羽毛布団のノンダンプ生地とは

蒸れにくい羽毛布団についてお問い合わせを頂くことがございます。羽毛布団の生地は中のダウンが吹き出さないように、生地の裏側にラミネート加工がされているため、通気性が悪くなり春には少しムレ感がでることがあります。このラミネート加工とは、簡単に言うと生地の織り目をつぶすため、生地の裏側に薄いビニールシートを貼り付けたようなものです。そのため通気性が悪くなっています。

ノンダウンプルーフ生地とは

ノンダンプ生地とは、ダウンプルーフ加工をせずにダウンの吹き出しを防ぐことができる生地です。生地の織り目を細かくすることでダウンの吹き出しを防いでいるわけです。具体的には、高密度に織り上げることで織り目を細かくしているわけです。そのためにどうしても生地は重くなります。またゴアゴア感がでてしまいます。しかし洗濯が出来るメリットもございます。

ノンダンプ生地のメリットは、ムレ感が1番と思います。2番目に洗濯が出来ることです。しかし洗濯をすると通気性は一時的に悪くなります。どうしても洗濯をすると繊維が縮むため生地の織り目がつぶれるためです。洗濯後使用していくと通気性は元より高くなりますがダウンの吹き出す可能性も高くなります。

ノンダンプ生地

蒸れを軽減させるために通気性を優先させたノンダンプ生地で羽毛布団を作るのも良いのですが、高密度に織り上げらけた生地は、どうしても重くなってしまいます。重さの問題を解決するためには、極細の糸で織る以外には解決する方法はありません。単糸換算では少なくとも80番手もしくは100番手以上の糸で織る必要があります。そうなるとコストが気になります。1.5倍から2倍は生地コストがアップすることは間違い有りません。

生地の重さを軽くするために、100番手の糸で織ったとしても高密度で織るために、100単糸で織られたダウンプルーフ加工の生地と比べれば、どうしても硬くなってしまいフィット性が悪くなります。当然、糸の密度が高いので生地は重くなります。ノンダンプの生地の羽毛布団のメリットとデメリットを比較すると、現状ではデメリットが大きいように思います。

ノンダンプ生地での羽毛布団の洗濯

羽毛布団を家庭で洗濯をすることは、基本的にお勧めできません。家庭で洗濯をすると乾燥に時間と手間かがかかります。ノンダンプ生地の場合も同様です。ノンダンプ生地は洗濯をすると長所である通気性が極端に低下します。洗濯は出来ますが洗濯をすると羽毛の吹き出しも多くなります。洗濯後のノンダンプ生地は長所の通気性は低下して、短所の重くて硬い生地の特性は残った状態になります。

羽毛布団の長所短所

羽毛布団の良いところは、軽さと暖かさに加えて温度調節機能だといえます。この温度調節機能があるたに秋から春までと長い期間お使い頂けます。そのため使い始めと終わりの頃には少し暑く感じることがございます。この時に蒸れ感が感じられる場合がございます。

この期間は、通気性のあるノンダンプ生地の羽毛布団より、合い掛け寝具を利用された方が快適だと思います。ノンダンプ生地はコストが高くなってしまいます。その割に洗濯をすると通気性は悪くなるので、特に暑がりの方とか蒸れ感が苦手な方は別ですが、費用対効果の面からはお勧めしにくい感はあります。ダウンプルーフ加工と蒸れ感については羽毛布団生地の通気度と蒸れのページをご覧下さい。

アレルギー対策とノンダンプ

アレルギー対策のため布団の洗濯が必要な場合は、中綿がダクロン綿の布団をお勧めいたします。家庭用の洗濯機では容量の点で難しいかもしれませんが、コインランドリーに設置されている大型の洗濯機であれば掛け布団の洗濯も可能です。羽毛布団の場合は乾燥に日数が必要ですが、ダクロン綿の布団は比較的早く乾きます。アレルギー対策には高密度でおられたカバーをお勧めします。カバーなので洗濯機の容量を気にせずに家庭で洗濯ができます。また乾燥も1日で完了いたします。

寝具の洗濯は、洗濯絵表示を確認して洗剤の種類、洗濯方法(ネットの使用、手洗い、洗濯機の強弱)、乾燥機の使用の可否を確認して下さい。化学繊維等を使用したカバーなどは乾燥機が使えません。特にレースを使用したカバーの場合は乾燥機を使うと、レースの部分が縮んでしまいます。また、敷き布団の洗濯は、通常家庭の洗濯機ではできません。風呂桶で洗うこともあまりお勧めできません。水を吸うと重くて移動させることができません。クリーニング業者か大型のコインランドリーでの洗濯をお勧めします。

ノンダンプ羽毛布団の店主の考え

ノンダンプ羽毛布団のメリットとデメリットを比べるとメリットは少ないと考えます。蒸れ感の軽減は合い掛けふとんを使用した方がよいと思います。真冬の寒い時にも蒸れ感が気になるのであれば、羽毛量の少ないタイプかダウンパワー値の低いダウンでよいのではないかと思います。寝床内の熱は、体からの熱と体から出ている湿気(水蒸気)が繊維に付着して水になることで発熱(凝縮熱)の2種類です。そのため、ノンダンプ生地も同様に湿気を熱にするために生地に水分を含みます。蒸れ感が100%解消できるわけではありません。

筆者:野口 英輝

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