羽毛布団の快適使用温度帯

羽毛布団をいつからいつまで使うのか?衣替えの様にカレンダーに記載はありません。

掛け布団の入れ替えは、季節の変わり目に応じて一言で言えば暑く感じたり寒く感じたときにすればよいわけです。

では実際に寝室の室温が何度ぐらいの時に羽毛布団は交換をするのでしょうか。

室温での羽毛布団の選び方、冬用の羽毛布団は室温は15℃、10℃、5℃で仕様が異なり、合い掛け肌掛けは23℃、20℃、15℃を境に交換の目安をイメージ

羽毛布団と言っても、冬・春秋・夏の季節に対応するため仕様が異なる3種類の羽毛布団があります。

3種類の羽毛布団の入れ替えは、室温が23℃、20℃、15℃あたりが目安になります。秋と春では少し温度差あります。

季節ごとに3種類の羽毛布団をうまく入れ替えることで、寝床内の環境を快適な状態に保つことができます。

羽毛布団、合い掛け布団、肌布団の入れ替えは寝室の最低室温と関係しています。

目次

  1. 羽毛布団の種類
  2. 室温と羽毛布団の種類
  3. 冬用羽毛布団はいつからいつまで
  4. 季節に応じた羽毛布団の選び方
  5. 室温での羽毛布団の選び方
  6. ベッドと床寝での温度差

羽毛布団の種類

羽毛布団の種類は、布団の厚みによる保温力の違いで分かれます。具体的には冬用の羽毛布団と春秋の合い掛け羽毛布団、さらに夏用の肌掛け羽毛布団(ダウンケット)の3種類に分かれています。

羽毛布団の厚さと保温力に関係があるキルトを羽毛布団の種類別に図解します。

羽毛布団の3種類キルトとしてヨーロピアンキルト、立体的な1層キルト、さらに2層・3層キルトのイメージ図

羽毛布団の保温力の違いはキルト方式の違いだけでなく羽毛量とダウンパワー等の品質や羽毛の鳥の種類にも関係があります。

季節に応じて最低室温が変化するため、羽毛布団の厚さも薄いものから厚いものに変化します。各羽毛布団の仕様を示したのが下の表です。尚、キルトとは布団内部の仕切り方の意味です。マチ幅とはマス目間の仕切り布の事です。羽毛品質のdpとは羽毛の膨らむ強さダウンパワーの単位です。

羽毛布団の種類別の羽毛量・品質(SL)

肌掛け
合い掛け
羽毛布団
キルト
ダイレクト
立体1層
立体1層・2層3層
マチ幅
マチ無し
約3cm
4cm~8cm
羽毛品質
~400dp
350dp~440dp
380dp~490dp
羽毛量
300g~400g
600g~1kg
1kg~
羽毛種類
ダックorグース
ダックorグースorマザーグース
ダックorグースorマザーグース

各羽毛布団の特徴を紹介します。

肌掛け羽毛布団の特徴

肌掛け羽毛布団は夏に使うので保温力はあまり必要でないため、布団の厚さと関係するマチ幅はダイレクトキルト(ヨーロピアンキルト)と呼ばれている表生地と裏生地をダイレクトに縫合するマチ無しの仕様が一般的です。マチ付きのキルトの肌掛け羽毛布団も割合は少ないがあります。

また、ダウン品質においても400dp位までの羽毛を使用してダウン量もシングルで400gまでが一般的です。

合い掛け羽毛布団の特徴

寒暖差が激しい端境期におすすめなのが合い掛け羽毛布団であり、極端な暑さとか寒さはないため布団の厚さは3cmw程度のマチ幅のものが一般的です。

そのため保温力のある羽毛でなくても対応出来るため、羽毛品質に応じて羽毛量も幅がありますがシングルサイズでは600g-700gが一般的です。

冬用羽毛布団の特徴

冬用羽毛布団の場合は室温が低い季節に使用することから、布団の厚さもある程度必要になるためマチ幅は4cm以上であり更に2層・3層キルトもあります。

冬用の羽毛布団は、室温の最低値が15℃、10℃、5℃あたりで快適に使用するためには仕様が異なります。羽毛の鳥の種類・ダウンパワー・充填量・キルトが室温に応じて仕様が異なります。

羽毛の品質を表すダウンパワー値が450dp以上ならシングルでは羽毛量は1000g-1100gですが、400dp-440dpなら1.2kgが一般的であり、400dp未満の場合は1.3kg-1.5kgと多く入れる傾向があります。

羽毛布団の魅力は、暖かさ・軽さ・快適さなので、羽毛品質と量だけでなく側生地素材とかキルトもバランス良く組み合わされる必要があります。

室温と羽毛布団の種類

羽毛布団の種類と快適使用温度帯

羽毛の品質・充填量とかキルト構造の違いにより多少温度差は出ますが、室温に応じて3種類の羽毛布団を使い分けて快適に眠る目安となる温度帯を下表にしました。

羽毛布団の種類と快適使用温度帯

肌掛け
合い掛け
羽毛布団
室温
23℃~
15℃~23℃
~18℃

合い掛け羽毛布団の下限と上限温度は羽毛の量と品質(ダウンパワー・種類)により多少前後いたします。

3種類の羽毛布団の快適使用温度帯が違うため、各羽毛布団の保温力も違いがあります。羽毛布団の保温力の違いは、ダウン品質・充填量とキルト方式の違いに関係しています。

寒くなっていく季節と暖かくなっていく季節により、掛けふとんを交換する室温の違いについて説明を致します。

以前店主が、春秋用の合い掛け羽毛布団の保温力を試す実験した結果では室温15℃から21℃が快適使用温度でした。

お客様との情報交換においては、寝室の室温が23℃、20℃、15℃あたりで、肌布団、合い掛けふとん、羽毛布団を入れ替える方が多くいます。掛けふとんが同じでも、敷きふとん・敷きパッド・パジャマが冬向きか夏向きかにより寝床内の温度は変わります。

そのため快適な羽毛布団を選ぶ際は室温だけでなく敷き寝具と補助寝具も合わせて考慮してください。また、床に敷き布団を敷いて寝る場合は室温だけでなく床素材の熱伝導率も寝具の保温性に関係します。

カバーにも夏向きと冬向きの特徴を持った製品がございます。ふとんカバーについては、羽毛布団カバーの選び方のページも参考にして下さい。

季節の変わり目に羽毛布団を交換される際には、並行して使用する期間が10日程度あってもよいと思います。冬用の掛けふとんは、いつからいつまでと区切らずに、合い掛けを使用するようになっても足下に置いておくと寒くなった時に便利です。

快適な寝具の選び方は、寝室の室温と湿度など環境に応じて、掛け寝具、敷き寝具、パジャマなどをうまく組み合わせ、暑がり寒がり年齢など個人の特性を考慮して選ばれることをお勧めします。

冬用羽毛布団はいつからいつまで

合い掛け羽毛布団では寒く感じられたら冬用の羽毛布団と入れ替えがはじまります。

個人差、地域により違いがあるため何月からとは厳密に断定はできません。季節は秋で11月が始まりのように感じています。

寒く感じるのは外気温ではなく寝室の室温です。敷き布団、パッドとかパジャマの保温力の違いはありますが、寝室の室温が15℃を切ると間違いなく冬用の羽毛布団の出番です。(寝具環境以外にも個人差があります。)

合い掛けふとんを使用していない場合は室温が20℃前後から冬用に入れ替える方もいます。羽毛布団の品質により温度に違いがあります。

冬用の羽毛布団が暑く感じられたら合い掛けふとんにバトンを渡します。いつからいつまでというように何月からとは断定はできません。ただ、冬用の羽毛布団を使い始めるタイミングより合い掛けに交換するタイミングのほうが幅があるように感じられます。暑く感じるより寒く感じる方が布団交換の決断に強く影響を与えているためです。

また、合い掛けふとんの存在を知らない方も多いようです。冬用の羽毛布団からダウンケットなどの肌掛けふとんに交換される方もいます。

季節に応じた羽毛布団の選び方

季節に応じた羽毛掛け布団は、冬、秋春、夏用に大きく3分類できます。

寝室の温度と湿度に応じて、寒い冬は羽毛布団で暖かく、秋と春の温度変化の激しい端境期には羽毛合い掛けふとんで、梅雨時期から冷房が必要な時は羽毛肌掛けふとんで快適にお休み下さい。

冬用羽毛布団を選ぶポイント

冬用羽毛布団を選ぶポイントは、第一に保温力、第二に温度調節機能、第三に重さを考慮して選んで下さい。

冬用の羽毛布団は、室温の最低値が15℃、10℃、5℃を境にして保温力が異なるタイプを選んでください。

保温力を上げるには、ダウンパワーの高いグースとかマザーグースダウンにするとか、1層キルトならハイマチキルトにするとか2層・3層キルトを選んでください。ダウンパワーが低い場合は羽毛の量を増やしたタイプの羽毛布団がおすすめです。

羽毛布団をネット販売している関係で、全国各地のお客様との情報交換においては室温が5℃以下の場合も珍しくなく、北海道の方の情報では0℃以下の日もあるとのことでした。

真冬のご自分の寝室の最低温度を知る方法は、気象庁の気温データでご自分の地域の1月か2月の最低気温を入手して、その最低気温に5℃程度プラスしてください。最新の高断熱住宅の場合は、外気温に7℃~8℃プラスした温度がおおよその最低温度です。

冬用の羽毛布団はこちらの羽毛布団の選び方のページをご覧下さい。

秋春合い掛け羽毛布団を選ぶポイント

合い掛け羽毛布団を使用する秋春の季節は温度変化が激しく15℃から23℃と幅広い温度帯を快適に保つ品質が必要です。

そのため、合い掛け羽毛布団をを選ぶポイントは、この温度変化に対応できるだけの保温力と温度調節機能に優れた上質羽毛と蒸れ感を軽減する吸湿性に優れた側生地、さらにフィット性に優れたキルトです。

合い掛け羽毛布団の羽毛はダックダウンよりグースダウンでダウンパワー400dp以上をおすすめします。出来れば温度調節機能に優れたマザーグースダウン440dpでシングルなら700g程度が理想です。

羽毛充填量はシングルで700gを基準にして、下限温度を下げたい場合は増量して上限温度を上げたければ減量してください。快適温度帯は羽毛量に連動しているため、快適温度帯を広げるには上質の羽毛を選んでください。

合い掛け羽毛布団の側生地は、室温が20℃以上での仕様になることから蒸れ感が出やすくなるため吸湿性に優れた綿素材がおすすめです。フィット性と通気性を考慮すると超長綿で80番手以上の側生地がおすすめです。

キルトは、フィット性に優れたマス目の多い1層立体キルトがおすすめです。例えばシングルなら30マス位がフィット性にも優れ価格もリーズナブルでおすすめです。

合い掛け羽毛布団は、通年で3ヶ月から4ヶ月使用期間がありますが認知度が低いように感じられます。

詳しくはこちらの合い掛け羽毛布団のページをご覧ください。

マザーグース合い掛け羽毛布団

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肌布団ダウンケットを選ぶポイント

肌掛け羽毛布団は最低室温が23℃ぐらいから使い始めるため保温力はあまり必要ではありません。寝冷えをしない程度の保温力とエアコンの冷え対策が主な役割です。

そのため肌掛け羽毛布団を選ぶポイントは、蒸し暑い夏に使用するため臭いの原因となる未成熟ダウンは避けるためダウン率の低いダックダウンを避けて、吸湿性に優れた綿の側生地です。

おすすめダウンはダック・グース共にダウンパワーは360dp以上が望ましく、羽毛量は寒がりの方はシングルでは400g程度がおすすめです。

夏の季節は、梅雨前後と真夏に分けて寝具も2タイプ用意された方が理想です。

梅雨前後には季節外れの寒さがあり、ダウンケットなどの肌ふとんもある程度の保温力が必要です。快適使用室温は個人差はありますが24度ぐらいまでです。

真夏にはエアコンの冷え対策用としてダウンケットは、保温力よりも湿度が高いため吸湿性に優れたものをお選び下さい。

夏のエアコンの室温の設定温度は27℃~28℃前後が多いと思いますが、床とベッドでは室温が異なります。

また、夏用の寝具は室温だけでなく吸湿性とか熱伝導率も寝心地と関係があるため側生地素材選びには注意してください。出来ればポリエステルの側生地は蒸れやすいため避けてください。おすすめは吸湿性に優れた綿の側生地がおすすめです。

しかし、夏に使用するため家庭での洗濯を出来るタイプとなると側生地はポリエステルになります。

詳しくはこちらの夏用羽毛布団の選び方のページをご覧ください。

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ベッドと床寝での温度差

ベッドは床面から概ね30cm~40cm程度高い位置なので床面より僅かに温度は高くなります。下の画像は床面温度と床から36cm高い位置の温度差(0.4℃)を表しています。部屋の広さと気密性さらに就寝人数により温度差は異なります。

二つの温度計の表示誤差を確認するため、床面に並べて置き同じ温度を表示することを確かめました。

床面温度とベッドの高さで室温が異なることを表した二つの温度計、温度差は0.4℃

室温を羽毛布団選びの指標にする際は、ベッドなのか床に直敷きなのか寝ている位置による室温の差も考慮に入れてください。

ベッドと床直敷きでの放熱量の違い

ベッドと床に直に布団を敷くのとでは敷き寝具から奪われる熱量に差があります。当然寝床内温度に差ができ掛け布団に求められる保温力にも違いがでます。

熱の伝わり方を表す熱伝導率は素材毎に異なり最も伝わりにくいのが空気です。

ベッドで寝ている場合は、床との間には空気層があるため寝床内の熱はベッドのマットレスを経由して空気に伝わります。しかし床直敷の場合はマットレスを経由して床に熱を直に伝わります。

床の素材が畳とか板・フローリングでは熱伝導率が異なりますが、床の素材は空気とは比べものにならないほど熱伝導率は高いため敷き寝具の熱は素早く奪われます。

そのため床に直敷の場合は、敷き寝具の断熱・保温力を高めると共に羽毛掛け布団の保温力もベッドより心持ち高いものを選んでください。

寝具の熱伝導率に付いては下記ページをご覧ください。

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