羽毛布団生地の通気度と蒸れ感

羽毛布団の側生地の通気度(通気性)についてご案内いたします。生地の通気性を高くするにはガーゼの様に織り目を粗くする方法が考えられます。

しかし、羽毛布団の側生地においてはダウンが吹き出すことになります。羽毛布団の生地は通常はダウンプルーフ加工がされているが一般的です。

通気性を上げる方法としては、織り方をサテンではなく平織りにする方法もございますが、風合いの問題とダウンの吹き出しの問題が発生します。

より現実的な方法としては、糸番手を細くした超長綿にダウンプルーフ加工をした通気度の高い生地を使うことで蒸れ感を軽減する方法が考えられます。

ノンダウンプルーフ生地と通気度

ダウンプルーフ加工は、織り目の目つぶしするラミネート加工のことです。当然通気度は下がります。そこでこの加工をしないノンダンプ生地を使うこともございます。

ただし高密度で織る必要があるので生地が重くなってしまいます。またダウンの吹き出しのことを考えると、ダウンボール同士が絡む特性を持ったスティッキーダウンと組合わせが必要になります。

スティッキーダウンとしてはアイダーダウンが有名ですが、通常のダウンでは保温力のあるスティッキーダウンを使用することになり価格は高くなります。

ノンダウンプルーフ生地では通気度は高いですが、重さの点とか使用するダウンのコスト的なことを考えるとあまりお勧めはできません。

羽毛布団生地の通気度と染色

羽毛布団の通気度を下げるものに染色があります。淡い1色程度であれば通気度に影響はありませんが、何回か色を重ねる染色をする場合はダウンプルーフと同様に通気度は下がります。ただし余程ゴテゴテの染色をしない限り極端に通気性は下がりません。

染色をしない生成りが通気度の点では良いのですが、上質の糸を使用しないとネップ等が目立ってしまい現実的とは言えません。

羽毛布団の側生地の通気度

ダウンプルーフ加工をした羽毛布団生地の通気度は、2cc/sec以下が一般的です。糸番手を細くした100単糸サテンあるいは精紡交撚糸のサテン織りにおいても例外ではありません。

通気度をあげられないとするならば、蒸れ感を低くするためにはどのようにするべきか?

羽毛布団の蒸れ感の軽減方法

寝床内の熱と湿度は体から放熱されたものです。この熱と湿度は寝具に伝わっていきます。寝具の吸湿性、通気性が低いと暑く感じたり蒸れ感を感じてしまいます。

温度調節はダウンボールの開閉により調節されます。しかし、湿度は通気性が低いと放湿されずに寝床内にたまってしまいます。

放湿性をよくするためには布団の厚みを薄くすること、通気性の良い素材を用いることによりある程度は解決出来ます。

羽毛布団の蒸れ感を軽減するには、寝室の温度環境と個人の体質に応じたボリュームにすることです。例えば内部構造を1層構造にして、ダウンの充填量を少なくすることで対応する事もできます。

この場合は、真冬の寒さに対応出来なくなるためダウンの品質は下げるべきではありません。羽毛布団の蒸れ感を軽減するため側生地の通気度を上げ上質のダウンにすることは、コストの面で一般的に対応出来ない場合が多いと思います。この課題を解決するため素材の探究とコストの検討はしています。

合掛羽毛布団の活用と蒸れ感

羽毛布団を使っている時に蒸れ感を感じるのは11月までと4月以降です。

寝室の環境とか個人の体質により真冬にも蒸れ感を感じることはあり得ます。真冬に暑く感じる場合は、ダウン量を少なくした別注の布団を作るしか方法はないと思います。

11月までと4月以降に蒸れ感を感じる場合は冬用の羽毛布団ではなく、春秋の合いようにダウン量を少なくした合い掛け羽毛布団の利用をお勧めします。

蒸れ感の少ない羽毛布団

蒸れ感を少なくするには、通気度の比較的高い吸湿性のよい生地を使用することです。

具体的には糸番手の高い100番手少なくとも80番手以上の超長綿の生地がお勧めです。更に出来れば日本製の生地です。

ラミネート加工は一般的に染色工場で熟練した職人技と最新鋭のローラーマシンを使い行われています。生地の通気度を測定しながら微調整をして生地を極限までなめらかに仕上げています。

やはり日本製はこの点において優れていると感じます。

上記の生地を立体1層構造に仕立て、理想はマザーグースをシングルなら1.1kgを目安に充填した羽毛布団が蒸れ感は少ないと考えます。

寝室環境、個人差により羽毛の品質なり量は調整されてはいかがでしょうか。ダウン品質とか詳細は下記サイトをご覧下さい。

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寝具・布団の蒸れ感

寝床内の蒸れ感は、羽毛布団だけに原因があるのではありません。熱と湿気は相関関係にあります。暖かくするにはどうしても湿気は発生してしまいます。

如何に快適にするかは、敷き布団、パッドの通気性、吸湿性にも着目する必要があります。

忘れがちなのはカバーの材質です。いくら羽毛布団の生地を選んだとしてもカバーの生地がポリエステルとか、アレルギー対応の高密度に織られた生地のカバーだと蒸れ感の軽減は期待できません。

綿素材の80番手とか超長綿の生地を選ばれることをお勧めします。

最も注意する必要があるのは、下着とパジャマの素材です。肌に密着しているので吸湿性と放湿性に優れた素材がお勧めです。下着とパジャマの素材を綿100%のものにするとかなり改善する場合がございます。

筆者:野口 英輝

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