これまで羽毛布団の業界においては、『偽装問題』は枚挙にいとまがない状態でした。産地、ダウン率、かさ高値、鳥種混合率などの偽装問題は多くありました。

その中でも記憶に新しいのが、2016年5月に朝日新聞社が取り上げた羽毛の産地偽装問題です。

J-TASラベルの役割

羽毛の産地偽装問題を解決する目的と、消費者の方に安心してもらうために開発されたのがJ-TASラベルです。

なぜJ-TASラベルが必要かと言えば、やはり羽毛の偽装がなくならないからでしょう。

J-TASとは、日本寝具寝装品協会が日本羽毛製品共同組合と共同開発した羽毛のトレーサビリティ監査システムのことです。J-TASラベルが縫い付けられた羽毛製品は羽毛の産地から製品まで追跡調査が出来ます。

J-TASラベルのトレーサビリティ

j-tasラベル

J-TASラベルは写真の様なものです。ラベルには、(一財) 日本繊維製品品質技術センターQTECと世界的な羽毛の試験監査機関IDFLが認定した会社の名前と2つのシリアルナンバーが記載されてます。

J-TASラベルの写真の赤枠に認定社名の記載欄が有り、次の行に第一のシリアル番号が記載されます。

第一のシリアル番号には、原料のロット番号毎の産地国、精毛会社、鳥種などを英数にて記載します。国名(2文字)、企業名(2文字)、鳥種(2文字)、管理番号(8桁数字)の14桁です。

国名はインターネットの国名コードのように、中国CN:ポーランドPL:ハンガリーHU:ドイツDE:カナダCAで表されます。鳥種はホワイトグースならWGとなります。

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第二のシリアルナンバーは、数字14桁で記載され内容は次の通りです。在庫区分(2桁)、企業名(4桁)、原料商社入荷年度(2桁)、管理番号(6桁)です。

シリアルナンバーとは、平易な言葉にするなら『連続する単一の整数』ふたつと無い連続する整数です。シリアルナンバーであれば偽装を防止する効果があります。

J-TASのトレーサビリティと偽装防止

J-TASのトレーサビリティによる産地偽装防止効果は大きいと言えます。信頼の置ける機関から認定を受けたメーカーであることと、ダウンの流通過程が検査されることでより安心できる羽毛布団と言うことです。

まだ始まったばかりのJ-TASシステムであり、一部の製品に添付されている状態です。2020年に認定を受けたメーカーがあり毎年更新する必要があります。今後、認定羽毛布団メーカーが増えJ-TASラベルの普及が期待されます。

筆者:野口 英輝

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