には、各コースの標準足し羽毛の量が100gから350gと幅の違いがあります。また全量か必要量なのか羽毛の足し方違いも関係します。

コスパに優れたリフォームをするためには、足し羽毛の品質と量・洗浄方法・側生地・キルト方式を条文に比較して発注会社の信用力を調べる必要があります。

リフォーム料金と相場

10倍の値段差をコスパ的に見ると安いコースは新品と比較する必要があり、高いものも品質状態によりリフォームをおすすめ出来る場合もありますがコスパを検討してください。

安いものはシングルサイズで税別約20,000円前後ぐらいからありますが、側生地がポリエステルでムレ感がでたり、綿の生地でも糸番手が40番手と厚い生地で硬くて重かったり、織り方がツイルとか平織りでペーパー音がしたりします。リフォームの仕上がり具合はお値段程度です。

おすすめの打ち直しのお値段は、シングルをシングルにするパターンでプレミアムダウンウォッシュ、93%400dpグースダウン200g-300g追加で、側生地は国産60番手か80番手の超長綿、国内縫製立体キルト20マスに仕上げる場合は税別60,000円前後です。

寒がりの方とか寝室温度が低い場合は2層キルトを選んでください。

足し羽毛をマザーグースにするとか上質の超長綿の側生地で特殊なキルト方式にする場合のお値段は100,000円以上します。

シングルをシングルに打ち直す場合の相場は、60,000円前後から100,000円前後です。ダブルサイズの値段は約1.5倍です。サイズ変更する場合は足し羽毛の必要性により値段は異なります。

リフォーム会社選び

羽毛布団の打ち直しはどの様に仕上がるかが不安だと思います。羽毛布団の選び方におけるメーカーの信頼度と同じ事がリフォーム会社を選ぶ際にも言えます。

会社の信頼性を調べる方法として、日羽協のリフォーム認定工場一覧のリストに掲載されているか否かは信頼性の【目安】になります。

ただし認定工場一覧リストには、西川(株)など大手の寝具メーカーは掲載されていません。西川(株)においても羽毛布団のリフォームはしています。西川(株)あるいはご購入販売店にご相談ください。

リフォーム会社の選び方は、プレミアムダウンウォッシュのように羽毛をダウレクトに洗浄できるマシーンの有無でも判断出来ます。日羽協のリフォーム認定工場はこの装置を設置しています。

また、リフォーム完了後に検針装置をくぐらせる必要があります。この装置を備えていない会社はおすすめできません。これらの最新の装置を備えている会社となると羽毛布団メーカーになります。

リフォーム会社の比較と選び方

上記の条件に合致する会社は多くあり迷うかもしれません。更に選ぶ条件を追加する必要があります。

羽毛布団の打ち直しの際に、標準の足し羽毛だけでなくさらに追加羽毛が必要な場合に、羽毛品質ごとに100g単位の値段が設定されています。シングルの羽毛布団のダウン充填量は1200gから1300gなので、この羽毛100gの単価を12倍から13倍すれば新品のシングルの羽毛布団の羽毛だけの値段が算出できます。

この値段と市場で販売されている同クラスの羽毛布団の値段を比較すれば足し羽毛100gの単価の整合性が見えます。この方法は打ち直しする業者の信頼性を比較する上で役に立つと思います。

リフォーム会社を比較する別のポイントは、コースの基本料金での標準足し羽毛量を比べる方法があります。同じような価格帯でも足し羽毛量が100gか300gかでは仕上がりに差が出ます。この際に注意しなければならないのは、羽毛の種類と品質が同じクラスであることです。

筆者のリフォーム作業の経験では、ヘタリが出た状態のシングル羽毛布団に追加する羽毛量は少なくとも200gは必要と考えます。更に付け加えるならシングルサイズで追加羽毛400g追加する必要がある場合は、コスパ的には打ち直しをおすすめできないダメージを受けた羽毛と思います。

西川R&Rと日羽協の認定工場違い

西川は足し羽毛の標準設定量を全量入れる先入れ方法であり、日羽協の認定工場はボリューム復元に必要な量の羽毛を入れる後入れ方法です。西川R&Rと日羽協のリフォーム認定工場との違いは足し羽毛の足し方が最大の違いです。後入れ法は個々の羽毛布団により足す羽毛の量が異なります。

他にも洗浄後の乾燥工程にて羽毛をリフレッシュする技術も少し差があります。西川と同レベルの技術力を持つ認定工場もあれば旧式の設備の工場もあります。

取次店の選び方

寝具店・取次店の役割は、打ち直しのメリットがあるかどうかをアドバイスすることです。羽毛の知識と経験があれば現物の羽毛布団を見て触れれば、打ち直しのメリットがあるかどうかのおおよその判断はつきます。

しかし、現状はただ単にメーカーに取り次ぐだけの店もあるよう聞きます。取次店の選び方は、どの会社に打ち直しを依頼しているかを記載していることが必須条件です。羽毛布団の知識がある取次店を選んでください。

羽毛布団のリフォームは側生地を切り裂くため途中解約は出来ないことも承知の上でご発注ください。

SDGs・持続可能な循環型社会を目指し、羽毛の打ち直しとかグリーンダウンプロジェクトへの参加は重要と考えます。

リサイクル羽毛布団と打ち直しは別物です。詳しくは、リサイクル羽毛をご覧ください。

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