再生羽毛布団の品質基準の背景

リサイクル羽毛の品質基準が2019年に日羽協において策定されました。この基準ができたことにより、消費者の方が安心してリサイクル羽毛布団を購入する事ができる様になりました。

2023年には、リサイクル羽毛布団のダウンのランクを示すラベルが作られました。まずは品質基準をご案内します。

リサイクル羽毛の品質基準

組成混合率 ダウン率は家庭用品品質表示法を遵守する
ダウンパワー 250dp以上
清浄度 洗浄水の透明度1,000mm以上。新品ダウンは500mm以上。
酸素計数 雑菌などの有機物残留度合い4.8mg以下(西川の新品ダウンと同じ)
羽毛の鳥種 グースとかダックなどの鳥種表示はできない
羽毛の産地 産地表示はできない

上記以外にも日羽協の組合員は厳守しなければならない事項があります。例えば、中古の羽毛布団を丸洗いして、その布団から取り出した羽毛はリサイクル羽毛としては認めない等があります。

リサイクル羽毛なので、ダウンパワー値は低いのは仕方ありません。産地とか鳥の種類は表示できないのは理解できます。洗浄度と酸素計数はバージンダウンと同程度にクリーンなイメージが持てる内容です。

再生羽毛布団のダウンのランク

日羽協ではリサイクルダウンのランクを、ロイヤルグリーン、エクセルグリーン、ニューグリーン、グリーンの4ランクに分けてラベルを発行しています。

ランクは、ダウンパワー、ファイバー混入率、きょう雑物混入率の違いにより分けられています。4ランクにおいて清浄度1000mm以上と酸素計数4.8mg以下の基準は共通しています。

ラベルは4ランク毎に分かれていて、各ランクにおいてリサイクル羽毛100%とリサイクル羽毛を混合用した色が反転した2種類のラベルになっています。下の画像はロイヤルグリーンラベルのものです。

リサイクル羽毛布団に添付されるロイヤルグリーンラベルのリサイクル羽毛100%とリサイクル羽毛を混合用とラベル裏面の画像
リサイクル羽毛布団のグリーンラベル毎の基準
清浄度1000mm↑酸素計数4.8mg↓以下は共通

DP ファイバー 夾雑物
ロイヤル
グリーン
400dp 8.0%↓ 1.0%↓
エクセル
グリーン
350dp 8.0%↓ 1.5%↓
ニュー
グリーン
300dp 8.0%↓ 1.5%↓
グリーン
250dp 10.0%↓ 1.5%↓

再生羽毛布団の特徴

リサイクル羽毛布団は、羽毛を再利用することでSDGsへの取り組みに一翼を担う事が出来ます。

ロイヤルグリーンラベルの羽毛布団はダウンパワーも400dpあり保温力の点でも安心出来る品質です。お値段も比較的リーズナブルなのでお求め安い羽毛布団と言えます。

低価格の羽毛布団でありながらニオイの心配が無い事をセールスポイントに見かけます。

バージンダウンとの違いは、羽毛の洗浄度が高く設定されている点と羽毛の鳥種の表示がされないことです。

この二つの違いを別の視点で説明をします。

バージンダウンの油脂分率(%)は通常1.0%以下に設定されています。洗浄度が高いことはこの油脂分が少なくなっていることを意味します。この油脂分はニオイの原因物質ですが、羽毛にとっては必要不可欠な存在であり油脂分の低下は髪の枝毛と同様にダウンボールが割れやすくなることを意味します。バージンダウンが耐久性に優れていると言えます。

羽毛の鳥種の表示が出来ないことは、グースとダックが混合した状態の羽毛であることを意味します。400dpのバージングースダウンは同じ400dpのダックダウンより保温力に優れています。400dpのバージングースダウン100%の方が混合した状態の400dpのリサイクルダウンより保温力に優れていることを意味します。

市場にはリサイクルダウンで鳥の種類を明示した羽毛布団を見かけますが、不要になった羽毛布団を回収する際にダウンの鳥種を全て見分けることは不可能だと思います。どの様にすればグースとダックの羽毛布団をより分けるのか不思議です。

リサイクル羽毛の現状

リサイクル羽毛は、ビジネスホテル、病院などの掛けふとんに使用されるか、ダウンジャケットなどの衣料品に多くが使用されていたと認識していました。その需要ウェイトは大きいのは事実です。

しかし、原毛羽毛の高騰が原因でリサイクル羽毛布団は一般消費者にも多く販売されるようになっています。

リサイクル羽毛のうわさ

2017年頃からであったと思いますが、リサイクル羽毛を充填した羽毛布団においてダウンの産地と鳥の種類を表示して販売しているウワサを聞きました。

ちょうどその前年から鳥インフルエンザが大流行していました。そのウワサの羽毛布団には、ハンガリー産グースの表示がされているとの事でした。破格の価格で販売をしている旨の話でした。

2024年には、ハンガリー産ダックダウン、ダウンパワー○○DP、ダウン率○○%激安の羽毛布団が出てているとの情報です。具体的なDP値とダウン率も聞きましたが公開は差し控えます。

ただこのダックダウンの羽毛布団はこのダウン率でありながら「無臭」とのことです。ここのところの原毛ダウンの値上がりの中で、この価格で無臭は考えられません。洗浄再生された羽毛かも?心の中でつぶやきました。再生羽毛布団において日羽協では「産地表示はしない」「羽毛の鳥種の表示をしない」となっています。この2点が購入時のチェックポイントです。

リサイクル羽毛の品質基準策定の背景

リサイクル羽毛を中古羽毛として正しく販売するために作られた基準だと思います。ある一定の品質を保つための基準で有り、羽毛布団を解体して除塵して羽毛を洗浄できる設備を持った組合員である必要があると読むことができます。日羽協の組合員(メーカー)においては、「羽毛の産地表示はできない」この項目を守る事になります。基準策定の背景には、リサイクルダウンによる偽装羽毛布団を排除する効果もあると思います。

ウワサのリサイクル羽毛を使用して産地表示をしている羽毛布団の小売価格は、寝具店の仕入れ価格よりも安いと思います。当店ではとても信じられない価格でした。

尚、リサイクル羽毛の定義には、羽毛布団の打ち直しリフォームで仕上がった羽毛は含まれていないとの事でした。

筆者:野口 英輝

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