羽毛布団の失敗しない選び方 ― 数字の裏にある「本当の品質」
羽毛布団を選ぶ際、「見た目は似ているのに価格がこんなに違うのはなぜ?」と感じたことはありませんか。表示されている数値やラベルだけでは、どれを選ぶべきか迷う方が多くいます。
羽毛布団の暖かさ・軽さ・快適性は、羽毛・側生地・キルト構造(内部の仕切り)の3要素が調和して生まれる“ハーモニー”のようなものです。この組み合わせが寝心地を左右します。
これら3要素には品質を示す指標がありますが、指標だけでは見えない品質の差も存在します。数字だけでは判断できない部分を理解することが、後悔しない選び方のポイントです。
羽毛布団に35年携わる専門家(西川スリープアドバイザー)が、指標の本来の意味や数字では見えない品質の差、チェックポイントを解説します。予算内で最高の暖かさを手に入れましょう。
【まず結論:迷ったらこの基準でOK】
| 条件 | 推奨スペック |
|---|---|
| 一般的な住宅(関東・関西) | グース 400dp〜420dp / 1.2kg / 立体1層orハイマチキルト |
| 寒い地域・築古住宅 | マザーグース 430〜450dp / 1.2〜1.0kg / 2層キルト |
| 暖かい地域・マンション高層 | グース 380〜400dp / 立体1層 |
| 予算重視 | ダック 400dp前後(実質380dp相当を目安に) |
※ 側生地は 80超長綿 が基本(子ども用は 60番手 推奨)
※ 羽毛布団の指標はメーカー提示のため、まず“信頼できるメーカーか”が大前提!

羽毛の選び方:品質指標の裏側と暖かさの仕組み
羽毛布団の暖かさの要「羽毛」の種類や品質の見分け方を解説します。
羽毛の基本と保温の仕組み

羽毛は、中心の核から放射状に広がる「羽枝」と、さらに細かい「小羽枝」で構成され、ボール状の形から「ダウンボール」と呼ばれます。
羽毛布団の暖かさは、ダウンボールが空気を抱え込むことで実現し、温度に応じて優れた温度調節機能を発揮します。
ダウンの蓄熱と放熱の仕組みの詳細
ダウンは温度に応じて構造を変え、寒い時は羽枝を密にして熱を閉じ込め、暖かい時は羽枝を広げて熱を逃がし、快適な温度を保ちます。 さらに、大きくて羽枝が密生したダウンほど、熱をより多く蓄えられるため保温性が高まり、羽毛布団の優れた暖かさと快適性を生み出します。
羽毛の種類と品質比較:ダック、グース、マザーグース
羽毛はダック・グース・マザーグースの3種類で、サイズはダック→グース→マザーグースの順に大きく、保温性・温度調節機能・耐久性も向上します。推奨は品質が高いグースかマザーグースです。

注意:マザーグースの品質基準はメーカーごとに異なります。ホワイトダウンやマザーダウンと表記されてもダックダウンの場合があります。詳細はグースとダックの違い、マザーグースとはを参照してください。
グースとダックの特徴
グースダウンは、一般にダックよりも羽毛自体が大きく、軽い量でもふくらみやすく保温性に優れていることが特長です。ダックダウンは羽枝が太く弾力が強いため使い始めは張りが感じられますが、長期使用では先端に多く偏った小羽枝が絡まり羽枝が抜けやすい傾向があります。
羽毛の性質は価格帯にも現れ、標準的な原毛ではグースの方が高値なのが一般的です。保温性や耐久性を重視する場合はグース、予算を低く抑えたい場合はダックが選ばれます。
ダウン率とは

羽毛はダウン(球状)とスモールフェザー(平面的)で構成され、ダウンの割合を「ダウン率」と呼びます。高いほど保温性、温度調節機能、耐久性が向上します。おすすめの基準は90%以上、理想は93%以上です(詳細はダウン率90%と93%の違い解説)。
尚、ダウン率50%未満は「羽根布団」であり「羽毛布団」とは明確に区別されます。
指標の欠点:未成熟な羽毛なども「ダウン」に含まれるため、ダウン率だけでは真の品質は判断できません。また、JIS規格ではダウン率に±5%の誤差が認められており、表示値と実際の割合に差が生じる可能性があります。これらの理由から、ダウン率だけでは品質評価として不十分で、その欠点を補う指標が「ダウンパワー」です。
ダウンパワーとは:羽毛の「かさ高」

ダウンパワー(dp)は、羽毛1gあたりのかさ高(ml)を示す指標で、数値が高いほど暖かい空気を多く含み、軽量で保温性・耐久性に優れます。
日本羽毛製品協同組合(日羽協)の基準では、400dpが「標準的な羽毛品質」とされ、市場でよく見かける「中級品」の目安となります。
【プロの体感】ダウンパワーは体感温度に直結します。目安として、ダウンパワーが10dp上がるごとに約1℃弱(おおよそ0.8℃)保温力がアップします。この知識が、本当に必要な暖かさを見極める基準になります。
【検証結果】ダウンパワーと体感温度の関係
この「10dpで約1℃弱」という体感温度の向上は、専門家が氷点下2℃の環境下で体を張って行った実証検証と、大手メーカーのデータによって裏付けられています。詳細な検証データとエビデンスは、以下の専用ページでご確認いただけます。
冬用羽毛布団の推奨品質は以下です:
- マザーグース:430dp以上
- グース:400dp以上
- ダック:420dp以上
【注意】「マザーグース」と表記されても上質とは限りません。本来の保温性・耐久性を求める場合は、440dp以上(西川は430dp以上)を目安に選ぶことを推奨します。例えば420dpのマザーグースは、通常のグースダウンと同等レベルです。
同じdp値ならグースを選ぶ方が保温性は高く、測定方法はこちらで確認できます。
羽毛の種類とダウンパワーの正しい読み方

ダウンパワー(dp)を正しく比較するには、測定時の特性を理解する必要があります。グースは繊細なため押しつぶすと形が潰れやすく、測定時には実際のふくらみに近いdpになりやすい一方、ダックは羽枝が太く、試験時につぶれにくいため、同条件でも数値が高めに出る傾向があります。
このため、同じdp値でも体感の保温力が一致しないことが多く、実勢価格を見てもグースとダックの間には明確な性能差が反映されています。筆者の経験上、市場価格と使用感を照らし合わせるとダックのdpは概ね20dp程度差し引いて比較すると実際の性能差に近づきます。詳しくはこちらをご覧ください。

膨らみの速さ(復元性)と保温性はまったく別の性能です。ダックの羽枝は張りがあり早く膨らみますが、保温性の高さを示すものではありません。
dp数値の落とし穴と見抜き方
マザーグースは採取時期で品質が変わり、晩秋採取が良質です。
アイダーダックダウンなど羽毛同士が絡むスティッキーダウン(マザーグースにも存在)は保温性に優れますが、dp値が測定されにくく、同じdp値のマザーグースと比べて価格差が出る場合があります。
また、羽毛を一時的に膨らませる薬品による「パワーアップ加工」は早期にへたる可能性があります。
買い替え検討の方へ:品質指標はかさ高(mm)から現在の国際基準に近いダウンパワー(dp)に変更されました。古い布団も現行基準で比較可能です。
例:かさ高180mm ≒ ダウンパワー440dp
ダウンパワーが低い羽毛は、その保温力を補うために充填量を多くする傾向があります。しかし、同じダウンパワーであっても、充填量が少なすぎると十分な保温性は得られません。
冬用羽毛布団の充填量の目安は、ダウンの種類とダウンパワーによって以下のように変わります。
| 羽毛の種類 | dp値 | 充填量目安 | 快適使用温度 |
|---|---|---|---|
| ダックダウン | 380 | 1.5kg前後 | 室温8℃以上 |
| グースダウン | 400 | 1.2~1.3kg | 室温7℃以上 |
| マザーグース | 440 | 1.0~1.3kg | 室温5℃以上 |
※上記の表は1層キルトの場合の目安です。快適使用温度は充填量・キルト構造・側生地によって変動します。
ただし、適正な充填量は室温や住環境に大きく左右されます。例えば、寒冷地では少し多め(上記の範囲内で最大値付近)、暖かい住宅や高断熱のマンションでは少なめでも十分な暖かさが得られます。
過剰な充填のデメリット
低品質な羽毛布団は充填量を増やしがちですが、布団が重くなるだけでなく、羽枝が開きにくくなり温度調節機能が低下し、フィット性が悪化して保温力が下がる可能性があります。

羽毛を過度に増量するとフィット性が悪化し、体と掛け布団の間に隙間ができ、かえって保温力が低下します。適正な充填量が暖かさの鍵です。
dp別 羽毛布団の使い分け
- 400dp未満:合掛け・肌掛け向き。冬用なら室温10℃以上。
- 400dp以上:標準的な冬用。室温5~10℃対応。
- 440dp以上:寒がり・寒冷地向け。2層・3層キルトなら室温5℃以下にも対応。
日羽協ゴールドラベルの活用
dp値はラベルで確認可能です。400dp・ダウン率90%が上位ランクと下位ランクの分岐基準。おすすめは、プレミアムゴールド・ロイヤルゴールド。
| ラベル | ダウン率 | ダウンパワー | 羽毛種類 | 評価 |
|---|---|---|---|---|
![]() プレミアムゴールド | 93%~ | 440dp~ | マザーグース グース マザーダック | ★★★ ★★★ |
![]() ロイヤルゴールド | 90%~ | 400dp~ | グース ダック | ★★★ ★★ |
| ▲ 標準的な品質(400dp・90%) ▼ | ||||
![]() エクセルゴールド | 80%~ | 350dp~ | ダック グース | ★★★ ★ |
![]() ニューゴールド | 50%~ | 300dp~ | ダック | ★★★ |
「プレミアム=マザーグース」ではありません。条件を満たすグースやダックのダウンにも付きます。
ラベルやdp値がない場合の選び方
表示がない場合は、以下4点に注目して選びましょう:
- 羽毛の種類(ダック・グース)
- ダウン率と充填量(kg)
- 側生地の素材(超長綿など)
- 販売価格と相場(高価格帯は高品質羽毛)
メーカーの基準詳細は、西川羽毛ふとんの選び方や西川基準とゴールドラベルの関係を参照してください。
産地、洗浄度、色、臭い:品質の裏づけ
羽毛の品質を確かめるポイントを解説します。
羽毛の産地と品質ランク

ダウンパワーが同じでも、産地によって耐久性には差が出ます。これは、ハンガリーのFBZ社も指摘しており、このことを証明するため「かさ高性の圧縮回復性試験」が行われています。一般的に、乾燥した気候で育ったヨーロッパ産の羽毛は、アジア産に比べ耐久性に優れているとされています。
ポーランド、ハンガリーなどの「ダウンベルト」地域が高評価ですが、産地だけで品質を判断してはいけません。欧州産という表記だけでは不十分で、「国名や都市名の記載の有無」をラベル等で確認することが重要です。記載のないものはおすすめ出来ません。
産地偽装の見抜き方
市場では輸入量に対してポーランド産などが多すぎる場合があります。トレーサビリティのあるJ-TASラベルや、メーカーの信頼性を確認しましょう。
ダウンの色と性能
ホワイト、シルバー、茶系がありますが、性能差はほとんどありません。ホワイト系は人気がありやや高価です(詳しくは羽毛の色の違い)。
洗浄度:清潔さと耐久性

羽毛の洗浄度は、羽毛を洗った水の透明度で判断します。500mmでも十分清潔ですが、1000mm以上が理想です。ただし、過度な洗浄は羽毛の油脂分を奪い、耐久性低下のリスクがあります。
羽毛の洗浄度の正しい知識
洗浄度は洗浄回数とは直接関係ありません。過度な洗浄は羽毛の油脂分を落としすぎ、油脂分が低下した髪の毛の枝毛のように割れやすくなり耐久性が低下する可能性があります。
IDFL(国際羽毛検査機関)の「ヘルシーダウンプログラム」では、500mm以上が合格基準とされており、500mmでも十分に清潔な洗浄度であると言えます。2000mm洗浄は非常にクリーンですが、羽毛の耐久性への影響が懸念されます。
1000mm洗浄を推奨する理由は明確です。日本羽毛製品協同組合(日羽協)が定める標準品質(400dp・ダウン率90%)を上回るプレミアムゴールドラベルおよびロイヤルゴールドラベルの羽毛布団には、いずれも1000mm洗浄の羽毛が使用されていることが、その品質の高さを裏付けています。
羽毛の臭いを避けるための選び方
羽毛の獣臭は、品質の低いダウンに残る油脂分が主な原因です。臭いを避けたい場合は、 品質の確かな成熟グース(特にグース90%以上)を選ぶのが最も確実です (詳しくはこちら)。
「ニオイの原因は洗浄不足」という誤解がありますが、洗浄度だけでは臭い対策にはなりません。 原毛そのものの品質が最も大きく影響します。
迷ったら良質なグースダウンを基準に選ぶことで、臭いリスクを大幅に減らせます。
まとめ:羽毛の品質での選び方
暖かさは、羽毛の種類 × ダウン率 × ダウンパワー × 充填量 × 産地で決まります。総合的に判断しましょう。
- コスパ重視:ダウン93%・400dp以上のグース
- 暖かさ・軽さ重視:マザーグース
- 充填量:多すぎると重くなり温度調節が低下
- 臭い:グース90%以上で回避可能
- 洗浄度:500mm以上、理想は1000mm
羽毛布団の側生地の選び方:快適性は生地で決まる
側生地は寝心地やムレ感を左右する重要ポイントです。以下を基準に選びましょう。
主要素材の違い
超長綿の糸番手と重さ

番手が細いほど軽く薄く、体に沿いやすいため保温性・フィット性が高まります。
超長綿のグレード
綿花の種類で品質が分かれます。

海島綿・新疆綿・スーピマ・ラムコ・ギザなどは毛羽が少なく光沢があり、同番手でも上質。細番手は軽く柔らかい反面、摩擦に弱く寿命は短めです。
側生地のネガティブ情報
100単糸には、経糸が100番手と80番手の2種類あり価格差があります。また、精紡交撚糸480tの経糸は360tです。
60番手には、軽さとドレープ性を高めるピーチスキン加工が施されたものもあります。しかし、耐久性がやや低下し、生地表面が白桃の皮のように毛羽立つため、花粉などのアレルゲンが付着しやすく、アレルギー体質の方は注意が必要です。
織り方と特性

主流は滑らかなサテン織り。平織り・綾織りは軽く通気性が良いものの、動きに合わせてカサつく音が出る場合があります。
ダウンプルーフ加工と通気性

羽毛布団の側生地には羽毛の吹き出しを防ぐダウンプルーフ加工が施され、通気性はやや低下しますが、快適性を損なわない範囲で必要な技術です。
ゴアラミネート加工は微細孔を持つ膜をラミネートした高機能生地で、羽毛の吹き出しを防ぎつつ非常に高い透湿性と、100番手クラス生地と同等の通気度(約2cc/1秒・1㎝角)を実現します。
この優れた通気性・透湿性により、寝床内の湿気がこもりにくく、羽毛本来の調湿機能を十分に活かすことができます。
最適な側生地の選び方
迷った場合は、バランスに優れた超長綿80番手・サテン織りが最も無難で快適です。
| 素材 | 価格 | 蒸れ感 | 軽さ | お手入れ |
| 超長綿 | 幅広い | 快適 | 700~1030g | 普通 |
| 合繊 | お手頃 | 普通 | 900g | やや難 |
| ポリエステル | 安価 | 蒸れやすい | 750g | 簡単 |
| シルク | 高価 | 快適 | 700~800g | 難しい |
側生地で変わる快適性
暖かさやムレ感は羽毛だけでなく、側生地の熱伝導率・吸湿性・通気性に左右されます。熱伝導率が高い素材は寝床内の温度変化を素早く羽毛へ伝えることで保温力を引き出しやすく、暖かな寝床内環境を作ります。
一般的な熱伝導率の高い順番は、ポリエステル < 合繊 < シルク < 綿 となります。熱伝導率の高い生地ほど、寝床内の温度変化を素早く羽毛に伝えて温度調節を助けるという特徴があります。
一方ポリエステルは吸湿しにくく、環境によって蒸れを感じやすい場合があります。
季節や住環境に合わせ、熱伝わりの良さと湿気コントロールで生地を選ぶことが快適性向上の鍵です。
側生地選びの要点
- 快適性:吸湿性・通気性重視なら超長綿80番手以上が最適。ポリエステル混はやや蒸れやすい。
- 耐久性:長持ち重視なら超長綿60番手以上がおすすめ。
- アレルギー対策:羽毛布団の生地はダニの通過はありませんが、花粉が付きにくい80番手以上の超長綿が安心。専用カバー併用が効果的。
詳しくは側生地の種類と品質をご覧ください。
羽毛布団のキルト構造と選び方
羽毛布団の内部は一般的に格子状に区切られており、この区切りを「キルト」と呼びます。キルトは羽毛の偏りを防ぎ、保温性を安定させる役割があります。キルトの形状によって、暖かさ・軽さ・フィット感・価格が変わります。
主なキルト構造は下図(断面図)の4種類です。求める暖かさに合わせて選びましょう。

立体1層キルト(軽量・標準タイプ)

最も一般的な構造。軽く快適ですが、マチ布部分の布団の厚みが薄く熱が逃げやすいのが特徴です。価格を抑えたい方に向きます。
マス目の数やマチ幅も保温性に影響します。マス目が多いほど体に沿いやすく保温性は向上しますが、見た目のボリューム感は減少。マチ幅が狭すぎると凹凸感が出てボリュームはあるように見えますが、フィット性が下がり熱が逃げやすくなるため注意が必要です。
2層・3層キルト(高保温タイプ)

上下層でマス目をずらすことで、縫い目からの放熱を防ぎ、1層キルトより高い保温力を実現。寒い地域や冷え性の方におすすめです。体へのフィット性も高くなります。
ただし、2・3層キルトは層を仕切る布があるため、布団内部の空気の対流が遅くなり僅かに蒸れ感が出やすくなります。
ハイマチ密閉キルト(バランス型)

マチ幅を広くして羽毛の片寄りを防ぎ、保温力・軽さ・耐久性のバランスが良い構造です。複雑な縫製と充填工程により価格はやや高めですが、長く安定した寝心地を得られます。
ヨーロピアンキルト(夏用・肌掛け向け)

マチ布を使わず表裏生地を直接縫い合わせたシンプル構造。軽量で通気性が良く、夏用やウォッシャブルタイプに最適です。羽毛の偏りが起きにくく、保温性は控えめです。
保温力の目安と選び方
保温性は概ね、ヨーロピアン < 立体1層 < ハイマチ密閉 < 2層 < 3層の順で高くなります。寒がりの方や室温が低い場合は、2層・3層またはハイマチ密閉キルトを選ぶと安心です。
- 暖かさ・快適性・耐久性重視:ハイマチ密閉キルト
- 暑がり・高断熱住宅・価格重視:立体1層キルト
- 寒冷地や冷え性:2層・3層キルトまたはハイマチ密閉キルト
詳細は、「羽毛布団のキルトと寝心地」やキルトFAQをご覧ください。
日本製羽毛布団の実態と選び方
「日本製」には、海外で生地を織り縫製し、日本で羽毛を充填しただけの製品も多く含まれます。

真の「純日本製」は、「国産生地・国内縫製」の表記、または日本の厳しい品質基準をクリアしたJ∞QUALITY認証マークで確認できます。価格は高くても安心感と品質の高さから「純日本製」をおすすめします。

より詳しく知りたい方は、純日本製の羽毛布団の選び方(詳細ページ)をご覧ください。
製造工程の細部にわたるこだわりは、羽毛布団の作り方(詳細ページ)でご紹介しています。
羽毛布団のサイズの選び方
快適な睡眠には、体をしっかり包み込み、寝返りでも寒さを感じない適切なサイズ選びが重要です。
体格・人数別 最適サイズ

- 高身長(180cm以上): 通常のシングルロング(150×210cm)では丈が足りない場合があるため、丈230cmの「シングルロングロング(SLL)」など、長いタイプがおすすめです。
- 体格が大きい方・ペア利用: 2人での使用は、背の高い方や体格の大きい方に合わせ、幅の広いセミダブル、ダブル、クイーン、キングサイズを検討しましょう。寝返りが多い、もしくは体格が大きい方は、「シングル=一人用」という一般的なイメージにこだわらず、ダブルサイズを選ぶことをおすすめします。

各サイズの詳細や選び方はサイズの詳細ページで。お子様にはリフォーム・打ち直しでのサイズ変更も可能です。
メーカーの信頼度で選ぶ羽毛布団
羽毛布団の品質保証は、実際に羽毛を充填し製品化しているメーカーが担っています。 同じ「表示品質」でも、メーカーの管理体制や基準によって品質差が生まれるため、メーカーの信頼性は羽毛布団選びで重要な判断軸になります。

信頼できるメーカーを見極めるポイント
メーカーごとに品質基準や許容範囲が異なるため、以下の点を確認しながら、より信頼度の高いメーカーを選びましょう。
- メーカー名の明記:品質表示票に製造メーカーの記載がない製品は避ける。
- 大手メーカーの実績:西川(株)・山甚物産(株)など、長年の実績と厳格な品質管理を行うメーカーは信頼性が高い(※ただし価格帯によっては廉価版も存在)。
- 国際規格認証:ISO9001取得メーカーは生産管理体制が安定している。
- 日本羽毛製品協同組合(日羽協)加盟:ゴールドラベル裏面で加盟を確認可能。詳しくは 加盟リストを参照。
価格帯によって変わる「羽毛の調達ルート」
信頼性の高いメーカーであっても、市場の価格競争に対応するため、価格帯に応じて羽毛の調達経路を複数持っている点は知っておくべき重要ポイントです。 低価格帯モデルでは、コストを優先した調達ルートの羽毛が使われることもあり、必ずしも「有名メーカー=すべて上質」とは限りません。 メーカー名だけでなく価格帯も合わせて判断することが、失敗しない羽毛布団選びにつながります。
メーカーの信頼度についてさらに詳しく知りたい方は、 おすすめメーカーでの選び方(詳細)をご覧ください。
失敗しないための予算設定と相場を掴む手順
現在の原毛価格は記録的な高騰を続けており、さらにドル建て決済と急激な円安の影響で、羽毛布団の相場価格は激しく変動しています。そのため、具体的な金額を断定的に提示するのは難しいのが現状です。まずは、安易な価格比較ではなく、「なぜこの価格なのか」という品質の裏付けを知ることこそが、後悔しない選び方の第一歩となります。
長期的な費用対効果を考える
なぜ初期費用の高い羽毛布団が、結果的に安上がりになるのでしょうか?
それは、耐久性と、快適性(毎日の睡眠の質)を考慮した場合の費用対効果が圧倒的に優れているからです。この詳細な費用対効果については、既に「羽毛・側生地・キルト構造」の各セクションで解説しています。グースまたはマザーグースで高いダウンパワーの羽毛と上質な生地を選ぶことが、長期的な満足度と経済性につながることを改めてご確認ください。
相場価格を調べる際の現実的な方法
毎年値上がりをしている相場を掴むための現実的な手順は、まず購入したい品質条件を固定することです。以下の条件で検索ベンチマーク(基準)を設けましょう。
- 羽毛の種類:グース・マザーグース
- 羽毛の品質(dp値/ダウン率):グース93% / 400dp以上
- 側生地の品質:超長綿80番手以上
- 充填量(冬用本掛け):1.2kg~1.3kg(400dpグースの場合)
この条件を満たす製品を、信頼できる大手メーカー(例: 西川)に絞って数点選んでください。そのメーカーが提示する価格の平均を出すことで、品質に見合った相場価格を把握することができます。
例として、大手のショッピングモールで「羽毛布団 シングル グース 93% 400dp 超長綿 80 西川」といったキーワードを検索窓に入力すると、商品一覧が出てきます。この条件に該当する製品を数点選び、平均価格を出すと相場は分かります。
安さの裏側:激安セール品の注意点
羽毛布団の製造コストに占める最大の割合は羽毛原価です。極端に低価格で販売するには、表示されているものよりも品質を落とす方法(偽装)が一般的に行われます。大手である西川株式会社においてはあり得ないことですが、輸入統計資料や過去の状況から判断すると、羽毛の品質偽装は今もなお起こり得ると考えられます。
激安羽毛布団においては、「なぜこんなに安いのか?」という明確な理由(例:在庫処分、B級品など)があるもの以外は避けるべきです。品質の裏付けがない安価な製品は、低品質のダウンが使われている可能性が高く、結果的に「安物買いの銭失い」となりかねません。
【実践編】室温と体質で決める!失敗しない選び方
知識だけでは布団は選べません。重要なのは「寝室の最低室温」と「暑がり・寒がりの体質」です。プロの経験則に基づき、あなたに最適なスペックを導き出します。
室温別:最適な羽毛布団のスペック目安
冬の明け方の寝室温度(最低室温)を基準に選ぶのが鉄則です。

| 最低室温 | 推奨タイプとスペック |
|---|---|
| 20℃ | 肌掛け布団(ダウン0.3~0.4kg) 夏場や空調管理された部屋向け。麻やシルクも推奨。 |
| 15℃ | 合掛け布団(ダウン0.7kg前後) 高気密マンションや暑がりの方に最適。 |
| 10℃ | 冬用本掛け(400dp以上 / 1.2kg) 【標準】立体1層キルト。一般的な冬の寝室向け。 |
| 5℃ | 高保温本掛け(400dp以上 / 1.3kg~) ハイマチや2層キルト推奨。寒さを感じる戸建て等。 |
| 0℃ | 寒冷地仕様(マザーグース / 2層・3層キルト) 430dp以上の高品質羽毛で保温力を最大化。 |
※室温目安:戸建ては外気温+5℃、高気密住宅は+8℃程度。マンションの方はこちらも参照。
体質と住環境による調整
- 暑がり・汗かきの方:
保温しすぎない「立体1層キルト」や、通気性の良い「超長綿(綿100%)」の側生地を選び、蒸れを防ぎましょう。 - 寒がり・高齢の方:
体温を逃さない「2層・3層キルト」や、保温力に優れた「マザーグース」が安心です。 - 子供用:
新陳代謝が活発なため、標準的な保温力で羽毛が偏りにくい「密閉1層キルト」がおすすめです。
よくある質問
- Q. 寒冷地で絶対寒くない布団は?
- A. 「マザーグース93%以上(430dp~)」かつ「2層/3層キルト」を選んでください。敷き布団の断熱も重要です。
- Q. ネットの口コミは信じていい?
- A. 参考程度に。ランキングや口コミは品質の裏付けがない場合も多いため、必ず「dp値・ダウン率・生地」の数値を確認してください。
プロ厳選!後悔しない「最終推奨スペック」
多くの情報を解説しましたが、迷ったら以下の基準で選べば、快適性・耐久性・価格のバランスが取れた「失敗しない買い物」ができます。
【結論】狙い目はココ!
- コスパ重視(標準)
グース93% / 400dp / 立体キルト
ダックはダウンボールが小さいため保温性が弱く、臭いや耐久性に難があるため、長くお使いになる場合はグース以上を選ぶのが良いでしょう。来客用なら上質のダックでも可。 - 暖かさ・軽さ重視(自分用・寒がり)
マザーグース93% / 430dp以上 / ハイマチ or 2層キルト
圧倒的な保温力と軽さ。リフォームしても長く使えるため、長期的には経済的です。 - 側生地(共通)
超長綿(60番手~80番手)の国内縫製。上質の寝心地を求めるなら100単糸・200双糸以上の超長綿
ポリエステルやポリエステル混の生地は吸湿性が低いため蒸れやすく、静電気が起こりやすいため注意が必要です。綿100%の超長綿がベストです。
購入後のメンテナンス
長く快適に使うためのポイントです。
- 日々のお手入れ:カバーを掛け、月1から2回程度風通しの良い場所で陰干し(部屋干しで十分)。
- 禁止事項:布団たたきはNG(生地を傷めます)。シルク、リヨセル(テンセル)やゴアラミネート加工生地はクリーニング不可が多いため注意。
- 収納:通気性の良いケースに入れ、乾燥した暗い場所に保管してください。

まとめ
羽毛布団選びの正解は「数値(品質)」と「信頼できるメーカー」にあります。イメージや大幅値引きに惑わされず、ご自身の室温と体質に合った一枚を選んでください。
さらに細かいチェックリストはこちら、個別の相談は羽毛布団の相談室で承ります。
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