羽毛布団のクリーニング

羽毛布団を長く使っているとどうしてもクリーニングが必要になります。

羽毛布団をクリーニングについて、30余年にわたり羽毛布団を販売だけでなくリフォーム作業にて長期使用した羽毛布団の中身を見てきた筆者が解説します。

羽毛布団のクリーニングの時期

羽毛布団メーカーの説明書には、クリーニングの頻度は6-7年毎がおすすめとあります。

寝具店の立場からするとできる限り出さないで長くお使い頂きたいのが本音です。

羽毛布団をクリーニングに出すと、確かに汚れは落ちますが側生地をはじめ中のダウンボールがダメージを受けるためです。

しかし、羽毛布団を長く使用していると襟元とか足元部分に汚れが目立ってきます。羽毛布団の汚れは基本的に汗が主要原因です。

汗による羽毛布団の汚れは、外観だけでなく内部のダウンボールにも汚れが付きます。

ダウンボールに汚れが付くと、温度変化に応じてダウンボールの羽枝を開閉する機能が低下してきます。この様になると羽毛布団を干してもふくらまずボリュームがでなくなります。

羽毛布団のクリーニングの時期は、外観の汚れが酷い時または干してもボリュームがでなく重く感じられる時です。

具体的なクリーニングの時期は、羽毛布団の品質にもよりますが7-8年から10年の間だと考えます。

理由は、30余年羽毛布団の販売をしていると買い替えのリピーターのお客様もいて、羽毛布団の使用期間は15年程が多いように感じます。

もちろん製品により15年より短い場合ありますが、15年を羽毛ふとんの寿命の目安とするならば、クリーニングに出す時期は羽毛布団の寿命の半分を過ぎた時点が良いと考えます。

10年までとする理由は、羽毛布団のリフォーム作業にて中身の羽毛を取り出した際の羽毛の汚れ具合から判断した結果です。さらに、10年を過ぎると劣化に伴い側生地がクリーニングに耐えられない状態になっている場合が多いことも理由です。

羽毛布団のクリーニングの回数

メーカーの説明書には、6-7年毎のクリーニングとありますが、15年を羽毛布団の寿命とするならば2回出すことになります。しかし、当店の考えではできるだけ汚さないように使用して回数は1回が良いと考えます。

クリーニングによる羽毛布団のダメージ

クリーニングの方法にもよりますが、羽毛布団を洗濯すると側生地とダウンのダメージはどうしても避けられません。生地の劣化は羽毛の吹き出しにもつながり、ダウンの劣化は保温力、温度調節機能の低下にもつながります。

羽毛の劣化については、毎年オフシーズンにクリーニングをしていたとのお客様からの電話、「クリーニングを3回ほどした後に羽毛布団が膨らまなくなったが理由を知りたい」との相談を受けました。

ドライクリーニングを3回すればダウンの油脂分がなくなりだダウンボールが割れた旨をお伝えしてご納得頂きました。

洗える羽毛布団を特徴とした製品にも劣化は避けられません。特に羽毛の吹き出しを防止するダウンプルーフ加工をしていない「ノンダンプ生地」では、その特徴である通気性が極端に下がります。

クリーニングによる羽毛布団のダメージは、回数を重ねる毎に大きくなります。そのため回数が増えると、洗濯による性能回復よりダメージが大きくなる場合があります。

筆者が羽毛布団のリフェーム作業にて中身の羽毛を取り出してきた経験から言えることは、クリーニング回数が多いほど羽毛のダメージが大きいと言えます。

羽毛布団はできるだけ良いコンディションの状態を長くキープして、寿命を半分以上過ぎた所で汚れが酷く干しても膨らまない場合はクリーニングに出してください。回数は1回が理想ではないでしょうか。

羽毛布団のクリーニングの方法

羽毛布団の汚れは汗によるものです。そのため水に溶けやすい汚れでもあり水洗いをお勧めします。

ドライクリーニングは襟元の汚れには効果がありますが、ダウンボールに与えるダメージが大きく割れて保温力が低下します。

理由は、ダウンと髪の毛は組成が似ていて、強いシャンプーで何回も洗うと枝毛になるのと似たような減少がダウンボールにもおこります。

羽毛布団のクリーニングは、水洗いか水洗いが出来ない場合は弱いドライコースを選んで下さい。洗濯方法の水洗いか弱いドライコースかはお店の方と相談して下さい。そのお店の技術力により仕上がり具合にも差が出ます。

羽毛布団のクリーニングの注意点

羽毛布団をクリーニングに出す前の注意点は、生地の破損、縫製糸のすり切れ等がないかを確認して下さい。過去に洗濯に出している場合は、今回クリーニングに出して得られるメリットと寿命の事も考慮して下さい。

ボリュームがでなくなった場合に羽毛布団の打ち直しも検討されるかも知れませんが、洗濯に出した回数が多い場合はお勧めできません。

ご自分での洗濯は、冬用とか合い掛けではなくダウン量の少ない夏用のダウンケットなら可能な製品もございます。

側生地がテンセルの羽毛布団は、クリーニングを受け付けてもらえないお店もございます。技術力のあるお店はテンセル生地でもクリーニングをされています。

クリーニングの技術力とか最新設備の有無に関しては、ひとつの目安となるのが羽毛布団の乾燥方法です。技術力・設備が整っている会社はタンブラー乾燥をされていないのではないでしょうか?一般的な羽毛布団はタンブラー乾燥は不可となっています。

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アレルギー対応のため洗濯に出す場合は、まずはカバーの洗濯を優先してみて下さい。羽毛布団の生地はアレルゲンであるダニの通過は考えにくいことです。花粉対策に於いてもカバーによる対応を優先されることをお勧めします。

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カバー交換をまめにして、汗ばむ時期には合い掛け布団を使用するなどすると洗濯にだす時期はより遅くなります。

羽毛布団を保管する際にはカバーを外してよく乾燥させてから冷まして保管してください。汚れたカバーを掛けたまま収納するとカバーの汚れが布団に移動します。

筆者:野口 英輝

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