床ずれ褥瘡予防には体圧分散

体圧分散とは

硬い床の上に仰向けに寝てみると、後頭部、背中の肩胛骨、お尻の部分に体重を強く感じられると思います。この部分に体圧が集中しているからです。長時間同じ姿勢で寝ていると痛みを感じ寝返りをします。体圧分散とは、自らの体重を体の背面全体で均等に受けとめるようにすることです。つまり首、腰などの部分も含めて圧力を分散して体を支えることです。

床ずれ褥瘡とは

床ずれ(褥瘡)とは、長い間の寝たきりで寝返りもできない状態の時に発生しています。原因は様々あると思いますが、主な原因には体圧による血行不良による組織壊死、汗、失禁等の湿度にさらされることによる、皮膚の耐久性の低下があります。

床ずれ褥瘡予防

床ずれは、体圧を分散させることにより、ある程度予防できるといえるでしょう。ではどの様なものが、体圧分散に役立つのかと言うと、ウォーターベッド、エアーマットレス、低反発マットレスなど様々あると思います。

クリーニングができ、お手ごろ価格のものをお勧め致します。肌を湿気させにくいユニークなパッドなどもあります。5~8㎜ほどの厚みのハニカム(立体で蜂の巣状)構造で、体の下を空気が流れ、ハンモックのような感覚のパッドがあります。吸湿、速乾性に優れた素材を使用し、よりサラットした寝心地が味わえます。

ムートンシーツなども体圧分散の効果があります。お勧めは十分な弾力性を持った高密度のムートンです。食肉用の副産物としての原皮をムートンパッドなどに加工したものは、弾力性が弱く体圧分散効果は弱いのでお勧め出来ません。ムートンパッドの場合は毛の適度な硬さと密度が必要です。高密度加工をしたムートンなどはお勧めです。最近では全くムートンパッドのように見えるウールパッドができています。手触り感、体圧分散機能も全くムートンパッドと同じように感じる製品です。そしてコインランドリーの大型洗濯機で洗えるムートンパッド調のウールパッドがあります。

床ずれ(褥瘡)予防を目的に、体圧分散機能の低反発マットレスを使用する場合には、皮膚とマットレスが密着しやすく、その面積も広いため、皮膚が湿気ます。通気性の良い「パッド」を組み合わせて使うとより効果的と思います。また、シーツのしわ、よじれ等にも注意して下さい。

忘れがちなのが枕の高さと大きさです。体圧分散をするために枕は重要な役割をしています。枕の高さは敷き布団の硬さクッション性と関係があります。体が敷き布団に沈み込み過ぎるのもよくありません。自然な寝姿勢を保つことも大切です。首の後ろで頭と胴体の重さを振り分ける程度の高さに保つことが大切です。枕の高さについては、自分の枕を作るのページで説明をさせて頂いています。また、敷き布団の硬さについては、寝返りと敷き布団の硬さの関係について説明をさせて頂いています。

体圧分散以外の床ずれ褥瘡予防

寝床内の湿気は、敷寝具以外にも掛けふとんも関係しています。冬場は良いのですが端境期になると、羽毛布団では暑すぎて汗をかくようになります。羽毛布団の生地はダウンプルーフ加工で織り目を塞いでいるので通気性が悪い状態です。そのため、春、夏、秋にかけては通気性が良く保温性もある真綿布団がお勧めです。

床ずれ予防には布団だけでなく、湿度のこもらない放湿・速乾性の高い素材のパジャマ・下着等と組み合わせも考えてください。下着などの縫い目にも注意して下さい。分野外ですが床ずれ褥瘡の予防には、栄養バランスの良い食事をとり・肌、衣類を清潔に保ち、マッサージ等で血行を良して床ずれ褥瘡は何よりも予防が大切です。

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