羽毛布団の臭いの問題

羽毛布団の臭いの問題で最も多いのがダウンの獣臭ではないでしょうか?通販サイトで購入する際に臭いは確認できません。

このダウンの臭いを取る方法についてのお問い合わせで「通販サイトにてダウンケットを購入したが、鳥特有の獣臭が強く使用できなかった。洗ったり干したりしたが臭いはとれず・・・」の様な内容が多くあります。

臭いの問題は、羽毛布団よりダウンケット(肌掛け)の臭いに関するものが多くあります。ダウンの臭いの原因は、ダウンケットも羽毛布団も基本的に同じです。

そこで新品の羽毛布団の獣臭を含む臭いの原因とニオイの取り方、さらに購入前の臭いを見える化します。

目次

  1. 羽毛布団の臭いの原因
  2. 羽毛布団の臭いが取れるかの判断
  3. 羽毛布団の臭いを取る対策
  4. 臭い羽毛布団の回避策
    1. 羽毛布団の臭いを見える化
羽毛布団の臭い

羽毛布団の臭いの原因

はじめにご案内をしますが、羽毛布団は無臭ではございません。特に新品時には特有の臭いあります。

新品の羽毛布団の臭いは、側生地素材が綿であれば綿の臭いとか生地の染料の臭いも僅かにあります。ダウンも無臭ではありません。

ハードケースの臭いの原因

またケースの臭いがある場合もございます。特にハードケースは、紙を圧着して板状にしたものには少しですが接着剤のような臭いがするものあります。

ダウンの雑菌を殺菌するオゾン殺菌加工をすると、少しスパイシーなカビの様な臭いがします。

新品の羽毛布団には、これら複数の臭いがミックスされた特有のニオイがあります。

これらの臭いは時間の経過と共に薄れてい来ます。

羽毛の鳥特有の臭いの原因

ダウンの鳥特有の臭いの主要な原因は、未成熟ダックダウンとフェザーに多く含まれている油脂分によるものです。

別の言い方をすれば、食肉用に短期間に育成した若鶏から採取されたダウンが臭う傾向が強いと言えます。これは強烈なニオイがします。

羽毛布団の獣臭の原因は、「ダウンを洗浄した水の透明度が通常500mm以上」の日本羽毛製品協同組合の基準をクリアしていれば、臭の原因が洗浄不足の可能性は低いです。

海外でダウンが充填されたダウンケットのニオイの問題は、ダウンの油脂分と洗浄不足の両方が原因として考えられます。

ダウンの油脂分を完全に取り除くことは可能ですが、油脂分がなくなるとダウンは【髪の枝毛】の様に裂けるためある程度残す必要があります。ただダウンの油脂分の残量が多い場合は臭いが強くなります。

羽毛の鳥の種類による臭いの強さ

鳥の種類によっても臭いに差がございます。ダウンにはグースとダックの2種類がありますが、どうしてもダックの方が臭いが強い場合が多くあります。こちらにグースとダックのダウンの違いについてのページがあります。

鳥の種類により雑食と草食の食性による違いがニオイの原因だという説もありますが、基本的にはダウンのニオイの原因は未成熟ダウンに含まれる油脂分が原因です。未成熟ダウンは飼育期間が短い鳥から多く採取されています。飼育期間の長いフランス産ダックはニオイの問題は少ないのも事実です。

臭いの強さは飼育期間の短いダックのダウンが臭う傾向があります。産地で言うと中国産のダックダウンが臭うことが多いようです。

ではなぜ臭うのか?やはり羽毛布団の鳥特有の臭い一番の原因は油脂分の量です。臭いの問題は、ダックダウンを充填した羽毛布団とかダウンケットに多く発生しています。

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臭いの強さと温度の関係

羽毛布団の中には「鳥のダウン」が入っているのですから、当然わずかにですがダウンの臭いはするものであり完全に無臭ではないと考えて下さい。気にならない程度の臭気はあります。

梅雨時から夏に掛けて高温多湿になると臭いが強くなる傾向がございます。これはダウンに残されている油脂分が溶け出して臭っているためです。

この油脂分を完全に取り除くとニオイは消えますが、ダウンが割れて「枝羽」になり易く寿命が短くなります。

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羽毛布団の寿命

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この油脂分は夏の気温の上昇と共に溶けて、ダウンにトリートメントの様に作用してダウンのひび割れを防いでいます。冬用の羽毛布団は夏の間は使用しないので僅かに臭っていても気付きません。

温度が高くなるとダウンのニオイが強くなることは、油脂分の残量が多いダウンを充填したダウンケットにとっては致命的です。

この鳥特有の臭いを消すためか?ダウンに香料を添加していることもあます。逆転の発想をするなら香料を添付する必要があるダウンの可能性もありえます。

羽毛布団の臭いが取れるかの判断

羽毛布団の獣臭

羽毛布団の鳥特有の獣臭が強烈に臭う瞬間は、夏から10月ごろの炎天下のトラックの荷台で蒸し込まれた新品の羽毛布団の箱を開封した時です。

この時は臭気において何ら問題のない羽毛布団でも部屋中にニオイがひろがります。

この状況は、西川の高級ランクの製品でも起こりうる一時的なニオイの可能性が高いです。まずは下記の方法を試すことでニオイが取れるか否かが判断出来ます。

臭いが取れるか否かを判断する方法

新品の羽毛布団を開封するとダウンの獣臭がする際に、輸送時に蒸し込まれて一時的に臭いが強くなったものか?あるいは油脂分の残量が多いダウンによるものかを判断する方法をご案内します。

エアコンで羽毛布団の【熱気と湿気】を取ることで臭気が和らいで行くようなら、冬本番に使用する際の室温は20℃を切るためニオイの問題は大丈夫だと思います。

炎天下の輸送により蒸し込まれると、西川ブランドのマザーグースの羽毛ふとんでも鳥特有のニオイはします。布団をケースから出してエアコンの冷気をあてることでニオイは直ぐには消えませんが和らぎます。

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臭いが取れるか取れないかの判断が難しいのがダックダウンの羽毛布団です。ダウン率90%以上でダウンの産地が欧州の国名が明記されている場合は、エアコンで冷やすことで臭いは和らぎ冬本番には気にならなくなるレベルになると思います。

ダウン率
ダウン率とは

この比率は、布団の暖かさと耐久性の目安となるものです。この数値が高ければ「一応」上質と言えます...

問題はダックダウンでダウン率90%未満でダウンの産地が中国産とか産地国名が無い場合は、ニオイが気にならないレベルまで下がるとは断言はできません!たぶん取れない可能性が大きいです。

羽毛布団だけでなくダウンケットも同様です。ダウンケットの場合は夏に使用する為、開封後にエアコンで熱気と湿気を取って臭いが和らがないようであれば、たぶん臭いは取れない可能性が大きいです。

ここで注意して欲しいことは、新品羽毛布団には新品時特有のニオイがあることです。当然ダウンのニオイも含まれますが、ケースの接着材とか側生地素材、染料などのニオイがミックスされたニオイです。ケースのニオイは布団に移り香したりします。これらのニオイが消えるまでには少なくとも2~3週間は必要です。

新品羽毛布団の臭いが取れるか否かの判断は、エアコンの冷風をあてることで臭いが和らぐか否かにより判断して下さい。

羽毛布団の臭いを取る方法

臭いを取る・和らげる方法について確実に消す保証は出来ませんが案内します。日本製の羽毛布団・ダウンケットで、少なくとも500mm以上の洗浄度があることを条件とさせて頂きます。

羽毛の臭いの取り方

羽毛布団の臭いを取る場合は、エアコンにより布団の熱気と湿気を取るのですが、室温と湿度を冬の状態まで下げることはできないためある程度までしかニオイは取れません。

晩秋から冬の場合は、日陰で風通しの良いところで干してみるのが良いと思います。マンションでお住まいの方なら室内でもよいので、晴れた日(乾燥した日)に風をあてると臭いは和らぎます。

干す前にケースから出した羽毛布団は、広げずにたたんだ状態でゆっくりと押しつぶして布団内部の湿気を外に出して下さい。そして手の力を抜いて布団を復元させながら乾燥した空気を布団内部に入れて下さい。この作業を3~4回程度繰り返した後で布団を干すと効率良く乾燥してニオイは和らぎます。

あまり気にならない程度のニオイのレベルなら、何もしなくても使用しているうちにニオイは和らいできます。

クリーニングに出すとニオイは和らぐ場合もございますが、同時にダウンの劣化につながります。

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収納時の臭いの取り方

押入れなどに収納していた羽毛布団も、トラックの荷台ほどではありませんが蒸し込まれた状態になっています。

冬に使い始める際に可能ならば日陰で風通しが良い所で3時間程度干せば、羽毛布団内部の熱気と湿気が取れて臭いは解消します。布団乾燥機を使用する場合は、熱気を冷まさないとニオイが消えないこともあります。

失敗する臭いの取り方

お問い合わせの内容にある通り、臭いを取るために家庭で洗濯しても失敗する可能性が高いと言えます。なぜなら原毛ダウンを洗浄する洗剤は、精毛工場の説明によるとドイツ製でダウンの洗浄に適した洗剤とのことでした。

最近のダウンケットには、家庭またはコインランドリーで「洗える」タイプのものがございます。このタイプのものは、洗うことを想定して油脂分をやや多く残しているように感じます。

そのためか、ごく僅かに臭いを感じるものもございます。通常は気にならない程度です。少量の柔軟剤を使用することで臭いが和らぐ場合もございます。

ただし、家庭での丸洗いは、ダウン用の洗剤ではなく中性洗剤を使用していること、また側生地はダウンプルーフ加工が通常施されているためすすぎが十分にできません。

また、乾燥機の使用ができないタイプもあり、ダウンの臭いを取るために丸洗いはおすすめできません。

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ファブリーズなどの消臭剤も側生地の表面だけなので、臭いの元である内部のダウンのニオイには効果が有りません。

羽毛布団の収納方法による予防

掛け布団を収納する前には、よく乾燥させてカバーを外し汗の汚れを確認して下さい。汗汚れが酷い場合はニオイの元になるので収納前にクリーニングが必要です。

出来るだけ乾燥した涼しい場所で、適度に通気性がある状態で保管して頂くと、臭いの元となる雑菌の繁殖、油脂分の溶融を抑えられます。

ご使用の前に風に当て乾燥すれば、それまで気にならなかった製品の場合は臭いは消えると思います。(無臭ではございません。)

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臭い羽毛布団の回避策

通販サイトで羽毛布団を購入する際には臭いの有無・強さを確かめることはできません。このニオイを見える化して説明します。

羽毛布団の臭いを見える化

羽毛の臭いの問題は、有名メーカーの日本製で500mm以上の洗浄度のグースダウンであればほぼ安心できると思います。

言い換えると日本製でない場合は・・・・です。行間からご推察願います。また、日本製でも安いものは獣臭がするものもあります。

臭いについてお問い合わせの多いのがダウンケットです。その最たるものは外国製のダウンケットです。

日本羽毛製品協同組合が行っています「試買テスト」なるものがございます。市場にある製品を購入して中身を検査するテストです。

この試験において不合格になった製品がございます。二年連続で不合格になった製品を作ったメーカーもあると聞いています。日本製だから安心と断言できません。

基本的な予防策は、未成熟ダウンの製品を購入しないことです。未成熟ダウンはグースよりダックダウンに多い傾向です。

また、ダックダウンでもヨーロッパ産よりアジア産が飼育期間が短いのでダックダウンの場合はヨーロッパ産がおすすめです。未成熟ダウンはダウン率の低い製品に多い傾向です。

羽毛布団の獣臭の問題を回避するには、価格の安い低ダウン率(フェザーが多い)のダックダウンを避けてヨーロッパ産を選ぶと回避出来る確率は高くなります。

信頼できるメーカーの国内産の製品で、できればグースもしくはダウン率の高いダックダウンを選ぶ以外回避する方法はありません。

ただし、正常なグースダウンでも新品時には僅かに臭いはございます。通常は使用しているうちに気にならななくなります。

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通販で臭いを確認するには、販売店に電話にて「品番を指定してニオイいませんか?」と質問するのもひとつの方法です。また「ニオイが強い場合は返品可能か?」も合わせて質問されるとよいでしょう。

ただニオイの判定は微妙なことも案内します。

羽毛布団の臭気判定

羽毛の臭いの判定基準は、日羽協では「5人のうち3人以上が悪臭と感じるか否か」という官能評価です。西川基準は「気にならない程度であること」のようになっています。

臭いは、微妙な問題であり個人差もございます。臭わないといっても無臭ではありません。臭いに対する感受性は調香師に近いレベルから様々と思います。

羽毛布団は無臭ではなく、室温と湿気が高い場合は僅かに臭いがあるものだとご理解下さい。

ネットでの購入の場合は、フィルターとして機能する店選びも重要です。

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