羽毛布団の選び方を解り易く説明

羽毛布団購入時に価格品質ランクなど羽毛布団の選び方に迷われることでしょう。

羽毛布団の暖かさ・軽さ・快適性等の魅力は、羽毛側生地キルト構造(内部仕切)が奏でるハーモニーの様なものです。

羽毛と生地とキルト構造には、それぞれに羽毛布団の良し悪しを分ける品質指標があり、これらの指標の意味が解れば羽毛布団の基本的な選び方は理解できます。

しかし、これらの指標には品質ランクを示す長所もありますが欠点もあります。

まずは、主な指標情報が記載された品質表示票と添付ラベルの写真をご覧ください。

羽毛布団のランクや種類を見分け羽毛布団の選び方に必要な指標のラベルと品質表示票

羽毛布団を選ぶ際に『日本製』を条件に探す方は多いはずです。しかし、『日本製羽毛布団』には海外製の生地を海外で縫製した製品は驚くほど存在します。

このような指標の『真相』を織り交ぜながら羽毛布団のランクの見分け方を前編で紹介して、後編ではご自分に最適な羽毛布団の選び方をアドバイスします。

目次

  1. 羽毛布団のランクを分ける品質指標
  2. 羽毛品質ランクでの選び方
  3. 側生地素材での羽毛布団の選び方
  4. 羽毛布団のキルト構造の種類
  5. 日本製羽毛布団の製造工程の違い
  6. 西川などメーカーでの羽毛布団の選び方
  7. 自分に最適な羽毛布団の種類とタイプ
  8. まとめ

羽毛布団のランクを分ける品質指標

羽毛布団を選ぶ際の主な指標10+1を表にしました。

羽毛の種類 羽毛の産地 ダウン率 ダウンパワー 羽毛充填量 側生地素材の種類 キルトの種類を選ぶ 日本製の製造工程 羽毛布団の種類・タイプ 羽毛布団のサイズ

メーカーの信頼度がベース

羽毛布団を選ぶ際の各指標のおすすめの基準を案内します。ダウン率などの業界用語の意味は後ほど説明致しますので意味が解らなくても読み進めて下さい。

  1. 1.グースかダックか鳥の種類によりダウンの構造が異なる為ダウンの鳥の種類の確認は必須。おすすめはグースとマザーグースです。
  2. 2.保温力に関係するダウン率、ダウンパワー、充填量の確認は必須。おすすめは90%、400dp以上、ダウンパワーに応じて適量!
  3. 3.生地素材のチェック、おすすめは超長綿か合成繊維(合繊)!羽毛布団の重さの約半分は生地です。
  4. 4.内部キルト構造の確認、立体1層キルトでも良いが寒がりの方は2・3層キルト構造がおすすめ!
  5. 5.日本製の製造工程?可能な限り国内縫製・国産生地がおすすめ!
  6. 6.布団のサイズ(体を被う十分な丈と幅)!
  7. 7.メーカー名の記載の有無?寝具メーカーの信頼度のチェックは重要!おすすめは老舗メーカー西川(株)、山甚物産(株)などです。

西川をはじめ多くのメーカーの羽毛布団に触れてきた店主の感覚では、同じ品質指標でもメーカーによりボリュームに違いを感じます。

羽毛布団の品質指標は寝具メーカーの信頼度がベースになります。

値段・口コミ・ランキング等も気になるでしようが、羽毛布団のランクの見分け方を理解してご自分に合う種類の羽毛布団を選んでください。

それでは、羽毛布団の品質指標と選び方のポイントを、羽毛・側生地・キルトの順に説明をします。

羽毛の種類や品質ランク

羽毛とはどのようなものか?構造、熱を蓄える仕組みについて説明します。

羽毛とは

ダウンとスモールフェザーの画像

羽毛はダウンとも呼ばれ、写真左の様に立体的に羽枝と呼ぶ枝を広げたダウンボールと、写真右の様に平面的な小さな羽根(スモールフェザー)を含む混合物です。

ダウンボールのことを単にダウンとか羽毛と呼びます。

ダウンの構造と蓄熱の仕組み

ダウンボールの拡大イメージが下図です。

ダウンボールのイメージ図と蓄熱の様子

ダウンボールは中心の核から羽枝と呼ぶ枝が放射線状に生えています。この羽枝には小羽枝と呼ぶ小さな枝が生えています。

羽毛は、防風林の様に布団内部の熱の対流をさえぎり暖かい空気をダウンボール内に留めます。

暖まると羽枝間を開いて熱を通し放熱して温度を調節します。羽毛は蓄熱材より断熱材なのです。

そのため、羽毛は大きく羽枝が密生している方がより多くの熱をさえぎることができるため上質の羽毛なのです。

水鳥の種類により羽枝の長さや密生度と小羽枝の付き方は異なります。

羽毛布団内部の空気の移動

羽毛布団が暖かいのは、一粒一粒の羽毛が羽枝の隙間を閉じて熱の移動を『遮断』した結果です。羽毛は蓄熱材ではなく熱の移動をさえぎる断熱材なのです。

羽毛布団の保温力と温度調節機能の差は、布団内部の温かい空気(熱)の移動を調節する羽毛の性能差でもあります。

羽毛の性能の良し悪しは、ダウンボールの大きさと羽枝と小羽枝の密生度・フサフサ感で判定されます。

詳しくは、こちらの羽毛布団はなぜ暖かく適温をご覧下さい。

羽毛をランク分けする指標

羽毛のランクを分ける指標は、採取した水鳥の種類、採取時期、飼育期間、ダウン率、ダウンパワー、充填量、産地、洗浄度等であり順番に説明します。

羽毛の鳥の種類・ダック、グース、マザーグースのダウンの違い

羽毛は採取された水鳥のダック(アヒル)とグース(鴨)と飼育期間が1年以上と長いマザーグースの3種類です。3種類の鳥のダウンボールイメージ図です。

ダック、グース、マザーグースの3種類のダウンボール断面図において、この順にダウンボールが大きく羽枝と小羽枝の密生度が高い様子と熱を蓄える量を表す図

ダック、グース、マザーグースの順に羽毛は大きく羽枝が長く密生度が高くなり『保温性能』と『温度調節機能』に優れます。おすすめはグースとマザーグースです。

マザーグースはグースより飼育期間が長く成熟しているため、ダウンもグースより大きく羽枝の密生度も高く保温力に優れています。

ダウン率とは

羽毛の内訳におけるダウンとフェザーの写真

羽毛の内訳はダウンとフェザーであってダウンの割合がダウン率です。

保温・温度調節機能はダウンボールの働きによるものなので、ダウン率が高い羽毛布団は良質であり、ダウン率は90%できれば93%以上をおすすめします。また、この比率が高いと耐久性も良くなります。

ただし、ダウン率だけでは羽毛布団の善し悪しは判断できません。

ダウンパワーとは

ダウンパワーは羽毛のボリューム(かさ高)を表す指標であり単位はdpで表されます。

羽毛のボリュームが高いことはダウンボールが大きく羽枝が密生していることの表れです。ダウンパワーは羽毛の保温力と温度調節機能の指標です。

ダウンパワーが異なる同じ重さの羽毛をそれぞれ透明の容器に入れたのが下図で羽毛のボリュームが棒グラフの様に示されています。図の矢印は熱をイメージしたもので保温力の違いを示しています。

ダウンパワーが低い羽毛は増量して保温力を補います。

ダウンパワーが異なる同じ重さの羽毛をそれぞれ透明の容器に入れ羽毛のボリュームが棒グラフの様に示され熱を留めるパワーの差が見える画像

ダウンパワーはダウンボールの大きさを示す指標であり、未成熟ダウンとかファイバー化した羽枝の割合を推測できます。その意味でダウンパワー値はダウン率の欠点を補う指標と言えます。

ダウンパワーは下の画像の様なラベルで表されます。

ダウンパワー値を表示したラベルの写真

ゴールドラベルでの羽毛布団の選び方

ダウンパワーは下記のゴールドラベルでもおおよそのランクの判別ができます。

プレミアムゴールド、ロイヤルゴールド、エクセルゴールド、ニューゴールドの日羽協の4種類のゴールドラベルの写真

日本羽毛製品協同組合(日羽協)のゴールドラベルはダウンパワーとダウン率により下記の4種類にランク分けされています。

  • プレミアムゴールドラベル:93%440dp以上
  • ロイヤルゴールドラベル:90%400dp以上
  • エクセルゴールドラベル:80%350dp以上
  • ニューゴールドラベル:50%300dp以上

おすすめのランクはプレミアムゴールドロイヤルゴールドです。

マザーグース羽毛布団の選び方

マザーグース羽毛の特徴は、保温力と温度調節の速さや耐久性です。「暖かさ、軽さ、快適さ」と言った羽毛布団の魅力をハイレベルで求める方とか室温が5℃以下や寒がりの方におすすめです。

マザーグースダウンの品質にはランクがあり品質基準もメーカー毎に違います。マザーグースの羽毛布団を選ぶ際にはダウン率、ダウンパワー、充填量を調べて下さい。

マザーグースダウンにはランクがあり、ダウン率93%ダウンパワー400dpもあればダウン率97%ダウンパワー470dp以上のランクまであります。

羽毛の保温力

羽毛の保温力は、羽毛の鳥の種類による評価(グース>ダック)✕ダウン率✕ダウンパワー✕充填量で表せます。

羽毛布団としての保温力は側生地とキルト構造も関係しています。

羽毛の充填量と保温力の関係

羽毛の充填量はダウンパワーとダウン率と羽毛の鳥種により適量があります。

羽毛布団は季節とか室温に応じて保温力が異なる3種類あります。内訳は冬用の羽毛布団と秋春用の合い掛け羽毛布団、さらに夏用の肌掛け羽毛布団の3種類です。

冬用の羽毛布団を充填量で選ぶ際は、90%・400dp未満のダックならシングルで1.4kg-1.5kg、90%・400dp以上のグースならシングルで1.2kg-1.3kg、95%・450dp以上のグースならシングルで1.0~1.1kg、ダブルなら1.6kg-1.7kgを目安にお選び下さい。

秋春の合い掛け布団の充填量は冬用の掛け布団の半分程度です。季節と室温に応じた保温力が必要なため羽毛充填量も異なります。

ダウン率・ダウンパワーが低いと保温力を補うために羽毛を増量します。そのためダックはグースより100g~200g程度多く入れる傾向です。

ダウンの色と性能

ダウンの色はホワイト、シルバー、茶系です。色の違いによる性能差はありませんがホワイト系が人気なので価格はやや高くなります。

ホワイト系とシルバー系の2種類の鳥が下の写真です。

シルバーグースとホワイトグースの写真

ダウンは胸部(写真の丸囲み)の羽毛なのでシルバーですがほぼ白いダウンです。

シルバー系のダウンが野生種に近くホワイト系より丈夫だと言われています。

通販やショッピングサイトでホワイトダウンとの記載はダックダウンのことです。ダックがグースより一般的に劣るためダックの文字を略していると思います。

ダウンの色に関しては詳しくは羽毛の色の違いのページをご覧下さい。

羽毛の産地と選び方のポイント

羽毛の産地のランクはポーランドとハンガリーは定評があり、次にドイツ、ロシア、カナダ、ウクライナ、中国の順にランク分けされます。ダックダウンはイギリスとかフランスが産地に加わります。

ダウンの産地と鳥種を調べるには、下の様な添付ラベルをご覧ください。

羽毛布団に添付されている産地・鳥種を記載したラベルの写真

羽毛の産地の国名をチェック

欧州産の羽毛」はプロの視点では「原産国不明のダウン」となります。羽毛布団選びでは、羽毛の産地の国名のチェックは重要ポイントです。

羽毛の産地国の有無は、トレーサビリティ(追跡可能性)の必須条件です。

産地国以外にANIMEX社とかFBZ社等の精毛会社名の記載が有ればより信頼度は増します。

羽毛の洗浄度とは

羽毛の洗浄度を測定する方法を示した図

洗浄度とは、羽毛を洗浄した水の透明度であり500mmとか1000mmと表示されます。

洗浄度の目安は1000mm以上がおすすめですが500mmでも問題はありません。

プレミアムゴールドとロイヤルゴールドラベルが添付されていれば1000mm以上の洗浄度であり、他のゴールドラベルは500mm以上です。

羽毛の臭いの原因

羽毛の獣臭は洗浄度も無関係ではありませんが、未成熟ダウンに多く残っている油脂が主な原因です。

低ダウン率のダックは飼育期間が短かいためか未成熟ダウンが多い傾向です。

信頼できるメーカーのグース90%以上なら羽毛の臭いの問題はほぼ回避できます。

上質のダウンでも高温多湿の条件下では僅かに臭いはします。

羽毛品質での選び方のまとめ

羽毛の保温力と温度調節機能は、羽毛の鳥の種類による評価(ダック<グース<マザーグース)✕ダウン率✕ダウンパワー✕充填量で表せます。

おすすめする羽毛品質は、93%400dp以上のグース、さらにおすすめは93%430dp以上のマザーグースです。

羽毛の充填量はダウンパワーにより適量があるため購入時は調べてください。

羽毛の産地はポーランド、ハンガリー、ドイツ、ロシアなどが有名です。産地偽装があるため国名を確かめてください。

臭いの問題は、90%未満のダックダウンは心配です。

洗浄度は500mmでも問題はありませんが1000mm洗浄をおすすめします。

羽毛の詳細は、羽毛品質の見分け方のページをご覧下さい。

側生地素材での羽毛布団の選び方

羽毛布団の側生地素材の選び方のポイントは、軽さと柔らかさと蒸れ感を軽減するために吸湿性通気性、さらに温度調節に関係する熱伝導率です。

側生地素材の種類には、シルク、超長綿、合繊、ポリエステル等があり特徴に違いがあります。主流は超長綿と合繊です。

クリーニングが可能か否かは羽毛布団を購入する際の重要なポイントです。

シルク、テンセル、ゴアラミネート加工の側生地の羽毛布団はクリーニングが出来ません。テンセルはクリーニング店が増えいます。

シルクの側生地の特徴

シルクの長所は吸湿性に優れ柔らかく肌触りも良いことです。そのため高級羽毛布団に使われています。

シルクの短所はクリーニングが出来ないのと耐久性にやや劣り価格が高いことです。

超長綿の側生地の特徴

超長綿の側生地は繊維の長い綿花を紡いだ糸で織った生地であり柔らかく熱伝導率と吸湿性に優れています。

糸の紡ぎ方と太さや織り方により側生地の厚みや重さと柔らかさや通気性が違います。

糸の紡ぎ方は単糸、双糸、精紡交撚糸の3種類があります。

糸の太さを表すのが糸番手でありこの数字が大きいほど糸は細くなります。細い糸の側生地は薄くて柔らかく軽くてフィット性と通気性に優れています。逆に太い糸の生地は耐久性に優れます。

糸番手は、単糸は50~140番、双糸は200~340番、精紡交撚糸は360tとか480tです。糸の太さは、100番単糸と200番双糸が同じくらいの太さです。

織り方は、サテン織り・ツイル織り・平織りの3種類があり主流はサテン織りです。

側生地の織り方、平織り・ツイル・サテンの3種類の画像

サテン織り側生地の1平方メートル当たりの重さは、60番手で140g、80番手で115g、100単糸で110g、140単糸で100gぐらいです。60・80・100番手は同じ20番手の差ですが重さは60番手がかなり重くなっています。超長綿の側生地は軽いほど品質も良く価格も高くなります。

ツイル織り・平織りは軽くて通気性に優れますが、細番手の100単糸でも「カパカパ」と少しペーパー音がします。

合繊の側生地の特徴

テンセル・リヨセル 中空繊維ツインエア

合繊とは、天然素材の綿と化学繊維のポリエステルとか指定外繊維のテンセル(リヨセル)、中空繊維のエアキープ等を混合した側生地です。柔らかく軽いのが特徴です。

ポリエステルの側生地の特徴

ポリエステルは安価で軽いのですが蒸れ感が強いのと静電気の発生が欠点です。

ラクティス

ポリエステルには安いのものだけでは無く、近年は室温が低いとか冷え性の方向けにラクティス等の蓄熱加工を施した繊維があり高級品に使われています。

吸湿性に劣るポリエステルと吸湿性に優れたテンセルとの組合わせもあります。

生地の重さと羽毛布団の総重量

羽毛布団の重さの約半分は側生地の重さです。生地の素材と糸の太さと織り方により重さが違います。

側生地での選び方のまとめ

おすすめの側生地は、柔らかさと重さやクリーニングの可否と耐久性とか吸湿性や通気性を考慮すると超長綿80番手サテン織りの国産生地です。耐久性に重点を置くなら60番手です。

より快適な寝心地を求めるなら超長綿の100番単糸、200双糸、精紡交撚糸360t以上の細番手の側生地をおすすめします。

暖かさ重視なら蓄熱加工のポリエステル繊維も選択肢の一つです。

側生地は国産と海外製があり国産をおすすめします。

側生地の詳細は、羽毛布団の側生地のページをご覧下さい。

羽毛布団のキルト構造の種類

布団内部の仕切り方(内部構造)はキルティングとかキルトと呼びます。

キルト構造は大きく分類すると立体1層キルトと2層・3層キルトとハイマチ密閉キルト(完全立体キルト)の3種類に分けられます。2・3層にすると保温力はアップしますが少し重くなります。

代表的なキルトの断面図が下の画像です。各キルトの特徴を説明します。

1層・2層・3層キルトとハイマチキルトの断面図

立体1層キルトとは

立体1層構造の断面イメージ図

羽毛布団の内部は基本的に格子状に仕切られています。図のように布団の表と裏の側生地はマチ布を介して立体的に縫合されています。

通常の1層キルトは安くて軽いのですが、マス目の境界部で布団の厚みが薄く熱が逃げやすいのが短所です。

2層3層キルトとは

2層キルト構造

2層キルトは、上下の層でマス目の数を違えて境界部の位置をずらし布団の厚みを平均化することで熱が逃げにくく1層キルトより暖かいのが特徴です。

3層キルトは2層に中層を設けた構造です。2層キルトよりさらに1層多いため保温力は増します。

2層キルトは層を仕切る布の分シングルサイズでは約200g程度重くなりますが、布団は広げて使うので重さは分散されるため気にならないと思います。室温が5℃以下とか寒がりの方は2層・3層キルトの羽毛布団をおすすめします。

2層3層キルトは層を仕切る布があるため、布団内部の空気の対流が遅くなり僅かに温度調節機能の低下と蒸れ感が出でます。

多層にすることでの保温力の増量は毛布1枚分ぐらいであり2倍とか3倍になるわけではありません。

3層キルトには、中層に羽毛を入れるタイプと入れない空気だけのタイプがあります。

暑がりの方は立体1層キルトがおすすめです。

ハイマチ密閉キルトとは

ハイマチ密閉キルト マチ幅を広くしたハイマチキルト

ハイマチキルトとは、図の様にマス目の境界部で布団の厚みが薄くならないように、マチ布を広くして布団の厚さを平均化して保温力を上げています。また、2層のように層を仕切る布がないため軽くて温度調節機能も優れています。

ハイマチの幅は7cm~10cmと広いため羽毛の片寄りを防ぐため密閉キルトとセットで採用されます。

密閉キルト

密閉キルトとは、羽毛が片寄りにくい構造なので長く安定してお使い頂けます。完全立体キルトと呼ぶ場合もあります。

ハイマチ密閉キルトは、縫製行程と羽毛の吹き込み作業が複雑なので価格が高くなりますが、1層と2・3層構造の短所を補った仕様であり一番のおすすめです。

キルトでの選び方のまとめ

羽毛布団の魅力である「軽さ・暖かさ・快適性」の3拍子全てを活かすキルトはハイマチ密閉キルトです。

ハイマチ密閉キルト羽毛布団売り場

暖かさ重視なら2層・3層キルトがおすすめです。価格を重視するなら通常の立体1層キルトです。

3層キルト羽毛布団商品一覧

縫製は国内と海外の2パターンあり、おすすめは国内縫製です。

キルトの詳細は、羽毛布団のキルトのページをご覧下さい。

日本製羽毛布団の製造工程の違い

『日本製』と表示している羽毛布団の製造工程は全て国内とは限りません。海外生地を海外縫製して日本国内で仕上げれば日本製羽毛布団なのです。

日本製の羽毛布団の製造工程は下図の3種類です。

日本製羽毛布団の3種類の製造工程

製造工程の違いが、同じ指標の羽毛布団での価格差が生まれる一因です。

『純』日本製羽毛布団の選び方

羽毛布団に添付された日本製ラベル

日本製は強力なセールスポイントです。しかし、上記の3パターンの製造工程の違いを見分けるのが難しいのが現状です。

『純』日本製羽毛布団の選び方のポイントは、『国産生地・国内縫製』の8文字か『J∞QUALITY認証』の記載、または高級羽毛布団の指標ともいえるグランドマザーグース、精紡交撚糸、特殊キルト等のキーワードです。

上記の項目の記載が無い日本製はほぼ海外縫製ではないでしょうか。

これまで何千枚もの羽毛布団を検品出荷してきた経験から言うと国産生地が総じてなめらかで柔らかく重さも僅かに軽く、国内縫製が丁寧であり技術力の違いを感じます。

また高級羽毛布団は全製造工程が国内で仕上げられています。さらに海外縫製の製品にも日本製ラベルを付けている事が純日本製の素晴らしさの証明です。

詳細は、純日本製羽毛布団の見分け方のページをご覧下さい。

メーカーの信頼度での羽毛布団の選び方

羽毛布団の羽毛品質を知っているのは、羽毛を入れたメーカーでありメーカーの信頼度にこだわることは大切です。

「西川 羽毛布団 マザーグース 日本製」の条件から『西川』を除くとさらに価格差は大きくなります。品質指標はメーカーの信頼度が前提です。

西川などメーカーの許容誤差の認識

許容誤差を認めない厳しい会社もあれば、日羽協の試買テストで品質表示との乖離が大きく退会に至ったメーカーもあります。

メーカー名の記載の無い羽毛布団は避けて、信頼できるメーカーの羽毛布団をお選び下さい。信頼度においては、西川(株)とか山甚物産(株)は定評があります。

プレミアムゴールドラベル裏面

ゴールドラベルの注意点は、ラベル裏面に記載の羽毛を吹き込んだ会社名(ID)のチェックが重要です。

日羽協は経済産業省の認可団体であり、日羽協に加盟しているメーカーは一応の信頼感はあります。ただ、加盟していても西川(株)のようにラベルを付けないメーカーもあります。

品質表示を信頼するしか他に選ぶ方法のない羽毛布団においては、顧客満足をめざし総合的な国際規格の『ISO9001認証』取得したメーカーの信頼度は高く安心です。

おすすめメーカーの西川(株)は、マザーグース羽毛布団の鳥種混合率を1%以下に設定しており日羽協の10%未満と比べると厳しい基準です。

メーカーの信頼度は販売店の数に比例します。多くの寝具店が選んでいるメーカーが信頼度は高いと言えます。また、日羽協への加盟も信頼度アップになります。

こちらにおすすめの西川羽毛布団と選び方の視点を紹介しています。

ちなみに欧州のEU加盟国の鳥種混合率は30%まで認められています。30%は間違って混入する量ではあり得ません。海外製の羽毛布団を購入する際は注意してください。

メーカーの信頼度に関しては、おすすめメーカーでの羽毛布団の選び方のページをご覧下さい。

西川(株)の羽毛布団には、ダウンパワーの表示がないものがありますが西川の品質基準を知ることで選べます。詳しくは羽毛布団の選び方:西川編のページをご覧下さい。

自分に最適な羽毛布団の種類とタイプ

快適な睡眠を得る羽毛布団の条件は、暖かさ・軽さ・温度調節機能の3項目が程良く調和して寝室の環境やご自分の体質に合う品質性能が必要です。

3項目の中でも冬季においては暖かさが重要なポイントです。そこで羽毛布団の暖かさのレベルと種類を案内します。

羽毛布団の種類と快適使用温度帯

冬用の羽毛布団の保温力は室温が18℃以下の冬季を想定した掛け布団です。

羽毛布団の暖かさのレベルは最低室温を目安にして個人の体質(暑がり寒がり)に合うタイプを選んでください。

羽毛布団の保温力は、羽毛の鳥種✕ダウン率✕ダウンパワー✕充填量✕側生地のフィット性✕キルト構造で決まります。

羽毛布団の種類毎に快適使用温度帯を示したのが下図です。おすすめする羽毛布団の品質仕様は最低室温が15℃、10℃、5℃を境に異なります。

羽毛布団の種類毎に、合い掛け羽毛布団、通常グース羽毛で1層キルト、上質グースまたはマザーグース1層キルト、その下が上質羽毛を100g増量とか2層キルトの羽毛布団の快適温度帯を表したイメージ図

最低室温が5℃違うとおすすめする羽毛布団の種類と仕様は異なります。

最低室温を目安に羽毛布団の種類をご提案します。

室温が15℃以上なら、羽毛布団の種類は上質羽毛を700g(SL)程度入れた合い掛け羽毛布団で暖かくお休み頂けます。

室温が10℃以上なら、400dp以上グースダウンを1.2kg(SL)入れた1層キルトの羽毛布団で快適にお休み頂けます。もちろんマザーグースの方がより快適です。

室温が5℃位まで下がる場合は、400dp以上グースダウンを1.2kg(SL)入れた2層キルトまたは430dp以上のマザーグースダウンを1.2kg入れた1層キルトの羽毛布団をおすすめします。

室温が5℃以下になる場合は、430dp以上のマザーグースで充填量1.2kg(SL)ハイマチ1層キルトまたは2層・3層キルト、あるいは400dp以上グースダウンなら1.3kg入れた2層キルトの羽毛布団がおすすめ条件です。

羽毛を100g増量とか2層キルトの羽毛布団は快適温度帯の下限温度も下がりますが上限温度もが下がります。

上の図にはありませんが、肌掛け羽毛布団と合い掛け羽毛布団を組み合わせたツインダウンは、一見便利に見えますが重さと耐久性の点からおすすめはしません。

室温と羽毛布団の種類は一応の目安としてください。個人の体質とか敷き寝具の保温力さらにベッドなのか床敷きなのかにより差が出ます。冷え性とか寒がりの方は実際の室温より少し低いとご判断ください。

特に温度に敏感な体質の方は暑がり寒がりの羽毛布団選びのページをご覧下さい。

羽毛布団の種類と快適温度の関係は、こちらの季節と室温に応じた羽毛布団の選び方のページをご覧ください。

ご自分の寝室の最低室温は、一般的な戸建ての場合は外気温+5℃前後(暖房なし自然温度差)であり、高気密高断熱の場合は外気温+7℃~8℃であり、外気温より10℃以上暖かい寝室はすくないようです。地域毎の最低温度は気象庁のサイトを参考にしてください。

羽毛布団の暖かさを優先した選び方

羽毛布団の暖かさをレベルアップする条件は、上質グースとかマザーグースダウンを使い充填量を標準量より100グラム増量とか2層・3層キルトです。
暖かさ最強の羽毛布団

羽毛布団の重さに着眼した選び方

羽毛布団の重量は、羽毛と生地と内部を仕切る布の重さです。暖かく軽い羽毛布団の条件は、マザーグース等の上質羽毛と軽い100単糸以上の超長綿と1層キルトです。

詳しくは、羽毛布団の重さのページをご覧下さい。

温度・湿度調節での羽毛布団の選び方

温度・湿度の調節を重視した羽毛布団の条件は、上質のグースかマザーグースダウン、通気性・吸湿性・熱伝導率に優れた超長綿の中でも100単糸以上の細番手の生地、熱の対流を妨げない1層キルトとハイマチキルトです。

羽毛布団の寝心地を重視した選び方

軽さ・暖かさ・温度調節機能の全てをランクアップするには、羽毛を上質マザーグースにして国産の細番手の超長綿の軽い側生地を採用して、キルト構造をハイマチ密閉キルト等にすれば可能です。

羽毛布団のサイズの選び方

羽毛布団は体を余裕で被うサイズの必要性をアピールする図

羽毛布団を選ぶ際は、体格に合ったサイズの布団をお選び下さい。布団から足が出たり寝返りを打つと背中が出るようでは快眠できません。

成長期のお子様の布団のサイズには注意ください。

まとめ

羽毛布団を購入する際には、文頭での羽毛布団の選び方の10+1の指標のチェックは重要です。商品説明には短所の記載はありません。品質表示票の行間を読むがごとく説明文を深読みしてください。特にメーカーの信頼度のチェックをおすすめします。

指標をチェックするサイトとして、羽毛布団購入時チェックリストもご覧下さい。

羽毛布団のランクと価格はピンキリで迷うのも当然です。

ご予算を決める前に羽毛布団を平均的な寿命を基に羽毛布団の日割り金額を食費と比較したページをご覧下さい。

リーズナブルなのはダックダウンですが、寝具専門店から見ればグースかマザーグースがおすすめです。ご予算の都合でダックを選ばれる際は、93%400dp以上の羽毛布団をおすすめします。

こちらが当店の羽毛布団商品一覧です。

羽毛布団選びで気になる『お手入れの仕方、洗濯、価格・アウトレット、レビュー』については下の関連サイトをご覧ください。

筆者:野口 英輝

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