羽毛布団を売らんがためのウソ

羽毛布団について色々な問い合わせとか消費者の方との会話の中には、明らかに営業マンのオーバートークと思われるものがあります。気になったものを紹介いたします。

目次

一生使える羽毛布団

羽毛布団は長く使えても20年です。たぶん10年を過ぎるとボリュームが少しずつ無くなってきます。15年を過ぎると側生地も擦り切れて、買い換えを検討される時期になっています。

しかし、セールストークには「この製品は上質の羽毛を使っているので、一生使えるので日割りにすると安い買い物です」とのウソの説明があります。

「一生使える羽毛布団」とは、「お客様の余命は長くとも20年」宜しければお買い上げ下さい。怖い話ではないでしょうか。

羽毛布団の寿命
羽毛布団の寿命

ふとんの寿命は、買い替えを検討されたタイミングかもしれません。使用期間は10年から15年ぐらい...

夏でも涼しい羽毛布団

日本国内で夏に涼しく使える羽毛布団は無いと言っても過言ではありません。たぶんダウンのもつ温度調節機能の事を説明するのに言った言葉が一人歩きしたと思います。

日本の暑い夏に、わざわざ羽毛布団を着る必要は無いと思います。夏に掛けて寝ると涼しいことはありません。エアコンが要らなくなります。ただし、お客様よりお聞きした話ですが、北海道のある地域では、夏も足下に布団を置いておかれる方もいるようです。

個人差、好みもあるため夏に使えないとは言えませんが、おすすめは致しません。

ツインダウン
ツインダウン

合い掛けと肌掛けの2枚のツインダウン羽毛布団はオールシーズン快適かを解説...

2層キルトパターンで20%保温力アップ

「2層構造なので保温力が20%アップしています」明らかにウソだと解ります。それが事実なら、どのメーカーもそのキルトパターンを採用するのではないでしょうか?

ただし、20%も保温力がアップするのであれば、ダウンの量を少なくしないと暑くて汗をかくでしょう。

羽毛を1.5kgに増量して暖か

低品質のダウンのためボリューム感を出すためかもしれませんが、「1.5kgに増量」は決して上質の羽毛ではあり得ません。上質ダウンを少量増やす場合は保温力はアップします。ただしフィット性との兼ね合いもあるのであくまで少量に限定します。

羽毛を1.1kgに減量しても暖か

最近、地球温暖化の影響なのか住宅の断熱性能が向上したせいなのか、最低温度が15度以下にならない寝室もあるとのことです。そこでダウン量をシングルサイズで1.1kgダブルサイズでは1.5kg入れた羽毛ふとんを見かけます。

そこまでは納得できますが、側生地を見るとポリエステル系の素材のものです。当店では製造コストを抑えるためではないか?と考えています。1.1kgのマザーグースになら側生地は超長綿を使用しているなら納得もできます。

新品の時は、100gの差は見た目には判らない程度ですが、100g少ないと5年から10年後に羽毛が劣化してきたときに膨らみに違いが出ます。特にダブルサイズでは二人が寝返りを打つので、羽毛の劣化が進みやすい傾向があります。

そのためダブルでは、ダウンパワー430dpの羽毛を1.7kg入れたものもあります。

日本国内において、最低温度が15度以下にならない寝室が多いのであれば、メーカーは競ってシングルサイズで充填量1.1kgのタイプの羽毛布団を作るはずです。

しかし、定番品とか通年使用するカタログに掲載する製品には、シングルサイズで通常クラスのマザーグースの場合、充填量1.2kgの製品が主流です。

羽毛布団の重さ
羽毛布団の重さでの選び方

布団の重さはダウンと生地と布団内部の仕切り布です。マザーグースと超長綿とシンプルなキルト。...

西川ブランドだから高級羽毛ふとん?

「この羽毛ふとんは西川ブランドだから高級品です。暖かく快適にお休みいただけます。」高級のレベルも個人差がございますので、一概に限定することはできませんが、西川ブランド品は高級品とは限りません。

西川ブランドの製品レベルもピンからキリまであります。「高級」の意味するところに注意が必要です。

このダウンは洗浄回数が多いので清潔

ダウンのクリーンな度合いは、洗浄した水の透明度で表しています。業界の基準は洗浄水の透明度500mm以上となっています。

ネット通販サイトで見かけたものに、ダウンのクリーンな度合いを表現するために、洗浄回数が多い事を説明されている宣伝文を見かけます。

具体的回数の表示はいたしませんが通常の約2倍の回数を見かけます。しかし、それだけ洗浄するとダウンの油脂分が無くなりダウンボールが割れやすくなり耐久性が心配になります。

洗える羽毛は上質?

「海外生産のダウンケットを購入したが、臭いが強くてどうしようもなく洗えるタイプなので洗ってみたが、臭いはとれずに使えないので新しく購入したい」旨の問合せがありました。購入したお店の方より洗えるタイプの羽毛は上質との説明を受けたとのことです。

その為今回も洗えるタイプのダウンケットを探しているとのことです。このお話を聞きそこまでウソを並べて売るのはいかがなものか?呆れてガッカリしました。

上質のダウンが臭うのは不思議ではないのか?洗える事と羽毛の品質は関係がない旨の説明を致しました。洗えるタイプのダウンケットには、高級な羽毛は使用していないものが多いと思います。

蒸ないノンダンプの羽毛布団を洗う

羽毛布団の側生地は、通常ダウンが吹き出しにくい加工のダウンプルーフ加工をしているものが多いです。この加工をしていないノンダンプの生地で作った製品があります。特徴は生地の通気性があり蒸れ感が少なく、「洗える」を特徴として販売をされています。

しかし、このノンダンプ生地はダウンの吹き出しを防ぐために、糸の打ち込み本数を高密度にしているため重くなります。このノンダンプ生地を洗濯をすれば、最大の特徴である通気性は半減どころか極端に低くなります。

まとめ

お客様からの問い合わせの中には、あきれてしまうウソの説明をして羽毛布団を販売していることが多いように感じます。そこまでウソを並べて売るのはいかがなものか?消費者の方を騙すのも「ええかげんにせんかい!!!」と思うことしばしばです。

ウソとまでは言えませんが、良いところを前面に強調して、不都合な部分は表示しない広告には注意して下さい。

ウソとまでは申しませんが、推理小説に使われる叙述的トリックのような表現手法があります。通販サイトでは限られた情報で選ぶようになります。商品説明を注意深く読むようにしてください。

筆者:野口 英輝

関連するサイト

羽毛布団の生地素材
羽毛布団の生地素材

側生地の素材は、超長綿、シルク、合繊等があります。素材ごとに、肌触り、柔らかさ、軽さ、吸湿性、...

羽毛布団の内部構造キルト
羽毛布団のキルト構造

キルト方式・内部構造には色々なパターンがあります。保温性を重視したタイプ、軽さを重視したタイプ...

おすすめ羽毛布団メーカー西川・山甚物産
羽毛布団メーカーでの選び方

おすすめメーカーは西川ですが知名度は低くても良い会社はあります。しかし社名だけで品質を聞くに及...

マザーグース
マザーグース羽毛布団

マザーグースは保温力と温度調節機能が通常グースより優れています。しかし品質ランクには幅があり購...