羽毛布団の偽装が起こる背景:品質表示の裏側

羽毛布団の品質表示に偽装が起こる背景は、単一の要因ではなく、複雑な流通と経済の連鎖にあります。ここでは、その代表的な要因を整理します。

消費者心理と市場の競争

消費者の皆様が「少しでも良いものを、できるだけ安く手に入れたい」と考えるのは、ごく自然な心理です。この需要は市場全体の健全な競争を促す一方で、価格重視の販売構造を生みやすい一因ともなっています。

流通構造による責任の分散

「安く売りたい販売店」は「安く作りたいメーカー」に発注し、さらにメーカーは「低価格の羽毛を求める国際的な商社」から原料を仕入れることがあります。こうした多層的な流通構造の中で、品質管理の不透明さが生じやすくなります。

責任回避の構図

羽毛布団の品質偽装問題は、販売店は羽毛品質に疑問を持っても「製造責任はメーカーにある」と考え、メーカーもまた「商社の羽毛品質証明書がある」として責任を回避する、といった構図が発生してしまうことがあります。結果的に、消費者には羽毛布団の品質が本当に正しいのか判断できない状況を生んでしまいます。

専門家としての立場

私たちは、このような業界の現実を深く理解しています。だからこそ、お客様が複雑な情報に惑わされず、本当に安心して暖かく過ごせる羽毛布団を選べるよう、専門家としての知識と経験をもってサポートいたします。

羽毛布団の品質表示は一見わかりやすそうに見えますが、実際には消費者に理解づらい部分が多くあります。その不透明さが、偽装問題を引き起こす土壌となっています。

実際に過去にも新聞で大きく報じられました。2016年5月7日付の朝日新聞一面では「羽毛布団 産地偽装か」という見出しで、フランス産と表示された羽毛の多くが異なる産地だった可能性が示されました。私の記憶では、その前年までに日羽協を退会(除名?)したメーカーがあります。当然ですが退会後は日羽協のゴールルドラベルは使えません。

朝日新聞記事の詳細を読む(←ここをクリック) 朝日新聞の羽毛産地偽装の記事

朝日新聞の報じた羽毛産地偽装

『フランス産羽毛は過半数が偽装か』との記事タイトルで始まっていました。

内容は日羽協による試買テストの結果、品質表示と中身が異なっていたため、日本羽毛製品協同組合(日羽協)が2014年5月に偽装の問題を加盟組合員(羽毛布団メーカー)に対して「適切な産地表示の徹底について」との文章を送付したが改善しないため、2015年1月にも「フランス産ダウンが「50%以上は偽装・・・」またハンガリー産ダウン等も「産地の信憑性に欠ける。・・・」との警告文を送っていたとの事です。

2014年と2015年の2回の文書送付は、日羽協は羽毛の産地を偽装した羽毛布団の存在を確認していたことになります。

手口は、以前から聞いているやり方でフランス産ダウンに安価に中国産ダウンを混入する方法です。

グースかダックダウンなのかは顕微鏡で見れば解りますが、産地までは解らないと思っていましたが、日羽協はダウンの産地を調べる方法を知っていたことがこの記事から解りました。

羽毛の産地分析調査方法

鳥が呼吸、採餌などの生命活動で体に取り込まれた5元素の安定同位体を分析し、どの地域の水や食物を取り込んだか調べることで、羽毛の産地を特定する方法だそうです。

朝日新聞は2015年から2016年にかけてフランス産ダウンと表示の羽毛布団を3点、ポーランド産、デンマーク産などと表示の羽毛布団3点との合計6点を購入して、それぞれから取り出した羽毛の産地分析調査を検査会社「ユーロフィン」に依頼した結果を掲載しています。

ユーロフィンの分析担当者の弁として「5点の羽毛のうち4点は中国産の可能性」他の1点は「フランス産と他の外国産が混ざっている可能性」とのことです。

可能性の問題ですが、刑事訴訟における原則である「疑わしきは罰せず」で終わらさないようにしなければ、消費者はたまったものではありません。

羽毛の産地偽装の取材の契機

羽毛の産地偽装は寝具業界では以前よりささやかれていました。しかし実際に羽毛を取り出しても産地まで解るものではありません。

なぜ取材を始めたのだろうか?数ある羽毛布団の中から検査する試料を取る羽毛布団6点をどのようにして選んだのだろうか?ユーロフィンの存在をなぜ知っていたのか?という疑問が残りました。

筆者の推測

ここからは筆者の推測ですが、「羽毛の産地偽装の取材の契機は日羽協からのリーク?」これなら上記の疑問もスンナリ解消します。2016年の朝日新聞の記事情報と筆者の感想です。

このように、羽毛布団の品質表示をめぐる問題は過去から存在してきました。そして近年、さらに巧妙で消費者が気づきにくい新たな偽装手口が現れています。

羽毛布団の偽装の新たな手口?

ここ最近、羽毛布団業界で密かに囁かれている「羽毛偽装?」の情報をご紹介します。

2024年後半に見られた偽装の手口

ハンガリー産ダック85%の品質で超激安価格だけでも、ダウンが高騰する中では信じられない条件です。この段階で偽装臭がプンプン臭います。ところがこの羽毛布団は『無臭』なのです(調香師なら臭うかも?)。

メーカーの羽毛の仕入れ担当者が信じられない価格と言うことは、「ハンガリー産ダック85%」ではない可能性が大きく、さらに「無臭」となれば偽装臭が臭ってきます。

メーカーの担当者によると、商品説明に「洗浄を・・・、無臭である」との事でした。ダック85%の品質では、いくら洗っても臭いの原因である油脂分は無臭になるまで完全には取り除くことは出来ません。

この価格を実現するにはバージンダウンではなく安価なリサイクルダウンを入れたのではないのか?それなら「無臭」であることも理解できると、メーカーの担当者はつぶやいていました。

リサイクルダウンは産地表示が出来ない決まりと認識しています。このことは羽毛偽装の新たな手口のように思います。2015年ごろにあった偽装と同様に安価なダウンを使用した偽装です。

2025年に見られた偽装の手口

羽毛の品質だけでは、羽毛布団の価格を抑えることが出来ないため、充填量を品質表示より100g程度少なくする手口です。

この方法は調べるのに時間と手間が必要です。側生地と羽毛を完全に分離して調べる必要があるためです。羽毛布団をカッターナイフ等で切り裂き羽毛を丁寧に採取して測定する必要があり完全に分離は仕切れない壁があります。

更に新品時の羽毛布団の重量に於いても誤差の範囲に含まれる可能性があります。ただし保温力と耐久性に差が出ます。

日羽協のさらなる頑張りを期待

日羽協による更なる業界の指導徹底を期待すると共に、消費者の方々にも極端に安いものには手を出さない、購入前に羽毛布団の知識を集めるなどの自己防衛もお願いするしか手は無いと思います。もちろん販売店もフィルターとしての役割を再認識して勤めなければと感じました。

ただし、今回ご紹介した羽毛布団に、日羽協のゴールドラベルが添付されていたかは確認できておりません。しかし、販売ルートを考慮すると、ゴールドラベルは付いていない可能性が高いと思われます。

最後になりましたが、羽毛布団メーカーは原毛ダウンの価格から偽装を十分に想像出来たのではないか?メーカーの物作りの姿勢と販売店の役割、存在価値の追求が問われています。

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