熱伝導率とは

熱が伝わる速さのを表したものが熱伝導率です。素材毎に熱伝導率は異なり湿度が高くなるにつれて熱伝導率の値も高くなります。

熱伝導率が低いのは空気であり、空気をうまく利用することで暑さ寒さ対策が効率よく出来ます。

熱伝導率を自動車道のスピードに例えるイメージ図

素材毎の熱伝導率

寝具素材の熱伝導率

寝具に関係する主な素材の熱伝導率を表に致しました。

空気の熱伝導率は0.024と最も小さく熱が伝わりにくい事を表しています。水は寝具素材と直接は関係しませんが湿気を考慮する際に必要となります。

羽毛の熱伝導率はネット検索にて調べましたがズバリの値は有りませんでした。幾つかの資料を基におおよその数値を計算すると約0.35程度になりました。

羽毛の熱伝導率も、羽毛を採取した鳥の種類であるダック、グースの違いとかダウン率等により幅があることも解っています。

熱伝導率は熱の伝わる速さ

熱伝導率を自動車の通行量に例えるなら、時速100kmで走行できる車線と時速30kmでしか進めない車線のような違いです。各素材により熱伝導率は異なるので保温と放熱に応じて使い分ける必要があります。

熱伝導率は密度の違いでも差がでます。簡単に言うなら糸よりも生地の方が熱の伝わる量が多くなります。車道に例えるなら4車線の道と2車線の道では自動車の通行量は当然4車線の道が多く熱伝導率においても同様の事が言えます。

保温性を重視するなら熱伝導率の低い素材を使用して、放熱性を重視するなら熱伝導率の高い素材を用いることで特性を活かした製品が出来ます。

寝具素材と熱伝導率の関係

寝具素材において、熱伝導率が高いものは夏用の寝具に低い場合は冬向きに向いていることはお解り頂けるでしょう。

しかし冬から夏にいきなりスイッチを切り替えるようには気温は変化しません。暑い日もあれば寒い日もあり1日の気温差もあります。

熱伝導率の低い空気を寝具に利用

熱伝導率の低い空気をどのように利用するかにより、寝具においては保温と放熱の効率が増します。

寝具の中でも羽毛布団は空気層をうまく利用しています。羽毛布団内部の空気の対流をダウンによりコントロールしているわけです。

羽毛素材の熱伝導率も低いので一定の保温力は確保できます。しかし、熱がダウンに伝わることでダウンの羽枝を広げ空気の対流を良くして放熱をして、布団内部の温度が低くなると羽枝を閉じて空気の対流を止めて保温しています。

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夏の寝具として熱伝導率が高い麻繊維を使用したものは有名です。しかし、熱伝導率が低い空気を対流させて放熱している夏の敷きパッドもあります。

汗で湿気たパッドは湿度が高くなり熱伝導率も高くなりひんやり感は増し、空気の対流は汗を気化させて気化熱を奪いひんやり感を増しています。

異なる熱伝導率の素材の組合わせ

異なる熱伝導率の麻とポリエステルと羊毛の素材の組合わせ

異なる素材を組み合わせた寝具は多くあります。素材が異なれば当然熱伝導率も異なります。

例とえば、図の様に麻とポリエステルと羊毛の素材を組み合わせた場合の熱の移動を紹介します。

例えば熱伝導率を自動車道に例えるなら異なる素材を組み合わせることは、自動車道では時速100kmの区間(麻の素材)と時速30km(ポリエステル素材)、あるいは時速60kmの区間(羊毛素材)が存在する様なものです。この場合30kmの部分では渋滞が発生します。

異なる素材を組み合わせた場合、熱伝導率の低い素材部分において熱渋滞が発生します。上の例だと麻素材の熱伝導率が活かされない状態です。

寝具と熱伝導率の関係まとめ

寝具の保温と放熱は素材の熱伝導率を活かして作られていますが、最も熱伝導率の低い空気の対流をコントロールすることで熱量をコントロールすることが出来ます。その最たる寝具が羽毛布団とかムートンパッド、夏向きでは麻わたを使用した麻布団と言えます。

また、複数の素材を組み合わせた場合には熱伝導率の低い素材で熱渋滞が発生します。それ以外にも熱伝導率は湿度とか素材密度(量)により変化します。

筆者:野口 英輝

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