羽毛のランクを見分ける

羽毛布団のランクは、基本的に中身の羽毛のランクに比例します。しかし消費者の方にとって、羽毛の品質の違いを、品質表示票、添付ラベルの数値や業界用語で理解することはいささか骨が折れます。そこで羽毛の品質を見分ける基本的な方法を項目毎に説明しながら、消費者の方が見逃しがちな情報(注意点)についても案内いたします。

業界用語は、この様に緑枠で囲み、タッチ・クリック頂くと説明窓が表示されます。その説明窓にも見逃しがちな注意点を記載しています。まずは上記の緑枠をタッチ・クリックして下さい。

羽毛とは

ダウンとフェザー

羽毛は、食肉用に飼育された2種類の水鳥から採取したダウンとフェザーの混合物です。ダウン(ダウンボール)とフェザーを総称してダウンとか羽毛と呼ぶ場合もあります。羽毛の品質は、幾つかの項目でランク分けが出来ます。基本的なランク分けの方法と共に、見逃しがちな項目をご案内します。

羽毛の鳥の種類

羽毛の鳥の種類はグースとダックです。おすすめはダウンボールが大きいグースです。ダウンボールが大きければ、少量でも保温力のある軽い羽毛布団に仕上がります。

また温度調整機能もダックよりグースが優れています。グースの中でも産卵用に飼育されているマザーグースが上質です。

羽毛の品質ランクは、ダック、グース、マザーグースの順に高品質になります。

グースとダックはダウンボールの構造が違います。グースとダックの羽毛品質の差は、原毛羽毛の価格差にも現れています。グースとダックを比べると、ダウンボールの大きさ、構造(羽枝の密度と太さ)の違いにより、グースダウンが保温力と温度調整機能に優れています。

紛らわしい言葉にマザーダウンがあります。マザーグースのことではありません。間違えないようにご注意ください。

羽毛の品質基準ダウン率

羽毛はダウンとフェザーの混合物です。この混合率のことをダウン率と言います。品質表示票に記載されています。例えばダウン率93%ならダウンが93%でフェザーが7%です。この数値が高いほうが良い羽毛です。この比率が50%未満の物は羽根布団であり、全く似て非なるものです。

ただし、ダウン率にはダウンボールが割れた羽枝とか、未熟ダウンも含まれるため1つの目安程度にお考え下さい。偽装表示の話も珍しくありません。信頼できるメーカー(例えば、西川や山甚物産など)の製品で、最低でもダウン率90%以上、できれば93%以上の物が勧めです。

羽毛の品質基準ダウンパワー値

ダウンパワー値は、羽毛品質を数値化した値です。布団の中の環境に近い条件下でのダウン1gが占める体積のことを言います。

羽毛布団のダウンパワー値ラベル

羽毛布団の品質表示票を補うために、写真の様なダウンパワー値を示すラベルが添付されています。メーカーによりデザインは多少異なります。写真のラベルは京都西川の430dpを現すものです。ダウンパワー以外のラベルも付いています。

ダウンパワー値と暖かさの関係は、値が大きくなるほど保温力が増し、温度調節機能もよくなります。この数値が大きいほど品質がよくなり、価格は高くなります。ダウンパワー値は、羽毛布団の選び方において重要な基準値となっています。

日本羽毛製品協同組合のラベル

日本羽毛製品協同組合の羽毛布団添付ラベル

日本羽毛製品協同組合(日羽協)に加盟しているメーカーの製品では、組合が発効するプレミアムゴールド/ロイヤルゴールド/エクセルゴールド/ニューゴールドの4種類のラベルでダウンパワー値が解ります。ラベルは写真の右から左に向かって品質が良くなり価格も高くなります。このラベルは西川の羽毛布団には付いていません。

プレミアムゴールドラベル裏面

山甚物産(株)の羽毛布団のプレミアムゴールドラベルの裏面です。ダウンパワー値440dp、日本羽毛製品協同組合の記載があります。No P-13195の下に(株)北陸ヤマジンと書かれているので、羽毛を充填した工場が解ります。充填工場はグループ会社以外にも、外注先の会社の場合もあります。

ダウンパワーのイメージ

かさ高のイメージ

400dpと440dpの違いは40dpの差です。この40dpの差を羽毛布団での違いに置き換えると、計算上は1.5cmの厚みの違いになります。詳しくは、ダウンパワーと1.5cmの計算式にて説明しています。

しかし羽毛布団の厚み、ボリュームとダウンパワー値は無関係ではありませんが、40dpの差は内部構造や側生地の厚さ(重さ)の違いにより、布団の厚みとしてストレートに現れることはありません。

ダウンパワーの差は保温力、温度調節機能、耐久性、寝心地感の違いとして現れます。もちろん価格も違ってきます。

※上記の写真は、ダウンパワーのイメージです。保温力の点から見ると羽毛の充填量が同量ならイメージに近い状態になります。もっとも価格は画像以上に違いが出ます。

※同じダウンパワー値であるグースとダックの羽毛布団なら、ダウンボールの構造の違いから当店ではグースダウンの方をお勧めします。

余談ですが、440dpのダウン1gを500mlのペットボトルに入れると、加重されていないため満杯状態になります。キャップをしないとあふれ出てしまいます。

フィルパワー値

アパレル業界では羽毛品質をフィルパワー値で現していますが、測定方法が異なるため混同しないようにして下さい。詳細はこちらのフィルパワーで説明します。

羽毛の充填量

ダウンの充填量は、品質表示票に記載されています。ダウン率とダウンパワー値が高ければ充填量は少なく、低い場合は増量して保温力を確保します。

増量すると重くなり、温度調節機能は低下します。また、極端に増量すると張りすぎてしまい、体に添いにくくなるため暖かくありません。ただし、上質ダウンで100g程度の増量なら、保温力と耐久性はアップします。

ダウン率とダウンパワーの数値により充填量は決まります。例えば、ダウン率93%で400dpであれば充填量は、シングルでは1.2kg~1.3kg、ダブルでは1.6kg~1.7kgとなります。ダウン率とダウンパワー値が高ければ、シングルの充填量は1.0kg~1.1kgで十分です。

低価格の羽毛布団では、粗悪ダウンを品質表示票の数値以上に入れることもある様です。また、パワーアップ加工をしたダウンを充填する、といった話もあります。

羽毛の産地

羽毛の産地としては、ポーランド/ハンガリー/ドイツ/フランス/シベリア/カナダ(順不同)などが高く評価されています。これらの地方の冬は極寒であり、鳥自身も生き抜くために、格段に保温力のある羽毛を必要としています。そのため評価が高くなっています。ただし、日本に輸入されている羽毛の約90%はアジア産です。ポーランド産は1~2%程度、ハンガリー産は5~6%程度です。

産地偽装の話は珍しくありません。ダウンの産地証明と流通経路の履歴が追跡可能な、トレーサビリティ管理が徹底したダウンを入れた羽毛布団がお勧めです。

羽毛の色

ダウンには、鳥の色の違いによりホワイト、シルバーなどの違いがあります。羽毛布団の側生地の色が淡い場合、シルバー系は透けて見えることがありますが、他の条件が同じであれば暖かさに差はありません。カバーを掛けるため問題はないと思います。

耐久性においては、シルバー系が僅かながら良いとも言われています。ただしホワイトグースとシルバーグースでは、同じランクの場合、ホワイトグースの製品が少し価格は高くなります。暖かさは同じです。ダウンの色はそれほど重要ではありません。

羽毛の洗浄度

品質管理の良いメーカーでは、選別や洗浄、殺菌面で高水準の処理をしています。この処理は、羽毛の品質を左右する大切な工程です。

日本の業界基準では、ダウンを洗った水の透明度が500mmになるまで、洗浄を行う事になっています。高級品には、業界基準値の2倍である1000mmまで洗浄したものを通常使用します。

1000mm洗浄を行うことで、よりクリーンになり保温力と温度調節機能がアップします。しかしこのレベルまで洗浄しても、羽毛固有の臭いは極僅かに残ります。特に梅雨の時期になると、臭いが僅かにでることがあります。

ダウンの洗浄回数を商品説明に記載しているサイトも見かけましたが、回数は問題ではありません。逆に回数が多いことは、それだけ汚れていることの証拠では・・・?

羽毛の臭いと洗浄度

羽毛の臭いは、ダウンの核に含まれている油脂分によるものなので、完全に除去することはできません。この油脂分を取りすぎると、ダウンボールが髪の毛の枝毛のように割れやすくなります。

臭いに特に敏感な人、あるいは調香師のように臭覚が優れている方は臭いを感じるかもしれませんが、通常は気になるほどのレベルではありません。

羽毛の洗浄度は、保温力と軽さ、温度調整機能に関係しているため、ダウン品質において注視すべきポイントです。

鳥の獣臭

鳥特有の獣臭がする羽毛布団は、ダウンボールの核に含まれている油脂分が関係しています。この臭いの成分である油脂分は、未成熟ダウンに多く含まれています。

現状では、食肉用として短期間に育てられたダックから採取された、未成熟ダックダウンに臭いの問題が多いようです。特にアジア産ダックに臭いの問題は多いように思われます。

ネット通販で羽毛布団を選ぶ際には、臭いを嗅ぐことは出来ませんが、グースを選ぶことでリスクは小さくなります。臭いに関しては、羽毛布団の臭い原因と対策をご覧下さい。

鳥種混合率の許容値

鳥種混合率とは、グースダウンとの表示において、ダックダウンが混入している比率のことを言います。本来あってはならないことですが、製造工程で誤って混入する場合も含め、混合が許される値です。

日羽協の鳥種混合率の許容値

日羽協の鳥種混合率の許容値は10%以下です。西川3社の基準はレギュラーグースで7%以下、マザーグースの場合は1%以下と厳しいものです。安心なのは、やはり有名メーカーの羽毛布団です。

ドイツなどEUの許容値は何と30%以下!30%は誤って混入する値とは思えません。海外製の羽毛布団は、臭いの問題も多く、ダウンの品質基準に幅があるようです。

ダウンパワーと絡むダウンボール

絡むダウンボールは、スティッキーダウン、あるいはリンケージダウンとも呼ばれています。一粒々々が絡み合うことで、ダウンボール間の隙間がふさがり熱を逃がしにくいという特徴があります。また、絡むことでダウンが生地から吹き出しにくくなるため、通気性を優先するノンダンプ生地の羽毛布団に使用される場合もあります。通気性については生地編で説明致します。

ただ絡む特性のためにかさ高がでにくく、ダウンパワー値の表示をしていない場合があります。その代表がアイダーダックです。また絡み具合にも強弱があります。

ダウンパスについて

ダウンパスの表示をした羽毛布団を見かけます。動物愛護の精神に基づき作成された基準であり、飼育方法やダウンの採取方法において、動物に苦痛を与えないための方法を定めたものです。当店の知りうる限り、レギュラーグースダウンにおいては飼育方法、採取方法の両方の基準に適合していると思います。マザーグースダウンは各国の独自の法律に従い飼育、採取されています。

店主の一言

ダウンの品質は、寝具店でも品質表示票と添付ラベルの情報を頼りに五感をフルに使い推測しています。重要な項目はメーカー名です。羽毛の品質を知っているのは羽毛を入れたメーカーです。お勧めは、何と言っても信頼できるメーカーのマザーグースの羽毛布団です。

お勧めはマザーグースですが、ご予算に制限がある場合は信頼出来るメーカーのグースダウンが安心です。ダウン率93%、ダウンパワー400dp以上で、シングルなら1.2kg-1.3kg程度の充填量なら合格点をつけられます。ただし信頼できるメーカー製であることが大前提です。

マザーグースとレギュラーグースダウンの差?羽毛の品質差は温度調整対応域とも関係します。仮にマザーグースであれば、室温が0℃から20℃の変化に対応して、寝床内温度を一定に保つとします。レギュラーグースの場合では、3℃から20℃の域しか対応できないと考えれば羽毛品質の一面がご理解頂けると思います。3℃を0℃にするために100g程度を増量するケースもあります。ただし増量すると20℃が19℃に下がります。温度の数値に関しては説明のために仮に設定した数値です。マザーグースとレギュラーグースの違いは、耐久性の差もございます。

羽毛布団の品質は、ダウンと生地と内部構造が互いに協調した成果となって生まれます。項目が一つでも悪ければ、例えば、桶の中に水を入れた時、短い板(悪い項目)の分までしか水が溜まらないという「桶の理論」と同じで、羽毛布団の全体としての品質が低下します。

読みづらい文章を最後までお読み頂き感謝致します。寝心地は、ダウン品質だけでなく、生地や内部構造の違いも関係します。下記リンクページも参考にして下さい。

視点別の羽毛布団の選び方

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