羽毛布団のかさ高とボリューム

現在のダウンの品質評価基準はダウンパワー値ですが、以前の評価値は「かさ高値18㎝」の様に表示していました。羽毛布団の厚さのことをかさ高と言っていますが、この羽毛の評価値「かさ高値18㎝」はふとんの「厚み」ではありません。

立体羽毛布団の「厚み」

羽毛布団の立体キルト

一般的な羽毛布団の内部はいくつかのブロックに仕切られています。このブロックの境目はどのような構造になっているかと言えば、表生地と裏生地はマチと言う生地で留めています。この生地により羽毛布団はある程度の厚みで平均化されています。布団はブロックの中央部は厚くブロックの境目部分では薄くなります。

羽毛布団の厚みは内部構造とダウン充填量

羽毛布団のかさ高は、マチ幅とダウン充填量により厚くも薄くもできます。かさ高はマチ幅を広くすることである程度までは厚くできます。マチ幅を広くするには羽毛のマス目間の移動を防ぐ仕切り弁のようなものが必要になります。羽毛量を増やすことでもボリュームをアップさせることができます。逆にマチ幅を狭くして羽毛量を冬用の羽毛布団よりボリュームを少なくしたものが合い掛け布団です。

同じ構造で充填量が同じ場合は、ダウン品質が異なる場合は上質のダウンの方がボリュームが出ます。パワー不足のダウンを入れる場合は量で補うようになります。

羽毛のパワーとかさ高値

かさ高性

羽毛のパワーの違いを表す指標として、「かさ高値」が2013年前半ぐらいまで使用されていました。布団の厚さと勘違いしやすいことと海外の指標と異なることもあり現在は使われなくなりました。

かさ高値は、気温20度、湿度65%で、ドライヤー法で前処理をした30グラムの羽毛を内径29センチ、高さ50センチの円筒に自然落下させて120グラムの円盤をのせて加重、2分後の底から円盤までの高さです。2013年以降はダウンパワー値のラベルになっていきました。

羽毛量と布団の厚さ

廉価版の羽毛布団にみかけますが、ダウン量を増やしてかさ高を出しています。しかし過度に多く充填するとボリュームがでて暖かそうに見えますが、張り感が強くなり体と布団の間に隙間ができ暖かくありません。

温度調節機能と布団の厚さ

羽毛布団は軽くて暖かいというイメージだと思いますが、軽さだけでなく温度調節機能もございます。この機能はダウンを多く詰め過ぎると低下します。

羽毛布団のボリュームと温度変化

羽毛布団の厚みは1日の間にボリュームに変化があることをご存じでしょうか?温度により変化しているのです。厳密には湿度も関係しています。厚さボリュームは、基本的には中味のダウンの品質と量、内部構造側生地の重さ(厚み)に関係しています。

羽毛布団の厚さは温度の変化に連動しています。温度に比例して暖かくなると厚みも増しています。温度が下がると厚さは薄くなります。

羽毛布団の厚さとダウンボール

1日の間に羽毛布団の厚さは変化しています。厚みが変わる原因は一粒一粒のダウンボールの大きさが温度により変化するためです。この変化がダウンの温度調節機能になっています。温度が高くなるとダウンボールは羽枝を広げて大きくなり、羽枝をひろげることで内部に蓄えていた熱を放熱しています。逆に温度が下がると羽枝を閉じて熱を蓄えます。羽枝を閉じるとダウンボールは小さくなります。一粒一粒のダウンボールが小さくなり、羽毛布団全体のボリューム厚みは薄くなるわけです。

羽毛布団の厚さと側生地の関係

側生地を薄くて軽いものにすれば羽毛布団の厚さは増します。側生地を薄くするためには、生地を織る糸の太さを細くすればよいわけです。人気の超長綿の生地においても糸を細くすることで薄くなります。綿以外では廉価版に多く使われているポリエステル系の生地もあり綿より軽く布団の厚みは増します。

羽毛布団の厚さと湿度

湿度が高くなると生地とダウンが吸湿するので。生地とダウンも重くなり羽毛布団の全体の厚みは薄くなります。湿度が上がると吸湿性のある生地は湿気を吸い重くなります。結果としてボリュームは減ります。特に太い糸で織られた生地ほど吸湿量が多くなるため重くなります。吸湿性の低いポリエステル系の生地においては湿気の影響は少ないです。ただダウンの吸湿量は同じなのでふとんの厚みは薄くなります。

羽毛布団のボリューム復元方法

羽毛布団をふかふかにするには、湿気を取ってやればよいわけです。風通りのよい日陰かエアコンで、除湿することでボリュームは回復致します。 湿気を取る方法としては、ふとん乾燥機という方法もありますができるだけ低温で風を送って下さい。干してもボリュームが復元しない場合は、中味のダウンボールがダメージを受けているか汚れている可能性があります。クリーニングが必要かもしれません。ダウンボールが破損している場合は、リフォームも可能ですが費用対効果の点から新品に買い替えをお勧めします。

羽毛布団を収納する前には、必ず十分に乾燥除湿をして収納保管して下さい。湿気たまま収納するとカビの原因になります。また、収納する際にふとん圧縮袋の使用はあまりお勧めできません。使用される場合は十分な弾力性がある状態までの圧縮にとどめて下さい。強く圧縮するとダウンが破損してボリュームがでなくなります。長期間にわたり圧縮袋に入れた状態での保管は、側生地とダウンのダメージを与えてしまいます。長期間の収納は購入時に納められていたケースを利用して下さい。

羽毛布団の厚さまとめ

羽毛布団のかさ高は保温力とある程度の関係があります。厚ければ暖かいというものではありませんがやはりある程度の厚みは必要です。しかし、実際の商品においては、ダウンの品質は異なり、側生地の品質も異なります。またキルト構造も異なるため、羽毛布団を選ぶには色々なチェックが必要になります。

ご使用中の羽毛布団のかさ高がなくなったらダウンの汚れと破損が考えられます。使用期間にもよりますが、5年から6年ならクリーニングにだされるのも解決方法です。10年までならリフォームにだすのも良いかもしれません。ただしダウンのかさ高値が低いものはお勧めできません。

使用期間が10年以上経過して布団の厚さがなくなってきた場合、クリーニングをしていない場合はダウンの汚れが原因かもしれません。クリーニングに出しても厚みが回復しない場合は寿命かもしれません。