マザーグース羽毛布団とは
マザーグース羽毛布団はどのように良いのか?グースとの違いは何か?選び方?との疑問に、この道30余年の羽毛布団のプロが答えます。
マザーグースとは、マザーですが雌4雄1の割合で多くは4年飼育される産卵用親鳥です。マザーグースダウンの品質は幅広く上質品は高級羽毛布団に使われます。


1990年寝具店2代目として羽毛布団に出会う。マザーグース農場・紡績工場等視察し今も研究中です...
マザーグースダウンの魅力は、優れた保温力と寝床内を適温に保つ温度調節機能さらに耐久性に優れている点です。
保温力と温度調節に優れていることは、マザーグース羽毛布団の特徴は軽くて快適に使用できる温度帯が広いことです。
本来のマザーグース羽毛布団の良さは、お客様のレビューの「軽くてほんわか暖かく羽毛は量より質だ!」の感想が表しています。
しかしマザーグースから採取された羽毛であること以外はマザーグースダウンの統一した品質基準はなく、そのため市場のマザーグース羽毛布団の中には通常グース品質並の製品も散見されます。
そこで、複数のメーカーの羽毛布団を取り扱った筆者の知識をベースに「本来」のマザーグース羽毛布団の品質と魅力を案内し、選ぶ際のポイントやおすすめメーカーを案内します。
目次
マザーグースとは
羽毛布団の羽毛の種類は、ダック(アヒル)・グース(鴨)・マザーグース(1年以上飼育されたグースの親鳥)の3種類あります。そのなかでもマザーグースは、下図の様に他の鳥と比べて体格が大きく採取されるダウンも大きく羽枝も密生しています。
羽毛布団のダウンの種類



マザーグースダウンの特徴
羽毛は羽枝の間を通り抜ける熱を防風林の枝の様に遮り保温します。
マザーグースダウンは、羽枝が長く本数も多く密であり保温性に優れ中心部の核も丈夫で耐久性に優れています。
十分な保温力があるため充填量は少量で暖かく、少量ゆえ羽枝の開閉もスムースに行えるため温度調節に優れます。
マザーグース・グース・ダックの3種類のダウンボールをイメージしたのが下図です。
マザーグースダウンの羽枝は長く密生していて、広範囲に且つ羽枝の間が狭いため熱の移動を効率よく遮り保温力に優れます。
マザーグースダウンの優れた保温力と温度調整機能は、低温時でも温かく温度変化に素早く反応することで快適な温度を維持出来ます。ただし、ダウンの品質ランクと充填量の違いにより快適な温度帯は異なります。

マザーグースダウンの採取量と価格
ポーランドでは、コウダ・ヴィエルカ国立動物科学研究所の管理下でマザーグースのマザーと言うべき「ホワイト・コウダ」と呼ぶグランド・マザーグースが存在します。
グランドマザーグースからマザーグースが生まれ、マザーグースから通常グースが生まれる様子を表したのが下図です。
1シーズンに1羽のマザーグースから平均55羽のグースが誕生します。この数はハンガリーも同じぐらいです。

この図から、マザーグースの個体数は通常グースと比べ少ないことが解ります。マザーグースは年3回ダウンを採取しますが、採取量は通常グースダウンの量と比べて少ないことになります。純血のグランドマザーグースは更に少ないことになります。
マザーグースダウンは品質が高く量が少ないため、マザーグース羽毛布団の価格は高くなります。
また以前はマザーグースの飼育期間が6年と長かったのですが、近年は4年と短くなったところが多くマザーグースの個体数は減少し羽毛量も少なく値上がりしています。
マザーグースとグースの違い
マザーグースとグースの違いは、飼育期間の違いによるダウンボールの大きさと羽枝の密生度の違いによる保温力と温度調節機能さらに耐久性の違いです。
ふたつのダウンの羽毛布団としての違いは、快適に使用出来る室温の範囲の違いです。
私の体験ではどちらの羽毛布団も室温18℃ぐらいから使い始めますが、マザーグースは室温が5℃以下でも快適ですが、グースは5℃を切ると物足りなく感じます。
グースの場合、保温力と耐久性をアップするには羽毛の充填量を100g程度の増量すれば可能です。しかし増量は重くなるのと温度調節機能の低下につながります。
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グースの飼育期間は以前22週~23週でしたが、品種の改良と鳥インフルエンザの影響により最近は16週~18週と短くなっています。飼育期間が短くなった分はダウンの成熟度にも表れ、成鳥のマザーグースとの品質差が広がっています。
画像はマザーグースダウンのものです。

ダウンボールの大きさを硬貨に例えると、ダックは1円、グースは100円、マザーグースは500円硬貨のサイズぐらいです。
上質のダウンは写真の様に羽枝の両端の長さが5cm以上の大きいものもあります。
放射線状にのびた羽枝には均等に小羽枝が生えて中心部はより密になっています。
羽枝が長くなるとダウンボール同士が絡み隙間がなくなるためより一層保温力は増します。
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グースとマザーグースの羽毛布団では快適に使用できる室温が異なります。室温が5℃以下とか寒がりの体質の方はマザーグースをおすすめします。
室温と羽毛布団の品質についての詳細は、こちらの羽毛布団と室温の関係のページをご覧下さい。
マザーグース羽毛のランク
マザーグースダウンのランクを簡単に見分ける指標はダウン率とダウンパワーです。
ダウンパワーを調べるには、下の写真の様な布団に添付されているラベルを見て下さい。尚、西川(株)の羽毛布団にはダウンパワー表示がないものもあります。

メーカーごとのマザーグース品質基準
メーカーごとにマザーグースの品質基準は異なります。マザーグースのダウン率、ダウンパワー、鳥種混合率の西川品質と業界の実情を比較したのが下の表です。
マザーグースダウンの西川品質と業界の下限基準
西川(株)はマザーグースは93%430dp以上という基準を闇雲に設けた品質基準ではなくデータ分析から、マザーグースの良さを体感できる品質基準と認識しているためと考えます。
現状は、400dpでもマザーグース羽毛布団とするメーカーもあれば、95%440dpでも通常グースとするメーカーもあります。
マザーグースのダウンパワーの下限値はメーカーにより400dp~440dpと40dpの違いがあります。
ダウンパワー差は、採取時期とか精毛度あるいはマザーグースの種の違いに起因します。
採取時期は晩秋の羽毛が上質であり、そのことを説明したラベルが下の写真です。

本来のマザーグースの品質は西川基準の93%430dp以上か下記のプレミアムゴールドラベル93%440dp以上と当店では認識しています。
マザーグースダウンの産地とランク
マザーグースダウンの主な産地を人気ランキング順に並べると、ポーランド、ハンガリー、ドイツ、ロシア、ウクライナ、カナダ、中国などがあります。
国策事業として品種改良を重ねてきたポーランドとハンガリーのマザーグースは高評を得ています。飼育場の自然環境・気候の違い・飼育方法・精毛工場の設備により品質差がでます。
ダウン率とダウンパワーが同じ羽毛でも、産地間での品質格差により価格差が生まれています。具体的には、ポーランド産ホワイト・コウダ種とかハンガリー産ゴールデン種より中国産マザーグースダウンが安く取引されています。

一般的に寒さが厳しく温暖差が大きい地域で飼育された鳥の羽毛は上質です。
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上の地図はマザーグースダウンの主な産地を表しています。赤い線は北緯50度ラインであり北極点に近いほど寒さは厳しくなります。ポーランドやハンガリーは、北海道よりはるか北に位置して厳しい寒さであり良質マザーグースダウンの産地です。
羽毛のリカバリーパワー
初期のダウン率とかダウンパワー等のフィーリングパワー値が同じでも、乾燥した気候のポーランドとかハンガリーなどヨーロッパ産と湿気の多いアジア産の羽毛ではヘタリ具合に少し差があると言われています。
ハンガリーのFBZ社では、羽毛のヘタリにくさのことを「リカバリングパワー」と説明しています。
ポーランドとかハンガリー産のマザーグースはコシがあり耐久性にも優れているため市場価格が高くなっています。
リカバリーパワーは、飼育の気候環境と深い関係があるため羽毛の産地間格差の要因の1つと言われています。

ふとんの寿命は、買い替えを検討されたタイミングかもしれません。使用期間は10年から15年ぐらい...
マザーグースダウンの産地についての質問で多いのは、「ポーランドとハンガリーではどちらの羽毛が良いのか」というものです。答えは優劣は付けられません。知名度の点ではややポーランドです。
羽毛の産地について詳しくは下記サイトをご覧ください。

ポーランド、ハンガリー?産地はどこがよいのか?寒い地域の産地のものが保温性に優れています。耐久...

ダウンはポーランドとハンガリーどちらが良い?マザーグースの品質を比較する事で答えが見えてきます...
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マザーグースダウンの色とランク
羽毛の色にはホワイト、シルバー(グレー)、ブラウン系があります。有名なポーランドのホワイト・コウダ種は言うまでもなくホワイトグースです。ハンガリーのホワイトグースのゴールドグース種などは有名です。
色による品質ランクの違いはほぼありません。産地により羽毛の色に特徴があり、ポーランドはホワイトグースでハンガリーはホワイトグースとシルバーグース(ほぼ白色)の両方があります。中国のシルバーグースは茶色に近い色です。
詳しくは、こちらの羽毛の色のページをご覧下さい。
マザーグース羽毛の3ランク
マザーグースダウンの品質は、ダウン率とダウンパワーの数値により下図の様に三つにランキングできます。

- Aランクは、93%未満・430dp未満であり通常グースと同じぐらいの品質です。
- AAランクは、93%~95%・430dp~440dpでありマザーグースらしさが感じられる寝心地で保温力・温度調節機能に優れた品質です。
- 3Aランクは、95%以上・450dp以上であり超高級羽毛布団の贅沢な寝心地を生み出す品質です。
マザーグース羽毛布団の選び方
羽毛布団は、ダウンと側生地とキルト縫製さらにメーカーの信用力により価格は異なります。マザーグース羽毛布団の選び方もこの4項目を確認することです。チェック項目をロゴ画像でご案内します。















羽毛品質での選び方のポイント
マザーグースダウンの品質はダウン率とダウンパワーの指標で判断してください。品質は上述の様に、A、AA、3Aの3ランクに分かれます。
おすすめは西川ブランドの93%430dp以上か日羽協の440dp以上プレミアムゴールドラベル付きのAAもしくは3Aランクです。
さらに厳選するなら産地とかダウンの色などもチェック項目に追加してください。ただし偽装問題から羽毛の産地国名あるいは地方名の記載があるかのチェックは重要です。
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羽毛の出所が明確なマザーグース羽毛布団は購入する際に安心できます。
最近は、羽毛の産地に関してトレーサビリティが簡単に解るJ-TASラベルが付いた羽毛布団もあります。
ポーランドanimex社とかハンガリーFBZ社等の精毛会社名が記載されているマザーグースはより信頼度が増します。
精毛会社からの輸入ルートにおいても違いがあります。西川(株)などはanimex社とかハンガリーFBZ社から直輸入(貿易手続き上のため商社は介在)するルートも持っています。高級羽毛布団にはこれらの直輸入された羽毛を使用しています。
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見落としがちなチェック項目が羽毛の充填量です。充填量はダウンパワーにより適量があります。
標準的な充填量は、93%430dp~440dpのマザーグースの場合はシングルの羽毛布団は1.2kg(ダブルは1.6kg)です。充填量を少なくするには3Aランクのダウンを使う必要があります。
羽毛の洗浄度は、500mmでも問題はありませんがマザーグースの場合は通常1000mmです。プレミアムゴールドラベル・ロイヤルゴールドが添付されていれば1000mm洗浄されています。


羽毛の臭いはマザーグースダウンの場合は無臭ではありませんが問題は無いと思います。
側生地での選び方のポイント
マザーグースの特性を活かすには側生地は80番手以上の超長綿がおすすめです。ポリエステルは製造コストを抑えた製品に多く見かけます。ただし蓄熱加工等の付加価値が施されたポリエステル生地は別格です。
側生地は国産と海外製があり、国産を選ぶには、極上の生地とか「国産生地」の記載とかオールジャパン認証制度の「J∞QUALITYラベル」の有無を確認ください。
最近は綿との合繊が人気ですが綿の割合は70%以上であるか注意してください。
キルト縫製での選び方のポイント
マザーグースの特性を活かすキルトは、1層キルトが軽量で温度調節機能に優れおすすめですが、寝室の温度が低いとか寒がりの方は2層・3層キルトが暖かくおすすめです。マザーグースダウンなら密閉ハイマチキルトが一番おすすめです。
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キルトにおいても海外縫製は珍しくありません。(私感では海外縫製は90%以上!)丁寧な縫製を希望される場合は「国内縫製」の記載かJ∞QUALITYラベルの添付をチェックしてください。


海外製の生地を海外で縫製して、国内で吹き込み縫合すれば日本製であり国産品として流通しています。...
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メーカーの信頼度での選び方
羽毛とか側生地品質さらに縫製の丁寧さ等は、メーカーの信頼度をベースに各指標を判断しています。西川(株)、山甚物産(株)、(株)ロマンス小杉などの有名メーカー以外のメーカーの信頼度の目安となるのが経済産業省の認可団体である日羽協への加盟です。
こちらが日羽協 加盟社(正会員)一覧リストです。
メーカー名の記載の有無は必ず確認ください。記載のないものはおすすめ出来ません。詳しくは、こちらの羽毛布団をメーカーで選ぶのページをご覧下さい。
安い羽毛布団マザーグースの注意点
本来高級品であるマザーグース羽毛布団が安く販売される理由はいくつかあります。
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- 1. 通常グース並みの430dp未満のAランクのダウンとか夏に採取したダウンあるいは手選別後に残ったダウンの可能性が有ります。
- 2. AAランクのダウンだが羽毛の充填量が少ない。
- 3. 布団の側生地の素材がポリエステル繊維かその比率が50%以上である。
- 4. 海外生地を海外縫製した日本製。
- 5. メーカー名の記載がどこにもない。あるいは信用力が低いメーカー製である。
- 6. 羽毛の産地国は同じでも仕入れルート・精毛会社が異なる。
- 7.1羽のマザーグースは平均55匹を産卵するとすると市場のマザーグース羽毛布団は多すぎます。偽装が疑われます。
安く売られている理由を紹介しましたが、ひとつの理由とは限らず複数組み合わされて安くなっているのが現状です。


お客様からのアウトレット品の問い合わせで、西川の決算期に生産過剰による在庫処分特価品が少なくな...


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おすすめマザーグース羽毛布団
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おすすめマザーグース羽毛布団の品質
マザーグースの特性が感じられ羽毛布団の品質指標を紹介します。
- マザーグースダウンは西川品質のダウンパワー93%430dp以上。
- ダウンパワーに応じたダウン充填量の適量。
- 羽毛の産地国の記載がある。
- 側生地は吸水性に優れ軽くて柔らかな80番手以上の超長綿なるべく国産生地。
- 内部キルトは1層がおすすめですが室温が低いとか寒がりの方は2・3層キルトがよく出来れば丁寧な国内縫製がおすすめ。
- 信頼できるメーカーの西川、山甚、ロマンス小杉などのマザーグース羽毛布団。
まずは、マザーグースらしさが感じられる「軽くてほんわか暖かい羽毛布団」を2商品ご案内します。マザーグース羽毛布団は、室温が10℃を切る方にはおすすめです。さらに室温が5℃以下になる場合はマザーグース2層キルトの羽毛布団がおすすめです。
こちらが当店のマザーグース羽毛布団ネットショップです。
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